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223、夏のカブト虫採り

もう、夏のことなんて、季節はずれかも知れませんが、春夏に、ぼくは強くて、秋冬になると、弱るんです。
いつも、体調悪くなったりします。
その、春夏ですが、もう、強いもんですから、油断し放題!!
翌日、仕事だというのに、夜の二十三時まで、友だちと、山に通って、せっせとカブト虫を採りに行ってました。

友だちは、アウトドアが趣味のかたでして、道具でも、虫よけスプレーでもなんでも用意してくれます!
ぼくは、体だけ、山に行けば!もう、カブト虫採り放題!
ほんとうに、楽しかった。

夜の山にはいっていくので、ときどき、方向音痴になって、山で迷ってしまったりするんです。それでも、ふもとですから、友だちは、「安全だ!」と言い切るのですが、ぼくは、友だちの金魚のフンでして、あとから、ついていくしかありません。友だちが迷えば、とうぜん、ぼくも迷います。ぼくなんて、右も左も、区別がつきません。

暗~い、山のなかに入って行って、周りはみな木々に囲まれています。も~、帰ろ~よ~…。三分くらいしたら、弱音を吐き出すんですが、友だちは、「いかん!やる気出せ!」と、帰してくれません。

カブト虫の、わんさかいる穴場の木があるんです。ほんの、車から、五分のところです。でも、暗い山のなかに入っていくので、三歩くらい歩いたら、ぼくは、もう、一人で帰れなくなります。
 友だちの用意してくれた、懐中電灯で、後ろから照らし、絶対、友だちを見失わないように。見失しなったら、もう、アウト!
山のふもとで、遭難者になります。
だって、そう!周りは、全部、真っ暗なんですから!
昼間なら、景色が見えるので、まだしも、夜は、景色が真っ暗。灯りは、懐中電灯の灯す光だけ。

それでも、友だちは、ずんどこ前へ前進していき、勇敢な狩人に変身します。

カブト虫が十匹つかまったら、もう、一安心!
な!これで、もう納得したやろ?帰ろ!!と言えば、友だちも、十匹も採れたんで、ホクホク顔です。

帰り、温泉の駐車場に行って、カブト虫を逃がします。

友だちは、気付いてないでしょうが、駐車場で、あとから、ついていくとき、ぼくは、お母さんの顔を思い出していました。
何故かな?
倒れてからのお母さんの顔です。
お母さんも、ウォーキングに行ったりするとき、ぼくにあとからついてくると、あー、こんな顔してたなあ…と、お母さんのことを思い出してました。
自分がどこに連れていかれるのかも、わからないで必死。付き添いの者は、ずんどこ前進している。カブト虫を逃がすとき、お母さんも、ぼくとのウォーキングで、こんな顔をしてたのでしょう。なにやら、真剣に物事に取り組んでいるひとに、ついていくと、お母さんは、こんな気分だったんだなあ…と思い出してたんです。

いびつな思いですが、友だちにそのとき、感謝してました。お母さんの愛しい顔を思い出させてくれて、ありがとう…と。
お母さんの、なにやら、どうなるんだろう?という顔でしょうか?
ぼくが、友だちについていくとき、同じ顔をしてたんです。
そのひとには、意味が分からないだろうから、なにも言ってませんが。

要するに、お母さんもあのとき、こんな気分だったんだろうなあ、と思い出せたんです。


夏の思い出でした。一週間に三回、翌日、仕事なのに、夜の山に通いました。
もう、夏は、終わってしまいましたね。
来年の夏は、どうなるんでしょう。
その前に、これから、厳しい冬を乗り越えなければなりません。
仕事も厳しくなるでしょう。
ぼくの仕事は、水仕事ですから。
来年のこと考えるより、残り、わずかな今年のことを考えないと!
限りある、またとない、お母さんの面影を探して、最短距離で駆け抜けろ!
光の射す方へ!

(最後は、ミスチルの『光の射す方へ』の歌詞から、抜粋しました!笑)

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