NISA口座と特定口座のどちらから引き出すか?
新NISAが先月からスタートし、私の家族は全員積み立てを開始しました。
入れるだけでなく、出す方も大事
ところで、積み立てにについては、たくさんの人が解説をしていますが、その先には、引き出すことがあります。学校の入学金・学費、家の修繕費、旅行の費用など、数年に1回は百万円単位の出費が必要になることがあります。
NISA口座か特定口座か?
その時、銀行預金に十分な残高がなければ、NISA口座か特定口座から引き出すことになります。どちらから引き出すのが得でしょうか。
非課税枠復活は早くて5年後
新NISAの場合、投資商品を売却すると翌年に非課税枠が復活しますが、それは、投資した金額が1800万円に達した後の話で、その状況になるのは、早くて5年後です。
また、非課税枠が復活する以前に、NISA口座と特定口座のどちらから引き出すのが有利かについては金融庁も、マスメディアも語っていないようです。
そこで、この問題を考えてみましょう。
問題
Aさんは、NISA口座と特定口座で、100万円ずつ同じ銘柄のインデックスファンドを投資しました。数年後に両方とも200万円ずつに増えましたが、その時に100万円の現金が必要になりました。どちらの銘柄を売るのが得でしょうか。
単純に考えるために以下の前提を置きます。
年率リターン:100%、つまり1年で2倍になる
税率:20%
年率リターン100%が高いと思われる方は、10年で100%と考えてください。
税率20%は、現在の所得税です。
A:NISA口座と特定口座に100万円ずつ投資します。
B:1年後に両口座は200万円に増えました。
C、D、E、F:NISA口座から引き出すお金に税金はかかりませんから、100万円必要なら、同額の100万円を引き出せばよいことになります。
一方、特定口座から引き出す場合には、1,111,111円引き出し、所得税の111,111円を払った後に、手元に100万円が残ることになります。1,111,111円のうち、半額の555,556円が元本で、このお金には税金がかかりません。残りの555,556円は利益で、このお金には20%の税金、つまり111,111円がかかります。
G:2年目の初めには、ご覧の金額からスタートすることになります。
H:後で、税相当額を除いた正味資産金額を計算するために、この時点での元本を計算しておきます。
I:2年目の終わりには、Gの2倍に資産が増加します。
J:IからHを差し引くと、利益が計算されます。
K:Jの利益に対して、NISA口座のお金を引き出しても税金が課せられませんが、特定口座のお金を引き出して、しかも、損益通算できなければ、20%の税金がかかります。
L:IからKの税相当額を引くと、税相当額を除く資産の金額が計算されます。
M:NISA口座と特定口座の合計額を出します。
この条件だと、2年目が終了したときに税相当額を除く正味資産は、NISA口座から引き出す場合5,400,000円、特定口座から引き出す場合5,511,111円になりました。つまり、特定口座から引き出した方が111,111円得のようです。このテーマは大切な問題なので、いずれメディアでも取り上げられることがあると思います。
以上の計算とは別に、イメージとしてどちらが得かを考えてみます。
NISA口座から引き出す場合には、特定口座を温存させることになります。そうすると、特定口座の利益が将来的に膨らんでいき、その帰結として利益に2割かかる税金も膨らんでいきます。
一方で、特定口座から引き出せば、特定口座からは税金分も含めておおっめに引き出す必要があり、NISA口座の利益が膨らんでいき、そのお金には税金がかかりません。
つまり、将来不利になる税金を目をできるだけ早く摘んだり、減らしておくほうが良いだろうということです。
特に、次の二つの場合には、特定口座から引き出すのが有利です。
その年に、特定口座内の銘柄に損失が発生し、その損失と損益通算しようという場合
保有者の死期が近づいていて、税込みの資産額を抑えることにより相続税を引き下げたい場合
下記のブログもご覧ください。
江戸庄蔵と連れ合いと娘と息子の世界株式投資
日経デジタル版にも掲載されました
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