見出し画像

『宿泊客を増やす!』自治体の目指すところと実際

観光に携わっていると観光に関しての質問をよく受ける。
インバウンドは?
とか、
コロナの時にはどうだった?
とか、
秋芳ロイヤルホテル秋芳館が無くなったけど宿泊はどうか?
などだ。
(秋芳ロイヤルホテルとは国定公園秋吉台上の唯一のホテルで43室最大250名収容のホテル。コロナ元年の2020年4月30日廃業)

その中で最後の宿泊に関してだが、ロイヤルホテルが無くなった中でも、『滞在型観光の推進』『宿泊を増やす』などの話をよく耳にする。このような議論の中で話を振られた時には返す言葉を決めている

「 地域としては宿泊の単価が一番高いこともあり増やしたがるが、この地に宿泊する理由は何なのか?情緒を求めるならば長門湯本温泉に泊まるし、遊びを求めるならば湯田温泉に泊まるだろう。ここには何の目的で泊まるのか?

長門湯本温泉 イベント『うたあかり』
湯本温泉をながれる音信川


 秋芳ロイヤルホテルがある時ならば、まだ理解はできるがキャンプとゲストハウスくらいになって宿泊に力を入れるのは費用対効果があってない。キャンプは時期や天候を選ぶし、ゲストハウスのキャパシティは昼のイベントでも話題が少し広がればすぐに埋まる。

 秋芳洞地域は秋芳洞の営業も夕方までで店もそれに合わせて閉まる。もともと昼の観光地だ。無理して宿泊で呼びたがっても、近場の温泉旅館を探したら他市の施設のみ。近場のビジネスホテルでもほぼ他市のもの。美祢市の税金でPRして、喜ぶのは他市だ。

 そんなことをするよりも、昼に適した観光地は昼に呼び、どうせない宿泊に頭を悩ませて費用をかけるのではなく『広域連携』で人気温泉街を持つ山口市や長門市、そして萩市とともに組み立てるべきではないか? 」

と。

 長門湯本温泉まで25分、湯田温泉まで30分、萩市まで40分ほどの好でPRしているが、好立地ですぐに魅力の温泉街に行ける町なのだ。泊まる理由の発掘から始めるにはとにかく時間も費用も掛かりすぎる。(そのうえもしも秋芳ロイヤルホテルのあとにどこかが入って運営をしたとしても、温泉がない麦飯石という、お風呂に入れると保温効果があり湯冷めしにくく美肌効果があるといわれるものを使った風呂だった。やはり温泉ではないことも魅力に欠ける)。もともと秋吉台上には秋芳ロイヤルホテル、秋芳プラザホテル、秋吉台グランドホテルがあったが、今はとうとう1施設もない状態だ。
 ニューヨークタイムズで山口市が話題!などの外的要因もあるが、やはり泊まる理由が打ち出せないことには優遇して企業を入れたところで、同じ問題に悩まされそうだ。

注:今市内にはキャンプ場、ゲストハウスとグランピングがあるが、そこを否定するものなどではなく、観光協会や市が公のお金を使ってPRする場合の費用対効果などを考えた私なりの意見である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?