僕の羊ちゃん

合コンに行くって君が言う。

ちょっとだけ目の奥をキラッとさせて「ねぇ、友達に誘われたんだけど行っていいよね? 人数足りないんだって」って言うんだ。

その目の奥のキラッがすごく気になるけど言えないじゃない。「行ってほしくない」って。

なんか余裕のない男みたいに見えるからさ。君のこと好きでたまんないって思われるからさ。そういう束縛みたいなのはカッコ悪くて言いたくないんだ。

だから「え、いま何か言った?」って空気をわざと出して「あぁ、うん。まぁ人数足りないならね」って余裕ぶって答えたけれど、「やっぱりやめとくよ」って言ってくれないかなぁ。

言ってくれないよねぇ。

心配だよ。

ねぇ、心配だ。僕はもう今からそわそわしちゃってる。こんなかわいい君をよく分からない男たちの横に座らせたくない。君がニコニコ話す姿を想像すると心配でたまらない。きっと男たちは狼の目で白いふんわりした服に包まれた羊ちゃんの君を見るんだ。

「心配だから行かないでよ」って言おうかな。言えよ。俺。あとで後悔しても遅いぞ。

一人で悶々と不安と嫉妬にぐるぐるになってたら君がこう言った。

「ねぇ、心配してくれないの?」

何それ? ねぇ何それは? 心配したほうが良かったの? 「行くな」って心配モロ出しのほうが正解だった?

分かんないよ。

君ってまったく分かんない。

でもだから君に夢中になるんだ。

大好きだよ。

ほかの男に君のひとかけらだって見られたくないくらい。


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