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バイオハザード:インフィニット ダークネス エピソード3ー1

クレアは少年が描いた惨劇の絵から
再びゾンビの事が頭を過り、
ある無人の家の前まで来ていた。

懐中電灯を手にして、その家に足を
入れた。部屋の中を探るように電灯
で照らしながら、歩いていると、
何かを踏み壊した音がした。

彼女は足元を照らすと見たことも
ないような銀色の棒状のものを
踏みつけていた。

その先にもその銀色の棒が落ちて
おり、更にその先へ先へと棒を
照らしていくと、椅子に座って
頭が吹き飛んだ男性の死体がそこ
にはあった。

体にも幾つもの傷痕があり、足元
にはショットガンのようなものが
落ちていた事により、自殺した
可能性も否定できない状態であった。


一方、上海から一時間離れた郊外に
ジェイソンの部下であったであろう
女性はレオンの追跡を逃れて辿り
着いていた。

大きな屋敷の重い金属で出来た外門の
両開き扉の前に立つと、自動で扉は
開いていき、彼女が入ると閉じていった。

彼女が中に入った後、誰にも気づかれない
ように男の姿が見えた。

家の広い庭に敷かれた道を進むと男性が
声をかけてきた。
「ユーエン様がお待ちです」
そして、手で誘導するように彼女を中へと
案内していった。

追ってきた男はレオンで、彼は遠目から
気づかれないように目的を探るために
追いついていた。

彼女を案内していた男は、大きな屋敷の
一室である開き扉を開けると横に立ち、
彼女を中へと歩ませた。

中に入ると、物語の本を読むような声が
聞こえてきた。薄いが中をハッキリとは
見えない白いカーテンのようなもので
囲まれたベッドに向かって、椅子に腰かけて
話しかけている男性がそこにはいた。

「シェンメイ」
と高齢の男性は名前を呼び、
「おじい様」と女は答えた。

祖父に当たる男は、椅子から立ち上がると
シェンメイに向かって話しかけた。
「この子に昔、読んだ本だ。今も好きらしい」

祖父は孫娘に向かって、
「もっと近くへ」と声をかけた。
「顏を見せておやり」と言われたが、
彼女は躊躇ためらう様子を見せていたが、
突然、その部屋の扉が無理矢理開けたような音
と共に、レオンが案内人である男の関節を
取り、頭には銃を突き付けて入ってきた。

「説明しろ」

祖父は両手を上げたが、シャンメイは
その場から微動だにせずに立っていた。

案内人の男を軽く蹴ってあしらうと、
レオンはシャンメイに向けて銃を突きつけた。

「ハオラン!」とシャンメイの声で、
レオンに殴りかかろうとした案内人の男は
止まった。

レオンの銃はシャンメイからハオランに
すぐに向けらえていた。
「かかってこい」

レオンがそう言うと、ハオランは退いていき、
シャンメイよりも下がった位置で立ち止まった。

「さあ、説明しろ」

「ここに寝ているのはジュンシー。私の弟よ」

レオンは目を向けたが、中はハッキリとは
見えなかった。

「米国政府が彼をこんな目に」
苦しみの声で息をしている様子を見て、
「何を企んでいる?」とレオンは問い詰めた。

「ジェイソンの話のとおり、米国政府の
陰謀を暴く。国防長官が黒幕だという証拠を
取りに来たの」

レオンは無意識に銃を下げて、彼女の話に
耳を傾けていた。

そして過去に起きた回想を
シャンメイは語り出した。

「アルファ2を視認。座標は42SWA9465067929」

「他の部隊は待機だ」

「チーム3と6は待機。繰り返す
チーム3と6は指示があるまで待機を」

「Mk77爆弾で滅菌めっきんしろ」
高官のような軍服を着た男は思案している
男に近づき指示を出した。

「救助にむかった部隊がまだ市街地に」

「感染者とみなしてすべて焼き尽くせ」

「了解です」

その会話をシャンメイは聞いていた。

「投下準備完了。3秒前、投下まで2秒前、
1秒前、着弾」

現地から通信が入って来た。
「街の外のテントに来た。生存者を確保。
名前はジュンシー」

その名前を聞いて彼女は反応を密かに
示した。

「マッドドッグス隊だ。救助を頼む」

「民兵に皆殺しにされたのに
あんな姿に‥‥‥」
「とくかく報告だ」
「司令部は街を爆破した」
「俺たちも消す気だった。話せば殺される」

多数の一般兵士たちはどうするべきか迷い、
話し合いを密かにしていた。
シャンメイはその声のする所に向かった。
彼女が中に入ると一斉に銃を向けられたが、
「待て、撃つな。誰だ?」
ジェイソンは部隊員たちに命じた。

「シャンメイ5等准尉です」

「なぜここに?」

「あなたたちの通信を傍受して‥‥‥」
彼女が答え始めると、血に染まった死体袋が
動き始めた。
シャンメイはその死体袋に近づいていった。

誰もが沈黙し、その様子をうかがっていた。

彼女はゆっくりとその袋のジッパーを開いていくと、
ゾンビ化した弟がジッパーの開かれた部分から顏を
出して、彼女に噛みつこうとしていた。

ジェイソンはシャンメイの肩に手を置いたが、
かける言葉は何も出てこなかった。

彼女は自分と弟に起きた事をレオンに
話し終わると、黒幕の話をし始めた。

「ジュンシーは特殊部隊で極秘任務にあたってた。
当時、ウィルソンは少将であり司令官。
でも製薬会社と裏で手を組んでB.O.W.の軍事利用
を企んでた」

「ペナムスタンでその実験をしてたのか。
あのクソ野郎」


クレアはマッドドッグスのメンバーの家に
訪れていた。そして棚に置いてあった彼等が
自分たちの旗を広げて持った写真を眺めていた。

「もう1人も自殺したのね」と呟き、
彼女は写真立ての後ろ側を見た。

そこには白い紙が挟まれていて、クレアは
それを広げてみて見た。

そこには過去にペナムスタンで起きた事が
書かれていた。書かれていた事からクレア
の思いは当時に帰って行った。


「よし、息がある」
男を救助した後、ヘリを爆破した。そして
マッドドッグスの部隊は司令部へ救助の
要請を出した。

「司令部へ。七名の救助を頼む。
1名は重症だ。急いで来てくれ。クソっ!」

応答が無い事に苛立ちを感じていた。

「しっかりしろ。助けは来る」
衛生兵らしき男が希望の言葉をかけた後、
隊長のジェイソンに近づいて言った。

「残念だが、もう長くない」

ジェイソンはそれを聞き、横たわった男の
傍にいって言葉をかけた。
「よう兄弟。名前は?」

「ジュンシー」男は苦しそうに答えた。

「ジュンシー。正直に言うと助けは来ない。
自力であがくしかない。こうしよう。
お前を基地に連れて帰る。猿ぐつわが必要だ」

隊員が何かに気づき、言葉を発した。
「外の様子がおかしい」

その一言で彼等は迎撃体勢を取った。

外に向けて暗視ゴーグルで外を見たが、
死体が消えている事に気づいた。
「死体はどこだ?」

そして声のする方へと目を向けると、
銃を持った男たちが、無防備な者たちに
襲われていて、二階からそのまま落ちて
きていた。

マッドドッグスの精鋭たちは襲ってくる
者たちに銃撃の雨を降らせたが、暗くて
狭い部屋の中では、ただただ襲ってくる
相手に苦戦し、噛みつかれていた。

時間と共に隊員たちは次々と噛まれていき、
それでも銃を撃ち続けて敵を一掃した。
「撃つな! やめろ!」

事情を全く知らされてない者たちは
訳が分からなかった。
「どうなってる、チクショウ!」
「何なんだ?」

横たわっていたジュンシーにジェイソンが
近寄ると、「注射しろ」と苦しそうに言った。

ジェイソンは意味を知らず首を横に振った。
「抑制剤を」とジュンシーが言うと、
「何?」初めて助かるための意味では無い
事を知った。

「ポーチだ」ジュンシーの言葉を聞き、
彼のポーチをジェイソンは開いた。

「奴らに噛まれただろ。注射しろ」

ジェイソンは意味が掴めず問いかけた。
「なぜ?」
「抑制剤‥‥‥打たないと化け物になる」

ジェイソンの顏が焦りの色に一気に変わり、
辺りを見回した。

「早く」と、
息も絶え絶えでジュンシーは事を伝えた。


to be continued‥‥‥


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