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さっきまで消防士でした。実は。令和6年1月31日まで消防士だったのでまだ「さっき」でも間違いではない気がします。

約13年という短くもなく長くもない期間を消防職員として過ごしましたので、今日は消防士の間自分が何をしていたのかを投稿したいと思います。


現場隊時代

消防学校が辛い、っていう話はどこでも見れるので割愛。
消防学校をでて、少しだけ救助隊に関わったものの、8年間のメインは機関員(運転やポンプ操作)がメインの消防隊(火消し)と救急隊でした。(中型免許を自己取得してる奴が特殊だったので)
この間の話は特にここに残して話せるようなことはないので割愛。ロープワークや各種訓練など消防士にとっては当たり前だったことをみんなと同じようにやってました。


辞令は突然に

特殊だったのは辞めるまでの5年間でした。
8年目の時に受けた昇任試験である幹部に目をつけられたのか9年目の時に現場に行かない月曜日から金曜日の8時55分から17時40分にワイシャツに制服で勤務するいわゆる日勤と呼ばれる部署に辞令が。しかもその日勤の中でも消防職員全体約240名いる中でも2名しか指定されない危険物係というニッチでかつマニアックな部署。


危険物係で突然一人に

自分が着任した、2019年の時の危険物係がどうだったかという詳細は触れませんが、とにかく着任してからの2019年から2021年は既存のあらゆる仕組みの要不要を判断して不要なものはスクラップし続けました。このスクラップを、来てすぐの新人(私)ができた理由は諸事情で着任して約半年で2人中の1人(自分の上司)が体調不良で抜けて、いきなり一人で危険物係を背負うことになったからです。
元々、二人中の二人が機能してカツカツで回っていた部署でしたので、それはそれはもう大変なことになりまして。
消防法(立派な法律です)を基に、企業の危険物工場でやりたいことの可否を判断する部署なので、ミスは許されない上に、法律は消防法に留まらず様々な法律と法の下にある審査基準をくまなく確認しないといけない。許可を出すときはいいけど不許可の判断をするときの労力はとんでもないです。
ここにさらに危険物災害への緊急対応や法律違反への違反処理業務も乗ってくるわけで・・・。

普通の高校を平均点で卒業し、本も読んでこなかった僕がサラサラと法律を読めるわけもなく、一人の期間は毎日深夜まで地獄のように残業していました。
しかも業者から許可申請があり受理した場合、行政手続法で3週間以内に許可不許可を判断すること、となっていてケツまで決まっているわけです。
しかも僕がいたところは大小様々な申請を合わせて年間1200件前後は出てくるわけで・・・(細かくいうと仕事は危険物だけじゃないのでこんなもんじゃなく・・・)


時間とスピード感への異常なこだわり

まぁしんどかった自慢をしたいわけではなく、この時期に異常に時間にこだわるようになったわけです。
やれることはとにかくやる、やれないことはとにかくやらない。でも時間ができたらやれないことがやれないのか考える。

まず、棚の中に種類、状態等かなり様々な書類が入り乱れており、業者から訂正させてと言われたらその書類を探すのに10分・・・あ、もう一件と言われたらさらに10分・・・。検査に必要な書類を探すのにまた10分・・・。
公務員の執務時間は昼休憩時間を抜いて7時間45分。この10分ですらどれだけ税金の無駄遣いなんだと。残業代は貴重な税金から支払われる。本来、自分の手際の悪さから残業代が支払われるなんてあり得ないわけです。


ということで

ということでまず着手したのは書類の種類と状態を正確に把握して何がどこにあってどう見えていればすぐに取り出せて処理できるのか、を繰り返し試行錯誤しながら作りました。
その次は過剰な検査の削減。いっても行かなくてもいいか・・・という検査は徹底的に電子的な検査に変更。(法律上絶対に行かないといけない検査は流石に削減していません)段階的に電子的な検査すら省略。
ただし、行く行かないの裁量は絶対的に行政が握っている状態を保持しました。行政が行く行かないで工事のクオリティが変わるのは事実としてあるからです。

あとは月々行われる固定業務(書類作成やイベント)をエクセルのカレンダーに落とし込み、各業務のワーキングフローを作成し、カレンダーの各業務をハイパーリンクで直結。さらにその業務に必要な書類をそのワーキングフローからNASファイルに直結するというものを作りました。(NASのファイルの階層がめちゃくちゃく複雑で1から必要書類を探すとなかなかに時間が・・・)
これを5年間かけて完成させました。そこそこの精度になってるので、4月にくる新人さんは固定業務に関してはサクサクできると思います。開いた時間でいっぱい消防法を読んで貰えたらと思います。


効率化して空いた時間で何をするのか

そうやって1分、5分、10分と積み上げた空き時間をサボりに使っていたのかというと、開いた時間でやるのは法の読解、企業との事前打ち合わせ、申請打ち合わせや定期査察。ここをもっと拡充したくてひたすら業務効率化を図りました。
3年間で様々な業務効率化を図り、やや開けすぎた時間は、あれ、何しよ・・・となるレベルになりました。次に始めたのはニッチと呼ばれる危険物係の業務内容の通信教育。
私がやっていた危険物係の仕事というのは、危険物を取り扱う工場周辺の住民やその工場で働く従業員、さらには災害時そこで戦う消防士を守るため、とにかく徹底的に法律の執行と許可状態の維持をします。
(危険物というのは特別法(普通の法律より厳しい)というもので定められています。これは、一度危険物災害が起きたら通常災害より対処しずらいということを表しており、法律の厳しさもかなりのものです。)
でも最終的に自分の実力不足で災害が起きて現場で戦うのは現場隊の消防士で、安全か危険かを判断するのは現場隊の皆なので、そこに危険物係の知識を広めたかったのです。


どうやって広めるかという課題

といっても予算もなければ現場隊のみんなも忙しいということで考案したのが、「3分で読める、現場で使える危険物知識シリーズ」というものを職場のクローズドネットワークにアップするというもの。もちろん予算は0円。3分で読める、の根拠は1回に出す資料のレギュレーションをA4一枚で字はでっかく、そして挿絵は絶対に入れるというものにしたので、危険物を全く知らない人間が読んでも遅くても3分で終わる、というものでした。
これを月1回給料日(皆さん気づいてましたか)にアップロード。これはもうパブロフの犬状態を狙ったもので、「あ、給料入ってる、てことは山﨑の研修が入ってるな」というものを狙ったものでした。
この「3分で読める」で最も重要視したのは、資料の奥深さではなく、いかに字面と絵で興味をひいて、「この内容もっと知りたいなぁ、先輩これ知ってる?」というコミュニケーションと自己研鑽を促すという狙いのものでした。


OSTの誕生

最悪自己満足のアウトプットでもいいやと始めたこの研修が、なかなかどうして上からも下からも評判が良かったんです。(なんと当時の消防局長も楽しみにしてくれてました)
そんなこともあり、研修予算が潤沢に取れないこの時代にもっとアウトプットとインプット、そしてコミュニケーションを促す一手を打ちたいと「3分で読める」の幅を広げ、幹部にプレゼンし承諾を得て、自身でクローズドネットワークの中にホームページを作り、OST(one sheet training)を構築。OSTというのは自身が作った造語です。
階級も何も関係なく、ある一定のルールで誰でも何でもA41枚で研修しようぜ!というページを作りました。
これを確か2022年の3月ごろに立ち上げ、その自身で作ったOSTの中で「3分で読める」を継続しました。
ここで「3分で読める」を第33回まで実施。まぁ33回は「おせわになりましたー」的な記事になってしまいコンセプトから外れましたが。

このOSTにも賛同してくれる人は一定数おり、投稿者もジワジワ増えてきている感じでした。レビューは1件の記事に130件ほどでしたので約240名のうち130人が見てくれてるとカウントしたらまずまずの効果だったのかなぁ・・・と思いたいです。消防士は辞めましたけどOSTが動き続けたらそれ以上の喜びはありません。

周りからすると変わった若手(30歳は若手なのか)だったかと思います。というか生意気だったと思います。すいませんでした。
というかOSTを考案、構築したのに、この投稿の文章は間延びしてる上に、読むのに何分かかるもん作ってるねん・・・というツッコミが聞こえてきたので自身の経験はこの辺にしておきます。


これから

今回思うところがあって退職して起業したので、今までみたいにスクラップするものはなく、とにかくビルディングしていくばかりです。とりあえず会社は完成しましたが、会社が立っただけ。
今は基礎だけですが小さいビルからでも形に見えるものをコツコツ作っていこうと思います。(不動産の話ではないです)

だらだらとすいませんでした。
読んでいただいた方ありがとうございました。
それではまた。


明石市消防局の車や資機材はこだわり盛りだくさんでかっこいいんです。トップ画像のヘルメットは何とArai。この画像の車は特別高度救助隊が運用する救助1。何とこれ塗装ではなくベースの白ボディに赤いラッピングシートを貼ってます。バンパーは知る人ぞ知るLine -X。超目立ちます。乗っている救助隊員の身さんを羨ましく思ったこともあります。ラッピングにした理由は軽量化だそうです。軽量化された数字は知りません。でもペール缶に入った塗料の重さを考えるとラッピングの方が軽いのは想像できます。
(よく見ると運転席にはうちの長男。隊員にお願いすればお子さんは誰でも乗れますよ)

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