見出し画像

また夏が来る。

「誰かに恋しなよ」

ってあなたが言った。笑いながらそう言った。ひどい男。あなたはとってもひどい男だ。私があなたに恋してるって分かってるくせにそんな傷つく言葉を言うんだよね。

平日の夜にだけやってきて甘い言葉で私を包むくせに、たまにそうやって私を突き放す。

じゃぁ他の誰かに恋しようかとちょっと心を動かすと、あなたはすぐに気づいて私を強く抱きしめる。どこにも行くなよ、俺のものでいろよって体で私に訴えかける。

そうしてまた、私はあなたに溺れる。

「君は自由だよ」

って言うくせに、自由になろうとする私の手に鎖をかける。見えない鎖は見えなくて外せない。

私は私だけを見てくれる愛がほしいのに、私がほしいのは私だけを見てくれないあなたの愛。それじゃ、永遠に手に入らないんだね。私のほしい愛。


「ねぇ、今度、花火を見に行こうよ」

私が明るくそう言うと、あなたは笑って頷く。

「ねぇ、今度、赤い観覧車に乗りたい」

私がウキウキしてそう言うと、あなたは笑って頷く。


どれも叶わないのに、頷かないでよ。

どれも叶わないけど、頷いてよ。


どの言葉も拒否しないあなたが私は好きだから。


#短編小説 #超短編小説 #掌編小説 #愛 #拒否 #あなた #花火 #観覧車 #夏



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

銀行口座を登録する予定は今のところないため、サポートいただいたものはnoteに溜まっています。受け取りの期限があるのかと思っていたらいつまでも溜まっていくようです。いつかもしかしたら受け取らせていただくかもしれません。そんな状況でございます。

素敵な1日になりますように!
24

椿-TSUBAKI

エッセイ・小説・詩など心に浮かんでくることを書いていますが、書きすぎかもね。でもどれかの文章があなたの心のどこかに響いてくれればうれしいです。noteで出会ったたくさんの優しい人たちに心助けられながら毎日noteをつづけています。新しく来てくれたあなたも私と仲良くしてくださいね。

まさか書いてしまった小説たち+たまに自己分析

つい創作意欲がわき書いてしまった小説たちですが、短編どころか超短編の集まりです。一部前編・後編ものや連載しているシリーズも入っています。書き始めたときは他人様に読んでもらうのがあまりにも恥ずかしかったんですが、もうすっかり慣れてきました。
1つ のマガジンに含まれています

コメント6件

逢坂さん
やっかいな男ですね。笑。
もしや私ってやっかいな男好きなのかも?!
屈折した感情を表現するのがわりと好きです。
人の感情って複雑ですよね。そういうややこしさも人間らしくて魅力的なんですよね。。
いつもありがとう。
優まさるさん
夏といえば観覧車です。
赤い観覧車の良い写真が見つけられなかったんですけど、赤い観覧車ってどこにあるのか関西の人なら分かる有名な観覧車なんですよ。
格好よく「君は自由」って言いながら、束縛してますよね。この男性。。
コメントありがとうございます。
あぁ…想い人を 今年の花火に誘っていいのか 否かを考えている あたすに 突き刺さって 抜けないよ 椿ちゃん!笑
どうしてくれるの!笑
ふゆほたるさん
それはもちろん誘いましょうよ!
がんばって。。一緒に花火見たら幸せでしょうね。。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。