売ってお終い!じゃない会社アルスコーポレーション


#推したい会社

わが家の庭には、一本のシラカシがある。このシラカシ、常緑樹でスクスクとよく育つ。特に春から夏にかけてはここぞとばかりに枝も葉も成長する。そうなると風通しが悪くなり、病気になったり虫がつきやすくなるので、高枝切りバサミの出番となる。

10年ほど前に購入した高枝切りバサミ。アルスコーポレーションという園芸刃物の会社の製品だ。伸縮性で1.8mの長さのものが3mまで伸びる。グーパーとハンドルを握るだけで、その長さのわりに小さな刃が、先端でカチカチと上下に動き、これがいい仕事をしてくれる。

刃は切れ味が悪くなってきたので、昨年替えたばかり。自分で簡単に交換できるようだったので、替え刃を購入し自分で交換した。

なので、サクサクとよく切れる。調子にのってこれ切れるかな?とちょっと太めの枝にも手を伸ばす。そうこうしているうちに、とうとう高枝切りバサミが悲鳴をあげた。パキッ。ヒューン。何かがあっちとこっちに飛んだ。あー、やっぱり壊れた。作業をやめ、高枝切りバサミを見てみると、伸縮するための部品が破損している。ハサミの動きもおかしい。完全に壊れている。あともう少しで剪定が終わりそうだったのに。新しく買い替えるしかないか。

使い慣れているし、できれば同じ物がいいなとネットで検索していると、各部品が販売されていることを発見!もしかして自分で直せるのでは?と淡い期待を抱きながら調べていくと、替え刃の時のように簡単にはいかないようだ。破損した箇所は自分で直すにはリスクがあるようで、修理依頼推奨と書かれている。この部品自体はそんなに高くないので、できれば自分で直したい。でも自分で分解してさらに壊してしまったら元も子もない。自分で直す選択肢は消えた。

では修理?修理というと、高くつくイメージ。それに正直、面倒くさそう。梱包や発送。こんなに長い物どうやって?など疑問がわいてくる。ここでまた買い替えの選択肢が頭をよぎる。

買い替えでネックとなるのが、壊れた現物が不要になるということ。処分に困る。それに修理可能な物を簡単に捨てるというのは私の意に沿わない。

何がベストな選択か分からなくなった。今一度、自分の気持ちを整理してみる。すると修理して使い続けたいという気持ちが一番であることが分かった。

とりあえず電話してみよう。実はずっと気になっていた電話番号と、「刃物の病院グリーンパパ」の文字。ホームページや取り扱い説明書など、あちこちに分かりやすく記載されている。修理やメンテナンスを受け付ける窓口の電話番号だ。そういえば購入した時にまず目に留まったのがこの文字だった。壊れたらここに連絡すればいいのかと、使用する前から安心感を覚えた記憶がある。

電話して、買い替えも視野にいれつつ修理を検討中との旨を伝えると、近所に取り次ぎ店があればそのお店経由で見積もりや修理の依頼ができるとのこと。そして近所の取り次ぎ店を調べてくれた。幸運にもすぐ近所にそのお店があることが分かり、まずはこのお店に持参し、見積もり依頼することに決定。もし見積もりの結果、修理費用が高いようなら買い替えることにする。嬉しいことに、買い替える場合はそのまま処分してくれるとのこと。処分といっても、リサイクル・分別廃棄されるようなので、個人的に粗大ゴミとして捨てるよりも地球に優しそう。電話して一気に視界が開けた。

見積もりの結果、予想外に安く直せることが判明。即修理を依頼し、無事私の手元に戻ってきた。

今回の出来事を機に私が思ったのは、この会社、なんて素晴らしい会社なんだ!ということ。修理やメンテナンス、廃棄品の受付を積極的に行ない、物を長く使えるようにする配慮。消費を促すわけでなく、商品を売りっぱなしにせず、責任を持って対応する姿勢。自社製品への自信と愛があるからこそ、このような経営ができるのだろう。本当の意味での持続可能な社会を作りあげていく会社だと思った。だから私はこのアルスコーポレーションの製品を使い続けたいし、応援していきたいと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?