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東京ミュージアム巡り③:国立近代美術館コレクション展 と 美術検定

先月受験した、美術検定の結果が今週発表になりました。無事合格してホッとしています😊

3級なので、出題範囲はベーシックな美術史でした。テキストを読んで理解したと思っても、人名・地名など、なかなか記憶に留めておくのは難しく、直前までテキストとにらめっこ→記憶が薄れないうちに受験しました。(オンライン受験だからできることですね)それでも最後の5問の活用問題(作品を見て、その特徴や画法などを正確に捉えた文章を選ぶ問題。歴史問題は1問1点に対し、こちらは3点)は、2つも落としてしまいました。。。自分の見方と違っても、見たまま書かれた答えを選ぶべきだったのに、それは違うんじゃない?という、自分の固定観念に惑わされた気がします。2級を受験するときは、そのあたり力を入れて対策したいと思います。

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さて、国立近代美術館の感想なのに、なぜ美術検定の話から始まったかと言うと、美術検定のテキストに登場する近代日本芸術の作品が、こちらに多数展示されているからなのです。これから美術検定を受けようと思う方は必見だと思いました。(あと倉敷の大原美術館も)

マリークワント展を見終わって、渋谷駅から美術館の最寄駅の竹橋駅まで地下鉄で移動。半蔵門線に乗ったのですが、日本の政治の中心地(永田町とか)の駅名を聞いて、「へぇ〜ここかー」とお上りさん丸出しで聞いていました。(笑)
竹橋駅から美術館は歩いて2〜3分くらい。毎日新聞本社の近未来的高層ビルを横目に竹橋を渡って、すぐに建物が見えてきました。竹橋のたもとからは江戸城のお堀が見えました。


「宇和島駅」の看板はデフォルトではなく、企画展の展示だそうです。
今回はコレクション展のみ見てきました。

帰りの新幹線の時間まで3時間弱だったので、コレクション展だけ駆け足で鑑賞。ワンコイン(¥500、金・土は5時から割引で¥300)で重文の貴重な作品も沢山見れて、なかなかお得&充実していました。

スタートは4階からとのことで、エレベーターを降りると、『眺めの良い部屋』(E.M.フォースター!)という名前が付いたラウンジが。ちょうど1、2枚目の写真の最上階のガラス張りの部分から、皇居の緑とオフィス街が眺められるようになっていました。座り心地のよい、お洒落なミッドセンチュリー・チェアが並べられていて、フリーWi-Fiも使えて、寛ぐ人々でほぼ席が埋まってました。(椅子にはこだわっているのか、他の展示エリアでも柳宗理のエレファントチェアやバタフライチェアが置かれていたり。係員さんの椅子はアリンコチェアでした)


暫し夜景を楽しんだ後、急足で展示室へ。4階は1880年代〜1940年代の明治〜戦前の昭和、3階以下は戦中・戦後以降の作品というふうに時代を追って展示されていて、日本の芸術を中心に、それぞれの時代を代表するような画家の作品が多数展示されていました。コレクション展は写真OKだったので、中でも印象的だった作品をご紹介します。


🎨美術検定のテキストで紹介されている作品はこちら。
萬鉄五郎の「裸体美人」をはじめ、どれも大型でインパクトある作品で、実際に見ることができて嬉しかったです。

原田直次郎 《騎龍観音》重要文化財、1890年

この人の「靴屋の親父」という作品が美術検定の活用問題に使われていたのですが、見事に不正解で・・・! 親父も激渋かったですが、ドイツに留学して学んだという、(当時の)日本人離れした筆のタッチが印象的でした。


萬鉄五郎《裸体美人》重要文化財、1912年

結婚したばかりの夫人を描いた作品。最初のインパクトはすごいですが、実際はユーモラスでかわいい作品だと思いました。頬がほんのりピンク色で、上気しているような恥じらっているような。印刷物での印象とだいぶ違って見えました。


荻原守衛《女》1910年
「頭の中でいいので、このポーズをとってみましょう。どうですか?...」という感じの解説が印象的でした。


古賀春江《海》1929年

岸田劉生 《道路と土手と塀(切通之写生)》 重要文化財、1915年



🌟他にも興味深い作品が沢山ありました。


萬鉄五郎 《太陽の麦畑 》1913年頃

地元の美術館で開催された、生誕100周年の展覧会のカタログの表紙に使われてたので、もっと大きいかと思いきや、20〜30センチほどの小ぶりの作品。ゴッホというか、色を重ねたプリズムの感じが、私にはムンクの太陽にも見えました。
東郷青児 《サルタンバンク 》1926年
ヘンリー杉本《我々のバス》1943年
国吉康雄 《待つ》1937年

最後2つは「アメリカ社会への視点」という特集展示より。真珠湾攻撃後の日系人強制収容など、マイノリティに対する差別や戦争に翻弄された人々の作品は、どれも寂しさや悲しみが感じられて、心を打つものがありました。

ちなみに、美術検定のテキストの、日本の近代芸術のところの文章が、わかりやすくてユーモアもあって好きなのですが、こちらの美術館の解説も同じテイストが感じられて良かったです。こういう解説は学芸員の方が書いているのでしょうか?

「卒業制作の大出世です」
「こってりと盛り上げた絵具で表す感じもなかなかです」

最後は時間切れで、戦後の現代アートのセクションは駆け足で鑑賞することになりました。まあ、近代に比べあまり興味がないのと、大きくて一瞥できるものが多いので、いつもそうなんですが。。。全部でなくても、それぞれ興味があるところをじっくり見るのも一つの楽しみ方だと思いました。多彩な特集と豊富なコレクションで、ほくほくした気分で展示室をあとにしました。

エレベーターを降りると、ホールにチラシが並んでいました。
マティス展やホックニー展など、興味をひく展覧会が。さすが東京だなーと感心していると、隣になんだか見覚えのある版画が使われた、お洒落なチラシが。裏返すと、画面いっぱいの(棟方)志功さんの笑顔! 全然知らなかったのですが、来年は生誕120周年のメモリアルイヤーで、「メイキング・オブ・ムナカタ」という大規模な展覧会が行われるそうです。せっかくなら青森展かしら。。。と今から計画を立てているのでした。

国立近代美術館のサイトより

              
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今年は足繁く各地の美術館へ出掛けて、美術検定に費やした一年でした👩‍🎨 美術検定を受験して良かったのは、美術史の流れが一通り順番通りに理解できたことと、アーティストや作品のマッピングができるようになったことで、より深く・幅広く楽しめるようになったことでした。あと、以前は日本の芸術については殆ど知らなかったのですが、歴史的な流れや作品と作者が結びついて、特に近代の美術に関して、今好きで読んだり調べたりしていることと、色々な方面で繋がっていることがわかって、俄然、興味を持つことができました。特にコレクション展は前よりもずっと楽しむことができるようになりました。美術・芸術・文学などをより深く楽しみたい人にはオススメの検定です。

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今年もnoteをお読みいただき、ありがとうございました😊 ゆっくりした更新ですが、来年も楽しんでいただければ、と思います。新年も素敵な1年になりますように🌟

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