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誰が悪いかなんて、分からないよね。

結婚式の前日はめちゃくちゃだった。

何がどうめちゃくちゃだったかは書かないけど、おそらく一生に一回となるであろう結婚式の前日は、娘として最後の夜は、めちゃくちゃだった。

ドラマとかで「お父さん、お母さん、今まで私を育ててくれてありがとう」とかそんな感じの涙のシーンを過ごすはずだった。感謝を直接伝えるのは照れくさいけど、それでもやっぱりそういうことを言ったほうがいいのかなとか迷っていたその日。

めちゃくちゃになった。

別の意味で涙にくれる1日となった。

娘最後の1日がこんな日になるとは私たちは誰も思っていなかった。でもそれはたまたま前日に起こって、一生の記憶となった。残念なことだったと思う。

あれから20年くらい経って、いつからかもう恨む気持ちはなくなった。いつまで恨んでいた気持ちを持っていたかはわからない。かなり長い間、許せないと思っていた。

たぶん謝ってもらえなかったからだろう。でも本当は謝るべきなのはどっちだったんだろうか。どっちも悪くなかったのかな。

そこもよく分からない。

結婚式当日は前日のめちゃくちゃをすべて忘れて、私は笑った。とても笑顔でその日を過ごした。母と二人で作った、私のピンクのドレスに合わせたピンクのブーケを幸せそうに手に持ってたくさんの拍手に包まれた。

母はホッとしたと言った。

「あなたが笑ってて、よかった」と言ってくれた。

母に心配をかけた結婚式になった。

余計な一言を言う叔父もいた。でも彼もまた悪くなかったんだろう。きっと悪気はなく思ったことを言っただけだ。もうその叔父も他界している。

結婚式は滞りなく終わった。

そのあと私は家族と別れ、夫の元に残った。

父と母は帰りの車で何を思っていたんだろうな。もしかしたら母は泣いたのかもしれないな。父は黙って運転してただろう。兄もまた黙って窓の外を見ていただろう。

誰がどう悪いかってどの角度からその物事を見るかで変わってくる。

角度を変えるとどの人の心も理解できる。別に誰かを傷つけたくないのに、心がうまくいかなくて傷つけてしまうときもあるだろう。

誰でも、自分しか見えないときもある。

誰か一人だけが悪いことって世の中にはめったにないのかもしれない。

もう、すごく遠い日の出来事。

忘れられない出来事の1つ。


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