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『消滅』についての続きのお話

国語のテストみたいな話ですが、昨夜投稿した詩『消滅』の最後の一行について少し書きます。この後の文章にご興味がある方は先に詩を読んでみてください。こちらです。

人はたいてい闇を怖がります。敵が襲ってくるかもしれないとかの防衛本能なのでしょうか。人は暗くなれば目を凝らします。見えないことはとても恐ろしいことです。だから闇を普通は「怖いもの」または「邪悪なもの」として表現されることが多いです。この詩の主人公もそのように感じていました。だから逃げていたんです。

ところがいざ闇に追いつかれると、怖さは消えて心穏やかになりました。もしかしたら闇は「優しいもの」だったのかもしれないと思います。こうだと思われていた価値観が覆ります。そうして身を委ねました。心を解放したのです。闇の包み込むような甘い誘惑に思わず心も委ねてしまったのです。

そして最終行です。闇は優しかったのでしょうか。それともやはり恐ろしい魔物だったのでしょうか。主人公はどうなったんでしょう。

私が思った感情としては後者です。主人公は闇に連れ去られました。闇は優しそうな顔をして心をうっかり預けてしまった主人公をサッと消し去ったのです。タイトルからもそれが分かります。主人公は心だけでなく体も消え去り「無」になりました。

でも「無」を、つまり心や体が消滅した状態を恐ろしいことや不幸なことと捉えるかの解釈は別次元で論じられそうな話です。この世に生きる私たち側から見るとやはり恐ろしいことのように感じますが、もっと広い宇宙のどこかから見たときには違った感覚があるのかもしれません。私が国語教師ならテストの最終問題はこれにすると思います。

「無」についてあなたはどう思いますか? あなたの考えを400字以内で述べなさい。

文章の解釈は他人には難しいです。テストで100点取るのが国語が一番難しかったように、自分が著者でなければ本当の答えは見つけにくいです。著者でさえ答えを無数に持っている可能性もあります。

以前、うちの子供が国語のテストでありえない選択肢を選びました。主人公がメロンを食べているときに、その子の姉だったか、かなり親しい人が亡くなったと聞きました。主人公は小学生くらいです。その話を聞きながら主人公はメロンを最後まで食べ続けます。そのときの主人公の気持ちを選ぶ設問です。

「メロンが美味しくて最後まで食べたかったから」をうちの子は選択しました。「つらくて顔を上げられなかった」とか「心の動揺を隠したかった」みたいな他のいかにも正解だろうと思う選択肢たちが並ぶ中で、それを選んでいました。だからバツでした。

でも分からないですよね。筆者は本当にメロンが好きでまずとにかく食べてしまいたかった子供を描いた可能性もあります。だからうちの子供はこれが不正解になったことにまったく納得してなかったです。

文章の解釈は自由です。読む人の年齢や人生経験、そのときの心の状態で受け止め方は変わります。だから自分が発信するものをちょっと怖いなと思うことがあります。私の書いた『消滅』の最後もどのように受け止めてもらってもいいと思います。「消えた」をどう感じてもらうかはそれぞれだと思います。きっと全部正解なんですよね。

って、まるで国語の先生みたいな話でした。変な文章ですみません。なんとなく詩についてあれこれ考えてみたくなりました。

1382文字

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