キタダヒロヒコ詩歌集 165 刻印
あなたに見せたい言葉がある
あした
あなたに贈りたい
また一篇の詩
あなたはいつも読書の手を停めて
わたしからの言葉に目を落してゐる
そしてなんの飾りもない
すきとほつたクリアファイルごと持ちかへる
あなたの部屋のどこかに
わたしの言葉が蔵はれ しづかに積もる
ああわたしのどの言葉が
あなたのなかに残つてゐるか
刺さつてゐるか
刻印されてゐるか
TATTOOのやうに
鈍感をよそほひ
あなたはわたしの目論見を
おそらく知つてゐよう
のびやかにもひつそり潜く海女のかたちを
あなたの奥処に彫らうと目論んでゐる。
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