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ロンリーラプソディ~独り狂詩曲~

『疲れたじゃろ。座ってもええで。』

優しく語り掛けるように彼はそうつぶやいた。

これは、藤井風さんの昨年10月に行われた

大阪吹田パナソニックスタジアムで行われた

ライブのひとコマ。

観客の高揚する気持ちを鎮めるかのように

彼は照明が落とされた細く緩い下りの道を

ピアノが置かれた中央ステージへと歩を進める。


これはライブレポではなく
あくまでも個人の主観の物語です_(._.)_

彼の頭上にただ一つの灯り。

柔らかな天使の梯子にポッと照らされて…

水の流れる音。滑らかなピアノの音色。

風に揺れる葉音。鳥たちのハミング。

木霊の笑い声にこだまする波動。

その音色は少しずつ変化し

私を遠く遠く、静かに運んでくれる。

気が付くとそこは木の匂いが立ち込める森の奥。

小さい頃、よく父が連れて行ってくれた場所。

懐かしい木々の薫りが鼻をくすぐる。

足元の緑苔を面白おかしく踏みしめながら

大地にしっかり“私“という足跡を残す。


ふと気が付くとさっきまで一緒にいたはずの

父の姿は消え、私はただ一人。

呆然と立ち尽くす、森の中。

辺りを見渡しても誰もいない。

私は必死で父を呼んだが返事はない。

ただ寂しくて、悲しくてこぼれる涙の粒。

やがて、道なき道をトボトボと進む。

気が付くとさっきから後ろに誰かいる。

私の後をついてくる。森のくまさんか?

いや、そうではない。

振り向いても誰もいない。

上を見上げても木と空以外何もない。

そして、私は気が付いた。

いる。間違いなくそこにいる。

光の方へ向かって歩く私の

足元から後ろに伸びる黒い影ぼうし。


どうして気が付かなかったのだろう。

こんな大切なことに。。。

私には影がいる。もう一人のわたし。

太陽の光がなければこの影には出会えない。

でも常にここに在る。私の足元に。心の中に。

私はもう一度光の方に向き直して

まっすぐに姿勢を正し、胸を張った。

そして、深く深く息を吸った。

目を閉じて、私の中の「わたし」を感じて

そしてさらに長く細くゆっくりと息を吐く。

ここのきれいで淀みない空気を。

この地球の恵みを吸い込んで

何秒かそのまま息を止めて

一つ一つの細胞にまで行き渡らせる。

そして次の瞬間、自分の中にある

不安や恐れを全部吐き出してゆく。


呼吸できること。
それは決してあたりまえではないということ。


私たちは神様から個々に違った特性を与えられ

その命を輝かせて自分だけの花を咲かせるために

今と向き合って生きているんだね。

呼吸できるって素晴らしいことなんだね!

ハッとして、パッと見て、大きな声で母を呼んだ。

光の中にあたたかな顔が蘇ってきた。


いつも見守っていてくれてた

ただただ感謝が湧き上がってくる。

を創造してくれてありがとう。

そして、これまで生きてこれたのは

たくさんの私みたいな「ワタシ」と

私をサポートしてくれる高次の存在。

命をつないでくれたご先祖さま。

いつもそばにいてくれる自慢の「わたし」

みんな独りでしょ。みんなひとつでしょ!



小さなか細い木の幹が

長い年月をかけて枝を伸ばし

生きた歳の分だけ

その年輪を刻み、幹を大きくしていく。

嵐が来ても倒れることのない

揺るがない自分の軸を創造しながら・・・


あなたも私も・・・もう大丈夫。

みんな通る道。

みんな独りだけど一人じゃない。

藤井風から生まれた命の音たちが

今の私たちを優しく導いてくれている。。。



すべてを愛し すべてに仕えよ!

Fin







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