ハヤブサ使い 第九話 宿命

前回までのあらすじ

問題児のハヤブサと特訓すること約2か月、ルアーパスをやっと成功させたわたしだったが…

薄紫色の空に欠け始めた月が黄色く映えている。12月の凍てつく朝、私は鉄塔の上のハヤブサを見上げていた。3日前はルアーパスを十数回こなしていたハヤブサだが、ここ2日はルアーを無視するようになり、今朝に至っては送電用の鉄塔の上、地上50mほどの場所へ止まったまま動く気配がない。体重が増えすぎたのだ。皮下脂肪の蓄えが十分ある猛禽類は飛行せず、安全な高い場所に止まって辺りを見回すことがある。餌を少なめに与えておけばこのような事態は起こらなかったであろうが、皮下脂肪が少ないと夜間の急な冷え込みに対応しきれず命を落とすこともある。はじめて育てるハヤブサだけに、管理ミスで殺してしまうことをわたしは何より恐れていた。

わたしは足元から這い上がってくる冷気に耐えかねて、車中へ戻った。高い場所に止まってしまったハヤブサを取り戻すには、ハヤブサが飛び立つまで待ってからルアーを見せる必要がある。どこかに止まっているときにルアーを見せると、ハヤブサはますますその行動をとるようになるからだ。高見の見物を決め込んでいるハヤブサを待つのはあまり愉快とは言えない。

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ハヤブサ使い 第九話 宿命

KT

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ハヤブサ使い

最速の肉食鳥、ハヤブサを調教して鷹狩をするドキュメンタリー。 全11話。 第一話無料公開中。
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