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2024/02/27 モーサテバフェット氏が指摘した 射幸心の真意 アメリカ株価高騰はカジノ的か

ウォーレン・バフェット氏は米国の著名な投資家で、長期的な視点で質の高い企業に投資することで巨額の富を築いた人物です。彼は2023年2月に開催された自身が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイの株主総会で、アメリカ株式市場の高騰について「カジノ的」という表現を用いました¹。この記事では、バフェット氏がなぜそう言ったのか、そしてその真意とは何なのかを考察します。

まず、バフェット氏が「カジノ的」と言った背景には、アメリカ株式市場が新型コロナウイルスのパンデミックにもかかわらず、過去最高の水準に達しているという事実があります。2020年3月には一時的に大きく下落したものの、その後は急回復し、2021年に入ってからはさらに上昇を続けました。例えば、ダウ工業株30種平均は2021年2月に3万1000ドルを突破し、ナスダック総合指数は1万4000ポイントを超えました²。これらの指数は、アメリカ経済の代表的な動向を反映するものとして広く注目されています。

しかし、バフェット氏は、この株価高騰が経済の実態や企業の本質的価値を反映しているとは考えていません。彼は、株価高騰の原因の一つとして、低金利や量的緩和などの金融政策がもたらした資金の豊富さを挙げました³。金融政策は、コロナ禍で打撃を受けた経済を支えるために必要なものでしたが、同時に、投資家にとっては安い借り入れや高い資産価格を享受する機会を与えました。その結果、投資家は、より高いリターンを求めて、よりリスクの高い資産に資金を流し込みました。特に、テクノロジーやバイオテクノロジーなどの成長分野や、環境や社会貢献などのテーマに関連する分野において、株価が急騰する現象が見られました⁴。

バフェット氏は、このような投資行動に対して、射幸心という言葉を用いました。射幸心とは、一攫千金を狙って、合理的な判断を無視して、危険な賭けに走る心理のことです。バフェット氏は、投資家が株価の動きに惑わされて、企業の本質的価値や将来の収益力を見失っていると指摘しました。彼は、株式市場がカジノのようになっているというメタファーを使って、投資家がギャンブルに走っていると批判しました。

では、バフェット氏の真意とは何でしょうか。彼は、自分の投資哲学やバークシャー・ハザウェイの経営方針とは正反対の投資行動に警鐘を鳴らしたかったのでしょう。彼は、長年にわたって、株式投資は企業のオーナーになることだと説いてきました。つまり、投資家は、企業の事業内容や経営戦略、財務状況などをしっかりと分析し、その企業が将来にわたって安定的に収益を上げることができるかどうかを判断する必要があるということです。そして、そのような企業を、本質的価値よりも安い価格で買うことが、長期的に見て最も利益を得る方法だということです。バフェット氏は、自らが率いるバークシャー・ハザウェイも、このような投資哲学に基づいて、様々な業種の優良企業を買収したり、株式を保有したりしてきました。

バフェット氏は、自分の投資哲学に反する投資行動に対して、批判的な態度をとっています。彼は、株価の動きに左右されて、短期的な利益を追求する投資家を「投機家」と呼んで、軽蔑しています。彼は、投機家が市場に多くなると、株価が本質的価値と乖離することで、市場の効率性や安定性が損なわれると考えています。彼は、投機家が市場に引き起こすバブルや暴落を、自分の投資機会として利用することもありますが、それはあくまで例外的なケースであり、本質的には市場の健全性を望んでいます。

以上のことから、バフェット氏が「カジノ的」という表現を用いたのは、アメリカ株式市場の高騰に対する懸念と、自分の投資哲学に対する信念の表れだと言えるでしょう。彼は、投資家に対して、株価の動きに惑わされず、企業の本質的価値や将来の収益力を見極めることの重要性を訴えたかったのでしょう。彼は、自分の投資哲学に基づいて、質の高い企業に長期的に投資することが、最終的には最も利益を得る方法だということを、再確認させたかったのでしょう。



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