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第6話 遭遇

玄関で靴を履いている海斗に、清乃は心配そうに見ていた。
「ねぇ、お母さん。今日は泊まって行った方がいいんじゃないかな?」

「そうねぇ。襲われた子たちは三人とも亡くなったそうだし、
一人で帰らせるのは心配だわ」

「大丈夫ですよ。ぼくは自転車ですし、誰かいたら避けて帰ります。
家に着いたらすぐに清乃に電話するよ」

彼は心配させまいと、二人に言ったが、内心は怖かった。
通り魔なら乗り物には乗ってないはずだから、大丈夫、大丈夫……
と何度も心の中で唱えていた。

「それじゃあまた後で。おばさんもご心配無く」彼は笑顔を見せた。

海斗は自転車を清乃の家から出すと、お辞儀してドアを閉めた。
通り魔が出た場所は、海斗と清乃の通路にあるコンビニの前だった。

その為、昨日襲って、今日も襲うはずはないと彼は考えていた。
しかし、一抹《いちまつ》の不安は当然あった。

襲われるかもしれないと思ったが、スピードを加速させれば大丈夫だと
思いつつ、スピードを上げていった。

暗くなりつつある冬の冷たい風を切りながら、前方を注意していた。
いつもは季節を感じる街路樹を楽しんでいたが、街路灯の少ない道は
いつもと違う世界を彼に見せていた。

街路樹を抜けて、暗い夜道に光行といる海斗に、清乃は心配そうに見ていた。
「ねぇ、お母さん。今日は泊まって行った方がいいんじゃないかな?」

「そうねぇ。襲われた子たちは三人とも亡くなったそうだし、
一人で帰らせるのは心配だわ」

「大丈夫ですよ。ぼくは自転車ですし、誰かいたら避けて帰ります。
家に着いたらすぐに清乃に電話するよ」

彼は心配させまいと、二人に言ったが、内心は怖かった。
通り魔なら乗り物には乗ってないはずだから、大丈夫、大丈夫……
と何度も心の中で唱えていた。

「それじゃあまた後で。おばさんもご心配無く」彼は笑顔を見せた。

海斗は自転車を清乃の家から出すと、お辞儀してドアを閉めた。
通り魔が出た場所は、海斗と清乃の通路にあるコンビニの前だった。

その為、昨日襲って、今日も襲うはずはないと彼は考えていた。
しかし、一抹《いちまつ》の不安は当然あった。

襲われるかもしれないと思ったが、スピードを加速させれば大丈夫だと
思いつつ、スピードを上げていった。

暗くなりつつある冬の冷たい風を切りながら、前方を注意していた。
いつもは季節を感じる街路樹を楽しんでいたが、街路灯の少ない道は
いつもと違う世界を彼に見せていた。

街路樹を抜けて、暗い夜道の先に煌々《こうこう》と光を放つ
コンビニが見えてきた。いつもと何も変わらない道だったが、
大きな光に彼は落ち着きを取り戻した。

一瞬、何かは分からないが、陰に入る人影のようなものを見て、
彼は自転車を横に滑らせて急停止させた。

道路に横たわる人が2人いた。コンビニのほうへ視線を送ると
携帯で電話をかけているのが見えた。

彼は自転車をコンビニに止めると、うつ伏せに倒れている人に駆け寄った。
「大丈夫……?!!」海斗が男を仰向けにしようとしたら、臓器がヌルッと
地面に血と共に広がった。

海斗はすぐに飛び下がった。もう一人の女性に海斗は目を向けた。
冷や汗が全身を雨が降ったかのように濡らして、
彼を恐ろしさと怖さが、支配していった。

サイレンの音が二重に交じり、彼の耳に届いて、初めて安心を得た。
昨日の今日であったためか、パトカーも数台来ており、コンビニの店員に
警官は話しかけていた。

海斗は倒れている女性の傍から離されそうになり、「今、動いていました!」
救急隊員はその言葉を聞き、すぐに搬送用の器具を出して救急車に運び入れた。

警察官が「君の知り合いなら一緒に乗っていくといい」と言われたが、
「いえ、全く知らない人です」と彼は答えた。

それを聞いてすぐに、救急車は病院に向かっていった。
海斗はようやく自我を取り戻して、犯人らしき何者かが、
コンビニ前の橋を渡るのを見たと警官に言った。

上司らしき警官は、細かな指示を出し、部下たちはその橋を渡った後、
二人組に分かれて分岐点の道々に別れて進んで行った。

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