okinawa2022 |選挙の記事①

「私のライフワークとして、やはり子供たちや福祉の問題は切り離せない。全力で子供、若者、女性の政策に取り組んでいきたい」
 9月11日投開票の沖縄県知事選で再選を目指す現職の玉城(たまき)デニー氏(62)=立憲民主、共産、れいわ新選組、社民推薦=は今月17日に開いた記者会見で力を込めた。この日、発表した2期目の公約で米軍基地問題と並んで挙げたのは、県経済の再生と子育て施策などの拡充。「若い世代はコロナで痛めつけられた経済を回復してほしい、将来の希望の光を見せてほしいという思いを持っている」とも語った。
陣営が勝敗の鍵を握るとみるのは、若年層からの支持の獲得だ。7月の参院選沖縄選挙区は玉城氏が支援した現職が得票率0・5ポイント差で自民新人に競り勝ったが、共同通信の出口調査によると、10~40代の各年代で、現職は自民新人に水をあけられた。陣営は「若者の支持を得なければ勝てない」と危機感を募らせる。
太平洋戦争末期の沖縄戦やその後の米国統治時代を知る高齢世代は基地問題を重視し、1972年の日本復帰後に生まれた世代は経済や暮らしの問題に関心が高い。玉城氏は若い世代を意識し、自身のツイッターで就学援助や子供の通院医療費の無償化拡大に取り組んだ実績をアピールする。
そうした姿勢は、玉城氏が貫いてきた米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に対する「反対」の訴えのみでは幅広い支持を得られないという陣営の焦りの表れでもある。
 「一坪たりとも埋め立てさせないと言っておきながら、これだけ埋め立てをされても責任を示さない。『反対』を主張するだけでは政治ではない」。17日の公開討論会で、立候補を表明している元衆院議員の下地幹郎(しもじみきお)氏(61)から玉城氏は厳しく責められた。
辺野古沿岸部の埋め立て予定海域約152ヘクタールのうち米軍キャンプ・シュワブ南側の41ヘクタールはこの4年間で埋まった。玉城氏は移設阻止に向けた「切り札」として、シュワブ東側で見つかった軟弱地盤の改良工事を認めない処分を下したが、それも国土交通相が取り消し、「無効化」した。争いは法廷闘争にもつれ込み、県が勝訴できる保証はない。
玉城氏は「軟弱地盤の工事は絶対にできない。普天間の機能をどこに移すかという議論を先に進める方が現実的な基地負担軽減につながる」と主張する。だが、玉城氏が求める「解決に向けた対話」に日本政府が応じる気配はなく、移設を止める見通しは立たないのが実情だ。
移設問題を巡って苦しい立場にある玉城氏が勝利を引き寄せることができるのか。陣営は玉城氏のソフトなイメージを頼みの綱とする。米兵の父親とウチナーンチュ(沖縄の人)の母親を持つ玉城氏は「誰一人取り残さない優しい社会」を合言葉に、性的少数者(LGBTQなど)らマイノリティー支援にも取り組んできた。「弱い人に対する目線や包容力は強く押し出されている。他の政治家にはないところだ」。陣営の県議は玉城氏の特徴をこう評する。
 玉城氏は14日に女性支持者を集めた集会でこう呼びかけた。「光が当たっていないところに、影の部分にそっと目を向け、みんなが助け合っていく。そういう沖縄を知事として目指していきたい」【比嘉洋、竹内望】

合間合間に広告を挟まれると読めないので、きれいにまとめました。