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バイオハザード:インフィニット ダークネス エピソード3ー2

話が見え始めたジェイソンは、
周囲を見渡してから
再びジュンシーに目を向けた。

彼は血まみれで、かすれたような
声で「早く」とだけ呟いた。

シェンメイはレオンに過去の事実
を話し終えた。


赤い非常灯が点滅するパトカーや
救急車が到着し、警官は状況を署に
報告していた。

「通報者はクレア・レッドフィールド。
遺体は死後、数日が経過。ショットガンで
自殺した模様」

警官はクレアの方を向き、
「後日、担当の刑事が連絡します」とだけ
言うとパトカーに戻って行った。

「全員が感染してたのね」
クレアは少年の絵から辿り着いた場所に
あったマッドドッグス隊員は手遅れだと
知ったかのように、言葉を口にした。


マッドドッグス隊の隊長のジェイソンの
記憶を、シャンメイを通して彼女は
再び語り始めた。

シャンメイは遺体袋に入ったゾンビ化した
弟から距離を取り、ジェイソンは再びジッパー
を上げていき、姿だけでも見えないようにした。

「俺に抑制剤を譲って‥‥‥彼はこの姿に」
そう語るジェイソンに、シャンメイは悲しみと、
言葉にならない弟の優しさから来る表情で、
ジェイソンに目を向けた。

「いいか。意見は分かれるだろうが、
現実は厳しい。俺はやるぞ。
気が進まない者は、断っていい。
強制はしない」

ジェイソンは隊員たちに言葉をかけた。

シャンメイは記憶の中の出来事を思いながら、
レオンに何が起きたのか話し続けた。

「ジェイソンは弟の存在を司令部ではなく、
私たちの祖父に知らせた。祖父は上海で
財閥の総帥に就いてたから、そのツテで弟を
運び込んだの」

レオンは嫌と言う程、視線を何度も潜り抜けて
来ただけあって、哀れみや同情の目では無い
冷静な態度で話を聞いていた。

「部隊は基地に戻った」

「そしてウィルソンは彼らを英雄と称賛した」
レオンはようやく話が見えて口を開いた。

「抑制剤がないと、彼らは人間ではいられない。
ウィルソンは抑制剤を与える代わりに命令に
従わせた。部隊を陰謀に加担させたの、私欲の
ためにね。ウィルソンの飼い犬よ」

「それで国防長官まで上り詰めたのか」
レオンは腕を組んで話を聞いていた。

「そういうこと。あいつは政府幹部でありながら、
製薬会社と手を組みB.O.W.の開発を進めてる。
全貌はつかめてないけど、巨額の利益を得るため
成功の鍵を握るのが抑制剤なの」

「ホワイトハウスや潜水艦の事件を
引き起こしたのは、中国へ強硬路線を
取らせるためか」
レオンはジェイソンやシャンメイの強行に出た
事情を呑み込んだようで、ため息をついた。

「ジュンシーは運ばれた時、すでにウィルスの
浸食が激しく異形の姿になっていた」
シャンメイの祖父はそう言いながら、薄目の
ベッドを囲んだカーテンのようなものを開けて
いった。

レオンはその姿をしっかりと見るために、
近づいて行ったが、祖父の部下である
ハオランは目を背けた。

「私はこの子を助けるべく財産を投じて、
ウィルスを消し去る方法を探した。
だがダメだった」

ジュンシーの顏だけしか見えなかったが、
普通のゾンビよりも酷い状態であった。
生かしている事すら罪だと感じるほど、
惨く悲惨な顏をしていた。

何本ものチューブを頭皮に付けられ、
得体の知れない何かを注入していた。
赤い色の液体は血であったように
見えたが、他にも10本以上チューブは
刺されていて、部下が目を背けるのも
無理のない状態だった。

レオンの眉間にシワが寄せられ、
想像以上に酷い状態である事を知ったが、
目を背ける事は無かった。

シャンメイが話し始めたが、レオンも
これまで酷い有様は何度も見て来たせいでか、
眉間にシワはもう寄せず、哀愁のような目で
ジュンシーを暫く見つめていたが、すぐに
シャンメイの話に耳を傾けだした。

「ウィルソンに復讐するため、
私は陰謀の証拠を捜した。ジェイソンは
支配から脱するため、私と手を組んだの。
気づくのに6年かかった。
ウィルソンを破滅させる証拠はすぐ近くに
あったの。試作のB.O.W.となった兵士の
体内にはチップがバイタルや戦闘データが
記録されてる」

シャンメイはそう言いながら金庫のロック
を解いていき、金庫から鉄の箱を取り出した。

「チップか」

「ジュンシーの全記録がここに。誰が兵器に
変えて戦地へ送ったか分かる」

彼女はアメリカ軍人であった頃の事を
思い出しながら忌まわしき記憶の中に
入っていった。


to be continued‥‥‥


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