秋のはじまり
まだ寝ているあなたを起こさないように、そっとベッドから出てリビングに向かう。
ちょっとだけ部屋が暑かったから窓を開けた。
2カ所の窓を開けて、風を通してみたら、すごく冷たい風が吹き込んできた。
サーーーッ。
「あ、寒い」
体がブルブルって震えて慌てて窓を閉じる。
だってまだ夏のパジャマなんだよね。
もう秋なんだ。
寒くなってなんだか寂しくなって私はベッドまで戻った。
「ねぇ、とっても寒いんだけど」
お布団に滑り込みながら、あなたに声をかける。
ちょっと体が冷えちゃったから。
あぁ、あったかい。
あなたの体温であたたまったお布団は私の心もあたためてくれる。
「ねぇ、いつ起きる?」
時計は朝の7時過ぎを指している。
「うーん、まだ起きない」
ゆっくり腕を回して、私を抱きしめてくれた。
「ちょっと冷えてるね」
あなたは優しくほほえんで、背中を静かにさすってくれた。
もうちょっと寝よう。
あなたが起きないなら退屈だしね。
あなたにくっついて、もう少しうとうととね。
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