『野球マンガ研究部』企画書

マンガに萌える?燃える高校球児!

15年前の県予選決勝、強豪校に惜敗し甲子園の夢に届かなかった県立高校の野球部。それはすっかり過去の栄光。今では練習場所を強豪サッカー部に奪われ、部室にこもり野球漫画を研究する漫画研究会となっていた。3年の春、主人公のコタニ、林田(リンダ)、西やんの3人はサッカー部の顧問に部室の引き渡しと野球部の廃部をかけて、強豪校2軍との練習試合に勝利するよう命じられる。野球部員は大リーグボール養成ギプスを着用してるなど野球漫画と共に高校生活を送っていたが、試合への勝算はゼロ。そこに1年生の入部希望者、名門中学出身の有名投手現るが…漫画のようにいかない現実に漫画から得たネタで立ち向かう高校球児の愉快な快進撃。

15年前、夏の甲子園の切符をかけて強豪校に惜敗した県立高校の野球部。今では、その面影むなしく同校の強豪であるサッカー部に練習場であるグランドを奪われ、部室にこもり野球漫画を愛する漫画研究会となっていた。3年生の春を迎えたコタニ、林田(リンダ)、西やんの3人は部室で漫画を読んでいた時、校長室に突然呼び出される。そこには野球部顧問の校長(伏線:15年前の野球部顧問でもある。)、サッカー部の顧問と才色兼備のサッカー部女子マネージャー二階堂がいた。強豪になり増員したサッカー部員のために部室の譲渡と、野球部の廃部を要求してくるサッカー部顧問。要求撤回の条件に野球部強豪校2軍との練習試合での勝利と無理難題を突き付けられる。リンダは勝利の際に二階堂の野球部専属の新条件を要求し、3人は条件を受け入れることに。個性豊かな2年の部員も要す野球部は、制服の下に大リーグボール養成ギプスを着用するなど、漫画愛に熱く日々体を鍛えていた。しかし、強豪校に勝てる勝算はゼロ…途方に暮れていたところに、入部希望の新1年生が現る。野球名門中出身の投手、沢村栄一。中学生で140キロ代後半を誇る怪物(伏線:右・左投げかの現実野球の情報に疎い3人。)と名を馳せていた人物に興奮する3人。漫画では太っているキャラが捕手であるべきだとの設定から西やんが、グランド隅のブルペンで剛速球を受ける展開に。入念な柔軟運動に余念がない沢村。そして凄みのある右投げの構えから放たれた投球は、アンダースローであった。剛速球を期待していた3人は拍子抜けし、沢村に問い正す。怪物投手は双子の弟、右投げの栄二で今度試合する強豪校スカウトされ、1年で1軍のエースになると説明する栄一。(伏線:実は栄一も左投げの速球派であったが、肩を壊し右投げにコンバート。故障のリスクの少ないアンダースローを選んだ。)『ここは怪物現るで、強豪校に勝てる可能性を提示する展開なのに!』と漫画的な展開にならないことに頭を抱えるコタニ。その状況に30代半ば高校の用務員として働くコタニのいとこヨージが笑いながら近づき、コーチに名乗りを上げる。(伏線:3人は知らないが、ヨージは15年前の野球部主将であった。)提案を無視する3人。栄一の投球を場外に打ち返しヨージが言う。『お前たちの好きな漫画みたいに、楽しい野球で勝てたら最高だろ?』3人はヨージの野球の腕を信じ依頼することに。

2話以降のストーリー:要求撤回=漫画部室が奪われる危機感に奮起する野球部員。実はコタニ、リンダと西やんの3人は中学までは野球に打ち込んだ過去があったが、勝利主義の監督にコマのように采配される野球に嫌気が差してしまい、全国各地から有力選手をかき集める方針の強豪校のスカウトを断り今の高校に進学した。野球をプレーすることから遠のいても野球漫画にのめりこんでいたのは、野球の面白さを忘れることができなかったのが大きな要因。ヨージの指導の下、久しぶりの実戦練習に野球をプレーする面白さを再認識する一同。2年の部員も同じような経験をした野球経験者で、短い期間で実戦感覚を取り戻しつつあった。ついに、強豪校との練習試合の日。相手校に出向いた部員、一年生の栄一が強豪校1軍エースの栄二と比較され、渋いほうの沢村=渋沢と相手チームに揶揄される。リンダが割って入り、ウチのエースのサブマリン。『エースのサブだ!』ときまりの悪い発言をし、笑いの展開も交えつつ。試合開始を迎える。試合の序盤は強豪校の猛攻に合い1回表で7失点。コールドゲーム目前かとあきらめムード漂う展開に、バッテリーを組む冷静沈着な西やんと栄一は余裕の表情。実は強豪校の手の内を探る二人の漫画あるある作戦であった。初回以降は大きな失点を許さず、マンガ研究部が追いかける展開。漫画ネタを随所に盛り込みながら、猛追する野球マンガ研究部。九回裏1点ビハインド、ツーアウトで西やんはしぶとく球を選び四球で出塁。続くお調子者のリンダが、実は左打ちだとハッタリをかまし、ツーストライクからのセーフティーバントで出塁。得点圏にいた西やんの代わりに小学生のように小柄だが運動能力は高い控えメンバー金子(ネコ)が代走になる展開に、セカンドベースに向かうネコをリンダが引き止め、ファーストベースにいるリンダとネコが交代する。これはリンダの策があり、勝つためにはコタニのワンヒットで二人ホームインすることを目論んでいた。打席に立つ主将コタニは優柔不断な性格、思い通りに行かない高校生活を送り、ネガティブ思考が常となっていた。漫画ネタから展開を予想し相手投手の心理を探り配球を予想するが…タイムを取るなどしぶとい心理作戦で変化球を投げさせることに成功。打ったアタリはライト線を切れるようなスピンのかかった渋い打球が飛ぶ。意図的にスピンを強くかけた打球のクッションボールをうまく処理できない相手の守備がもたつく中、鈍足の西やんがホームへ向かう。西やんを決して追い越さないようにネコが続く。ホームインした西やんはセーフ。西やんの後ろに隠れていたネコも、ドカベンの殿間のようなホームインを決めて練習試合に勝利し、要求撤回と念願のマネージャー二階堂がマネージャーになることに。実はこの二階堂は弱小であったサッカー部を強豪にしたブレーンであったことがわかる。二階堂は弱小チームを強くすることにしか興味がなく、サッカー部に残留する未練など全くなかった。そして、野球マンガ研究部が甲子園の切符を手にする目標を掲げる。漫画部室を奪還できたことで満足していた面々は、予想していない熱血展開に戸惑う。リンダは、以前から二階堂に思いを寄せていたので、二階堂にのっかり甲子園を目指すと言い出す。コタニと西やんは高校最後の夏、甲子園を目指すことに賛同し部員全体もその気になる。笑うヨージ。後に、校長先生とヨージの関係性が明かされていく。(伏線:野球部がマンガ研究部になっていくきっかけは二人の間にあった。15年前の決勝戦に惜敗した理由は、野球漫画ネタを根拠に監督の采配に反対したが、采配を押し切った監督の指示にあった…)また、それぞれの個性ある2年部員のつらい過去や、壁を乗り越えながら地区予選を勝ち進む野球ドラマが展開していく。チーム一の俊足を誇る火野(ピノ)はチーム一の盗塁成功率を誇る。バッティングセンターに入り浸る筋肉隆々の水谷(マッスル)は、野球漫画の強打者のバッティングを日々研究している。打率は低いが当たれば大きいがど真ん中をボール球と見切ってしまう癖。体罰など行き過ぎた野球指導を受け心に傷を負った木田(モッ君)は、ボーっとしていて温厚に見えるのは過去のトラウマを隠すため。金子(ネコ)は成長ホルモンの病気で小学生のような体格。しかし、野球をしたい気持ちはあるけども体格で相手にされなかった過去があった。体格が小さい利点を生かしたプレーはベースボールにはない日本野球の面白を見せる。いつも爪を噛む癖、爪が異常に強く硬い体質からナックルボールを武器に中継ぎのピッチャーとして活躍。ひたすら野球漫画のスコアデータの収集と分析を得意とする土橋(つっちー)。メジャーリーガーであるアメリカ人と日本人の母の間に生まれたハーフの大柄な日下部(マイケル)は、アメリカのベースボールと日本の野球の違いを学ぶために漫画研究会に身を置いている。漫画ネタを随所にちりばめてトーナメントを勝ち進み、甲子園の切符をかけた決勝で、強豪校と決戦するクライマックス。その舞台では栄一の弟、強豪校エースの栄二にねじ伏せられながらも食らいつくマンガ研究部。最期の見せ場では、栄一が過去に故障した左投から投球可能な15球の剛速球を披露する展開。(序盤の伏線回収。)コンセプト:甲子園と聞けば、次に常連校という言葉が容易く連想されるほど、強豪校に地方からの有力選手が一極集中する高校野球の現状。この物語は、弱小校が強豪校に立ち向かい勝利するようなありがちなサクセスストーリーではなく、一度は甲子園出場を目指したそれぞれの個性と才能を持った埋もれている球児たちが、野球漫画をネタに取り入れつつ野球本来の面白さを追求し甲子園出場まで快進撃を続ける痛快な物語。主人公はコタニ。ネガティブ思考の性格の彼が主将になったきっかけはリンダと西やんの親友として前向きな本来のコタニを取り戻してほしいという気遣いであった。個性豊かな仲間たちと野球をプレーする楽しさから本来の自分を取り戻し、さらには主将としてのリーダー像へと精神的に成長していく物語。また、野球漫画の話をこの作品中に取り入れ、キャラクターを漫画の読者に設定することで、より漫画読者目線に近い世界観でストーリーが展開を狙っており、いわゆる『漫画の世界観=現実的にあり得ない!』ではない、現実的に実現可能な要素?を取り入れた没入感の高い作品です。


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