フリーゲーム紹介2021年まとめ15選
新年あけましておめでとうございます!✨電子の妖精プリム( @FairyPrim )です。
普段はTwitter上でフリーゲームの紹介をしているんですが、2021年に紹介したフリゲを数えてみると153個もの作品を紹介していたらしいです!改めて数としてみると、なかなかのボリュームをプレイしてきたって言う気がします(とはいえ、高まる全体のフリゲ熱の影響か、積んじゃっている作品は増え続けるばかりですが)。
そこで今回は2021年に紹介してきたフリゲの内、特に印象深かった15個のフリゲについてTwitterでは文字数の関係で触れられなかったことについて軽く触れつつ、ゆっくり振り返っていこうと思います。
なお、紹介する順番は以前に紹介した時系列順で書いていきます。
〈 ロストヘヴン -Lost Heaven- 〉
まずはこの作品!ザ!王道な長編RPGです。
記憶喪失者たちの集まる村から始まるこの物語。二転三転する密度の濃いストーリーや適度に挟まる1枚絵、ボス戦などでの熱い演出やカットイン、そして追加されたボイスの熱演っぷり!と魅力を上げればキリがない作品でした。
中でも印象深かったのは作り(システム)の丁寧さでした。戦闘でスキルがバンバン使えるように通常攻撃や防御時、戦闘終了時にMP回復が行われたり、戦闘後おまかせで味方を回復してくれる「まとめて回復」機能があったりと、RPGをやる上でかゆいところに手が届く親切設計!おそらくかなりRPG慣れした作者様だからこそ気付けるような細かい配慮が随所に見受けられ、プレイしているこちら側がなんだか嬉しくなってくるようなそんな気持ちにさせてくれる良作でした。
ザウアーさん大回転💃🗡から入ったプレイヤーは面食らうこと必須だぞ!
〈 NAROUファンタジー 〉
いわゆる「なろう系」に当たる主人公転生系のSRPG。
「なろう系」と聞いて身構えたあなた!私もそうです。あまり異世界転生ものをよく思っていないあなた!すごくわかります。そんな私に「なろう系」への興味をもたせてくれたもの。それがこの『NAROUファンタジー』です。
この作品は形としてはSRPGですが、SRPGのお約束を完全に取っ払ったゲームです。
攻撃力1の差で戦況が変わるヒリヒリした戦闘なんてありません。
何十人ものPTで陣形を組み数時間かけてちょっとずつ突破していくようなことはなく、操作キャラは精々3人なのですごい操作が楽です。
HP100しかないのに敵の攻撃で一撃200近く食らうことは日常茶飯事。むしろまだマシな方です。
最初は逃げ続けるだけで勇者は終りを迎えます。だけどここで終わらないのが転生系!あらゆる手を使って難関を突破していく、ADVや推理ゲームに近いようなプレイ感の作品です。
無数に張り巡らされた伏線の数々。その伏線が回収される頃にはきっとあなたはこの作品の虜になっているはずです。
〈 Emera.2-Odds and Ends- 〉
サイバーパンクでありながらもどこか物哀しい不思議な世界観の中で行われる、人々の葛藤を描ききった、すぎやん氏制作のRPG。
この作品には様々な人々が登場します。街に絶望し、同時に街を愛している人。生まれた時から悪事を働くしか道が残されていなかった人。街を変えるために悪に染まる人。何も望んでいないのに突然力を手にして狂ってしまった人......
十人いれば十人分の葛藤がそこにある。たとえ目的が同じでも立場が違えば敵となることもあるものです。登場人物皆が、敵味方関係なく悩みながらも”今”を生き”街”を創っている。この作品はそんな想いによって徐々に退廃してゆく街ゾノヴァでの出来事を綴った物語です。
濃厚な物語に加え、演出や言い回し、BGMによってぐっと作品に惹き込ませて良い余韻に浸らせてくれる、そんな作品です。
同作者様制作の『Qualia-盲唖の歌姫-』や『Qualia Next-道を照らして-』も同様に良い余韻に浸らせてくれる作品です。興味があればぜひそちらもどうぞ。
〈 ASTLIBRA ~生きた証~ 〉
フリゲが好きなら一度は聞いたことあるであろう『ASTLIBRA ミニ外伝 ~幻霧の洞窟~』、幾年月を重ねついに完成した作品。それが『ASTLIBRA ~生きた証~』です。
この作品の魅力はなんといってもACTの楽しさ!とりあえずガチャガチャやってれば爽快!敵がみるみる倒れていく!そして自分も死んでる!!
敵の隙をうかがい必殺攻撃をこれでもかというくらい叩き込む!爽快でありながらも難易度はそれなりで手応えがある!そんなアクションいいとこ取り!なゲームです。
物語もすごく力強く読みごたえがあります。アストライアの天秤、人語を話すカラス、夢に出てくる少女......それぞれが複雑に絡み合って時を超えた魅力を届けてくれる、まさに”生きた証”を体現した超大作でした。
〈 MARIKIN online 4 〉
撮ったスクショの、どの場面を見ても迫力マシマシ!敵味方がぬるぬる動く!まるでアニメを見ているかのような演出が続々のRPGです。
最初の印象は「これほんとにフリーゲームか!?」といったような感じ。紹介文にも書いてありますが、OPもついているという凝りっぷり。ひと目見てVXAce製だと全くわからないくらいの改変っぷり!これはたまらん!
物語自体は基本ゆる~いノリで進んでいきます。だからこそド迫力な演出や戦闘が際立ち、あらゆる面で異彩を放っている作品。
そして、作品完成以降次々とアップデートされていることでも注目度の高い一作。より一層進化する今後にも注目だ!
〈 レシアの救済、永遠の夢。 〉
手持ちのカードを組み替えながら強敵に挑んでいく、ノンフィールドカードバトルRPGです。
この作品の一番の特徴はなんといっても、手札がアルカナ、もしくはそれに類するもので構成されていて、正位置と逆位置を入れ替えることによって手札の効果が変わることでしょう
逆位置が強いカードと特定のカードを逆位置にするカードを組合わせて大ダメージを狙ったりなど、まさしくカードゲーム&ローグライトなプレイ感がありました。
クリア時などにデッキ構成や自分のステータスの一覧が出てきてWeb上に上げやすくなっていたのも良ポイント!デッキ構成で自分とはぜんぜん違う戦い方をしているんだな、と分かったりして、ゲーム外でも楽しい、そんな作品でした。
もともとローグライク(ライト)がすごく好きなのもあって、こういったプレイヤースキルが上がるにつれてどんどん先に進めるようになる系の作品はついつい何回もプレイしちゃいますね!
〈 いつか勝利の雄叫びを 〉
続いてはVIPRPG2021GWのお祭りの一作、武術一筋で育ちながらも武術をやめてしまった少女、リンファが主人公の見るゲです。
なぜ武術をやめてしまったのか。今の生活はどんな状況なのか。周りの人間はそのことをどう思っているのか。こういった状況や想いが複雑に絡み合って壮大なストーリーを生み出している作品です。
前紹介の『Emera.2-Odds and Ends-』もそうでしたが、こういった様々な思いがぶつかり合う群像劇というのはすごく心を揺さぶられますし、それにすごく心地良い気分にさせてくれます。
派手な動きこそ無いものの文章と表現力だけで強く印象に残っていく、一度読み始めると続きが気になって止まらなくなる。そういった作品です。
〈 ニアとアインの冒険 〉
今度はウディコン13回の作品、 ツクール2000やウディタでゲ製したことある方なら一度はお世話になったであろうYADO氏制作の、2画面同時に物語を進行させていくすごく変わり種なADVです。
水の挙動ひとつとっても、一つ一つが詳細な”製作力”と”アイデア”によって成り立っている。プレイヤーに対しての導線やヒントも無数に用意されていて、「これぞ求めていたフリーゲーム!」と思わせてくれるような作品でした。
紹介文では「すべての事象は表裏一体」というキャッチコピーを付けさせていただきました。右画面ではどす黒い敵への恨みを持ちながら物語は進行していき、左画面では「しあわせのあかいおはな」を見つけるために平和な世界を突き進んでいく。そしてそのストーリーが実はどこかで繋がっている。もちろんそういう意図を持ってつけたキャッチコピーではありますが、それぞれの物語でも表裏一体な部分を持ち合わせているのがこの作品の最大の魅力です。
果たして右画面での「敵」とは一体誰のことを指すのか。左画面は本当に「平和な世界」を旅する冒険なのか。細かい伏線を積み重ねて見えてくる本当の世界の実情が世界観形成に深く関わっている。クリアするだけでは分からない事を探求する楽しさ。そういう想いをこのキャッチコピーに込めさせていただきました。
〈 独立理想国家アヴァロン 〉
同じくウディコン13回の作品、自由にパラメータを振り分けてロボを操り無数の敵を殲滅していく!高い中毒性と熱い展開盛り沢山な作品!それが『独立理想国家アヴァロン』です。
この作品を一言で表すなら「固定概念の破壊」でしょうか。このロボットの正式名称「既成事象捻転兵器ディスパラダイマー」の名前の通り、今ある常識やものの見方すべてを捻じ曲げて新たにすべての国民にとって住みやすい国を作る!という、まさに理想主義国家な熱いストーリー。そしてゆる~いロボの見た目からは考えられないくらいに飛んでくる敵弾の嵐!極めつけは黒一色のシンプルすぎるタイトル!
あらゆる固定概念を取っ払って「これが俺の作品だ」と言わんばかりの熱量にただただ圧倒されるような作品。『ニアとアインの冒険』とは毛色が違いますが、これもまさしく「これぞフリーゲーム!」だったと思います。
〈 WATERI~私で「在」る為に~ 〉
つぎはまたVIPRPGの作品。2021夏の陣にて公開された、ごった煮ゲーです。
おいかけっこ、謎解き、3×3のスイッチを全部押したら扉が開く例のアレ......フリゲをやっていたら一度は出会うであろう要素がいっぱい詰まっているのがこの作品の特徴です。
↑例のアレ
フリゲでありがちなこういうミニゲーム要素。そしてこの要素がフリゲプレイヤーを一番悩ませる要素の一つでもあります。
おいかけっこが難しすぎて全然先に進めない......謎解きが全然わからなくて永遠に部屋から出られない......例のアレ全パターン試したのに全然扉開かない......そういう経験に覚えがないでしょうか?
この作品はそういった人のための救済措置がちゃんと用意されています。ちゃんとわかりやすいようにヒントが用意されている、どうしても謎が解けないときのために無理やり扉をこじ開ける選択肢や謎解きエリアそのものを飛ばせるような機能がある、追いかけっこに難易度がついていてクリアできない場合は難易度を下げてプレイできる、などちゃんとプレイヤーに寄り添って丁寧に制作されている。そういった印象を強く受けました。
いろいろな作品をプレイしてきたからこそ分かるもどかしさやイライラ、そういうものがちゃんと取っ払われて楽しい部分だけを思いっきり楽しめる。きっと製作者はフリゲ大好きなんだなと思い、少しこちらも嬉しくなる。そういう作品でした。
〈 SPOLOUS EX 〉
グ○ディウス系統を意識して作られている、横スクロール型のSTGです。
「2021年で一番プレイしたフリーゲームは何か?」と聞かれたら、間違いなくこの作品になるでしょう。
12機もの個性あふれる機体の中から1つを選び、5ルート+ααの中から好きなステージをプレイできる、ボリューム盛り沢山の作品です!12機ある機体の中にはとんでもなく強い特性を持っていたりするものもありますが、必ず弱点や苦手な地形もプラスで存在していて、同じステージを進んでいても選ぶ機体によって難しいポイントがガラッと変わる。その難しいポイントをクリアするために別の機体で挑むと、また他の難所にぶつかっていく......その試行錯誤がすごく楽しく、もう一回プレイしたい!という気持ちにさせてくれます。
この作品はステージも機体の成長システムもグ○ディウスをオマージュして作られています。とても元作品の愛を持って制作されているので、シューティング、特に横スクシューティングが好きな方に是非プレイしてもらいたい一作です。
〈 タルパの行進 〉
平穏だけど少し狂った世界。何かが壊れてしまった世界。そんな3日でループする世界を繰り返しながら各地を冒険し自分の”使命”を果たしていく、長編のRPGです。
グラフィック、物語、演出、BGMの使い方、どれもが華麗で、ついつい見入ってしまう箇所が多い作品です。
『タルパの行進』というタイトルもすごく良いですよね。クリアしたあとにあらためてタイトルを見るとそれだけでじわっと涙があふれてくる。このタイトル以上にこの作品を表している言葉はないと思うくらいにしっくり来るタイトルだと思います。
この作品の作者であるローゼンクロイツ氏は他にも『ダージュの調律』や『すでに私たちは地獄のまっただ中でした。』などを制作している方ですが、傾向としては「汚れた世界の中で生き、悩み続ける主人公の物語」が多いように感じます。
そんな中『タルパの行進』の物語は(少なくとも本筋では)「世界の汚さ」の描写が少なく、ぐっと心を締め付けられるような主人公たちの”想い”だけを取り込むことができるので、すごく入りやすい作品だと思っています。
〈 兵玉冒険記 〉
Flash世代なら知らない人はいないであろう”すずぬーとゲー”のファンゲームで、いろいろな場所を歩き回りながら力をつけ、また新たな場所を探索していくメトロイドヴァニア系の作品です。
単純に2Dアクションとしてとても面白い作品です。道中の敵を見据えて近距離武器と遠距離武器を組み替えながら強い武器を見つけつつちょっとずつ進んでいく......そんな探索アクションとしての魅力がとことん詰まったゲームです。
ちょっと道を外れて強敵と出会ったときや奥地へ進み新しい場所を発見したときに妙な高揚感や喜びを覚える感覚!探索ゲーはこれがあるからやめられない!!
あと、いい意味で敵がすごく強いです!ボスに何度もやられ、ちょっとずつパターンを覚えていき、ちょっとずつ相手の動きに対応できるようになる。敵が強ければ強いほど倒したときの達成感が大きいもの。そして、この作品は自分が強くなればなるほど確実に相手に対応できるように作られているのでちゃんと自分の成長を実感できるいい作品になっています。
敵や武器の挙動がすごく自然で、「この敵こんな動きしてたな~」であるとか、「こんな動きしてきそう!」と思わせてくれるような、ファンゲームとしてとてもリスペクトを持って制作されているように感じる作品でした。
〈 降灰した国アンシエント 〉
道中のアイテムや武器を集めながら奥地へ進んでいく、デッキ構築ローグライクです。
この作品の最大の特徴は「自分で道筋を選べる」ことでしょう。場面場面で、3つの道から好みの道を探し出し強敵を倒す力をちょっとずつ付けていく、そんな「選ぶ楽しみ」が大きいのがこの作品の魅力です。
12種類の選べる職業の中には、力は強いが先の道が見えづらいキャラや魔法が使えるがトラップに引っかかりやすいキャラなど様々なものがあり、同じステージでも敵を片っ端から倒していくのか、宝箱を開けつつ資源を集めていくのか、それとも商人からアイテムを買い次へ繋げていくのか......プレイヤーによって多様な遊び方ができる、すごく”ローグライク”な作品です。
周回プレイによって開放される要素が多いのも特徴で、プレイすればするほど強い武器、強いアイテムに出会える頻度が多くなります。それによってもっと周回プレイがしたくなってくる!非常に高い中毒性がある作品です。
〈 #白羽つきみ 消えたVtuberを知ってください 〉
友達の会話から知ったVTuber、白羽つきみ。どんな人物なのかを調べていくうちに彼女がどういう人物で、どういう経緯でVTuberをやめるようになったのかを知る......こういったストーリーの短編のWEB連動ホラーです。
この作品の面白いところは、「ゲームアツマール」というサイトに留まることなく、TwitterやYouTubeなど様々なサービスを経由しながら真相を探っていくところにあります。
彼女がどういう活動をしていてなぜ消えてしまったのか。彼女の会話や動画から少しづつ彼女に潜んだ”闇”について触れていく。様々なサイトに飛んで自分で情報を収集していく過程でこの作品のリアリティが増し、それによって驚きや心霊といった恐怖ではなく、真実を知ることへの恐怖(都市伝説的な怖さといえばいいでしょうか。)といった新感覚のホラーを感じられる作品になっています。
様々なサイトを経由して没入感を深めていく手法を「トランスメディアストーリーテリング」というらしいです。個人で実践するにはアカウントの管理や検索結果の操作などいろいろな障害があるので気軽に実践できない手法ではありますが、こういう特徴的な作品からエッセンスを吸収してより良い作品が出来上がっていく可能性を存分に感じられる、非常に挑戦的な作品でした。
おわりに
ここまでご覧頂きありがとうございます。
今回は15選という形で15個だけしか紹介できませんでしたが、今まで私が紹介してきた作品465個は全てオススメの作品です。もし何か気になる作品ありましたらぜひ手にとっていただき、製作者様に感想を伝えていってもらえればな、と思います。
近年フリーゲーム全体の質がどんどん上がってきているように感じます。これもひとえに製作者様の努力の影響でしょうか。
面白い作品を皆がプレイして、その中から良い要素を吸収して、次作る作品や次の世代の作品がもっと面白くなっていく。そういう好循環ができればいいと思います。以上、プリムでした✨
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