車で少し涙が出てきて「あ、ごめん、泣けてきちゃった」と言いながら涙を飲み込んだ。

心の奥に押し込んだ、デリケートな記憶に触れる話を自ら少しだけ友人にしてしまった。聞いてほしい悩みを理解してもらうために、そのことを話しておくほうが理解してもらえる気がして、いままで言っていなかったそのことを彼女に伝えた。

他人事のように感情から切り離して話したつもりだった。

なのに涙が込みあげてきて、まだダメなんだと思った。だから手短にほんの少しだけ、起こった事実を３行くらいにして伝えて、あとは話を切り替えた。

あのことを溶かす日はいつか来るんだろうか。

過去に起こったことは棘のように心の奥に刺さっていて、きっと抜けない。でも棘を刺したまま、どう受け止めてどう生きていくのか。うまく消化できなくてもそのまま抱えていく方法。そんな前向きな進み方をしなくちゃいけないねって、あとで友人はメッセージをくれた。

そのとおりだと思う。

だけどまだ私は泣いてしまう。

ほんの少し気を緩めた瞬間に、いろんな気持ちがあふれてきて、うまく抑え込めなくなる。

まだもう少し時間が必要なのかな。でももうじゅうぶん時間は経ったんだけどね。

深呼吸がいまの私にできる精一杯。

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