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「右利きと左利きの人の脳の違い」を調べたかったけど、それは分野が違いすぎた話。

大学のときに英文でレポートを書いた。評価をする教授はイギリス人。ブルックリン先生という名前だったと思う。

ブルックリン先生は評価が厳しいと言われていたようだが、私が提出したレポートの評価はとても高かった。英文自体のレベルはたぶん大したことなかったと思う。当時の私の英語力がどの程度だったのかはもうあんまり今では分からないけど、自分で満足できるものを書けたと思ったことはほとんどなかった。

でも英文の力はともかく、内容がブルックリン先生の興味を引いたらしく、「こんなに興味深いレポートは今までで初めてよ」と言われた。

私は英文科だったので、普通の学生は文学について調べてレポートを書くものだと思う。でも私はなぜか「右利きと左利きの人の脳の違い」を調べたくなった。理由はまったく覚えていない。だから左利きの人に話を聞いたり、その分野の英語の文献を調べたりしてレポートを仕上げた。

これがたまたまめずらしくて高い評価をいただいたんだろう。

最終学年でゼミを選ぶとき、私はどうしてもこのまま続けて「脳」について調べたかったから、教授に順番に相談に行った。うちの英文科には英文学と英語学の2択しかなくて、「脳」について研究している教授はいなかった。それでもどこかで続きをできないかと思ってお願いに回ったけど、専門外だと断られた。

そりゃそうですよね。

仕方なくまだ興味を持てそうなゼミを選んだ。子供が英語を習得する過程で見られる文法的な間違いとかそういうのを研究するゼミだった。でもやっぱりあんまり興味が湧かなくて、やる気も起こらなかった。

ゼミの担当教授からは「あなたはブルックリン先生から高く評価されていたからきっと良いレポートを書いてくれるんでしょうね。楽しみだわ」と言われたけど、結果的には楽しくない卒論しかできあがらず、ボリューム抑えめの黒柳徹子さんのような髪型でとても上流階級の空気を醸し出していた教授をがっかりさせてしまったと思う。

そういえば教授にはおしゃれで高級そうなフレンチに連れ行ってもらったことがある。

「あなた、ワインは何飲む?」と言われ、ワインなんて分かるはずもないから「教授と同じものでお願いします」と言ったら、すごく強くて渋い赤ワインが出てきた。味なんて理解できず2口くらいしか飲めなかった。

どう考えても学生の私がワインに詳しいわけないのに、そのあたりを配慮できない教授って意地悪だなって思った。私だったら「ワイン飲める?」と聞いてあげて「赤は強いのよ」とアドバイスくらいしてあげるのに、と思うけど、自分でそう言えばよかったのかもしれない。「ワインのこと分からないんですが、何を選べばいいんでしょうか」と言うほうがよかったんだろう。

この教授は数年後に学長になられた。すごい人だったんだと驚いた。

ボリューム抑えめの黒柳徹子さんが学長。すてき。


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