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美波がすごすぎる話

シンガーソングライターの美波さんがすごすぎる。
CMやテレビアニメの主題歌にも起用されているので、ご存じの方も多いだろう。アニメ「ドメスティックな彼女」のオープニング曲「カワキヲアメク」や、最近だと「うる星やつら」の「アイウエ」などが代表曲に挙げられるだろうか。数年前から注目して聴いていたが、9/13(水)にNHKホールにて開催されたライブに足を運んだ結果、魅力を再認識したので文章にしたためたくなった。

私が思う一番の魅力はリリックにあると思う。孤独や劣等感を歌い、同じような負の感情を抱えた人間の心を揺さぶってくる。特に好きなのが「水中リフレクション」だ。弾き語りであることを差し引いても、全体を通して悲壮感の漂うメロディであり、深い闇の底から絞り出しているような印象を受ける。「都合のいい世の中ですね なんて苦しいの 水中よりも苦しいよ」の部分が共感深い。息苦しい世の中に対して、水中での呼吸を引き合いに出すセンスは目を見張るものがある。先日のライブでは、コロナの影響か、本公演に携わることができなかったスタッフに対する感情や目標としていたNHKホールに対する感慨を乗せて歌っていた。美波自身のやり場のない感情はその場にいたファン全員に共有されたことだろう。現在、公式に聴ける音源はないのが悔やまれる一曲だ。
もう一曲、あくまで自分なりの解釈であるが、「BLANK POST」は傷つきやすい心をキャンバスに例えている曲だろうか。他人からの冷たい視線や扱い、心無い言葉といった、自分の心を犯す要因を油性の絵具と見立てて、落ちにくく自分に馴染まない明るい色で描かれた落書きに傷つけられたと歌っている。そんな真っ白だった心を取り戻すため、不器用ながらも言葉(弾く水性)を使って自分の心を守る様が表現されている。この曲からは圧倒的感性を感じた。どのような生き方をしたらこの曲を書けるのだと衝撃を受けた。

上述したリリックだけでなく、作曲能力・歌唱力も抜きんでたものがある。またYouTubeの再生回数は数百万から多いもので一億を突破しているものまである。多くタイアップ曲を手掛けているわけではないのに、これだけ支持されるのは彼女の才能と努力の賜物だろう。しかし数字以上に彼女の魅力はライブでこそ発揮されると感じている。3月にライブを観た際、本音を言うと「アイウエ」は音程外しや歌詞飛ばしが散見された。当然、難易度の高い曲だろうから、と思う部分もあったが、先日は客席まで歩きながらも歌いこなしていたのだ。このたゆまぬ努力が彼女をここまでの存在たらしめているのだと実感した。
来年の3月には武道館公演も控えている。もちろん美波史上最大規模のライブとなるが、美波史上最高のライブにもなることを期待して、今から待ち遠しい。

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