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友達に怒られた話。

学生のころってみんなまっすぐで、間違っていると思ったことをそのままぶつけてくる友達がけっこういました。

以前にこんな文章を書きました。

高校時代に私はちょっとサイズの大きい靴を履いていたんですが、歩くたびに地面で擦るような耳障りな音がするんです。かかとがカポカポしてたんです。そのときに茶髪の派手な友人が私に向かって「椿の靴の音がうるさい。イライラする」と言い放ちました。まっすぐに睨まれたんです。

苛立ちをそのままぶつけられる経験って学生時代が多いかなって思います。

大人でそんなこと言ってたらあっという間に人間関係がぐちゃぐちゃになってしまいますからね。普通はストレートな発言は控えます。大人ってそういうことです。だからこそ若いときのハラハラするような出来事はある意味、キラキラしてる。鮮明に覚えています。

もう1つ、これも高校時代の話ですが、友達にわざわざ呼び出されて怒られたことがあります。

「椿は彼氏のことしか考えてない。そんなことしてたら友達なくすよ」と厳しく言われました。

私を大切に思ってるがゆえの言葉だったんだと今でも、そのときも感じたんですが、そう言われる原因について反論を返すことができませんでした。

いつも塾に、友達と電車に乗って通っていました。この子を仮にアキちゃんとします。アキちゃんとは1年生の時に同じクラスでした。物事をはっきり言う子で、私は少しだけビクビクしてました。なんか怖かった。

ある日、アキちゃんに誰か紹介してって言われたので、彼氏に頼んで彼氏の友達を紹介してもらうセッティングをしたんです。4人でボーリングに行きました。

でもアキちゃんはその子が気に入らなかったんでしょうね。ずっとひたすら無言を貫きました。周りがどうしていいのか分からないくらいの愛想の悪さで1日中過ごしたんです。彼は友達に気をつかって申し訳ながっていました。私ももうどうしていいのか。

当然のように彼は「アキちゃんとは二度と会いたくない」と怒りました。私も怒っていました。いくらなんでもあの態度は失礼だろうと。彼の友達にも失礼だし、彼にも失礼。そして私にも失礼だと感じました。

翌日から私はアキちゃんと一緒に塾に通うのをやめました。その代わりに彼と通うようになりました。塾が同じ駅だったので、アキちゃんより彼を選んだんです。

もともと彼から一緒に塾に通いたいと言われていたのをアキちゃんに気を使って彼女と行動していたんです。でももうそんな気遣いは無用と思い、彼をあっさり選びました。

この出来事を知ったアキちゃんと私の共通の友達が私を呼び出して怒ったという流れです。

私には私の事情があった。私はアキちゃんを許せないと思った。だけどそれを言えなかった。この友達とアキちゃんがとても仲が良かったことがひっかかってました。

アキちゃんからの話だけで私が悪いと一方的に決めつけられたことも嫌だった。アキちゃんより付き合いとしては私のほうが長かったのに。

それに「友達より彼氏をとった」というのはある意味事実だと感じ、なんとなく痛いところを突かれたように思いました。事情を説明したらアキちゃんと和解するかもしれない。そしたらまた一緒に塾に通おうってなるかも。それはそれでアキちゃんに怒ってしまった彼氏にどう言えばいいのか分からなくて、結局私は彼を選んだんです。

その後、別にアキちゃんとは話さなくなったとか、関係がひどくなったということはなかったです。いじめられたとかそういうのも特になかったです。ただ「椿は男をとった」と彼女の周りの子たちから思われていただけです。

それに別の友達(上の引用にでててきた友達ね)には事情をぜんぶ話していて「は? 友達なくすって何? 気にすることないよ。椿には私たちがいるやん!」と言ってもらってたんです。

でもなんとなく私側の事情を彼女側に何も言えないままだったことが心残りだったのか、長い年月が経った今もその一連の出来事を覚えています。

と、この話はもしかしたら以前に書いたかもしれないと密かに思いながら書いています。書いた気もするし書いてない気もする。書いた可能性が20%くらいかな。でもまぁいいです。

というのも、つづきがあるんです。

実はつい先日、このアキちゃんと高校卒業以来くらいぶりに会いました。共通の友人(ナオちゃんとしておきます)と連絡を取って、一緒に会おうって話になったんです。「なつかしいね、また会おうよ」というノリです。

この再会の数年前にナオちゃんとは会っています。そのときに今さらだけど、とうとうアキちゃんとのあのときの事情、私の事情を話しました。「そんなことがあったんだね」とナオちゃんが言ってくれました。そのほかにもいろんな思い出話をしました。

そして3人での再会。ナオちゃんとアキちゃんが都合をあわせてくれて実現しました。久しぶりでちょっと緊張しました。お互い歳をとってるし、どんなふうに変わっているのか分からない。緊張と楽しみでその日を迎えました。

そこで言われたんです。アキちゃんから。

「なんか、椿、ごめんね。私、高校のとき失礼な態度とってたんやねー」って。

いや、びっくりしました。

え、そんな! ナオちゃん、アキちゃんに話したん? つつぬけですか?

ほかの話してたことも全部なんだか知ってました。それもこれも話したんかーい。

まぁいいんですけどね。話されてものすごく困るって話をたくさんした訳ではないです。口止めも特にしませんでした。でもぜんぶつつぬけってなかなかすごいなって驚きました。

しかもナオちゃんはこれっぽっちもそのことを悪いとは思っていない。当然のように話した感じでした。

価値観というものは人によって違うと、生きてきて何度も思う機会がありましたが、このときも同じように感じました。誰かに何かを話すことに対する基準みたいなものが人ってまったく違うんだなって。

そして私は思いました。

きっとナオちゃんは私とアキちゃんがとけあえるようにぜんぶ話してくれたのかも。つまり親切心だった可能性もあると。すごく優しい人なのかもしれません。分からないけど。いや、ただ何も考えてない人なのかもしれないけど。

でもナオちゃん、アキちゃんと会って話せて楽しかったよ。

また会おうと思っています。


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