「いとしい仏展」から考える祈り
少し傾いていたり、左右非対称だったりして上手にできているとは言えない。でもそのほほえみや佇まいに思わずくすっとさせられる仏像たち。
主に北東北で保管されていた民間仏の展覧会、「いとしい仏」に行ってきました。民間仏とはその名の通り仏師ではなく、百姓や大工など素人によって作られた仏のことです。
作られた当時の生活は苦しく、冥土と現世は地続きであったそうです。そうしたなかでもこんなに優しい顔をした仏をつくれる当時の人々の強さが現れていました。
手作りをしてまでも仏をつくったのはなぜだろう。祈りと願いの違いは何だろう。展覧会を周りながらそんなことを考えていました。
展覧会には死後の世界の幸せを願ったり、天災で亡くなった方の供養のための仏像が多かったです。人の力では届かないような願いを仏という人智を超えたものに託しているように感じました。
自分にとって祈りとは遠くの幸せを望むこと。
願いよりも距離の願いよりも距離のある欲。展覧会を通してそんな風に考えるようになりました。
2024年が始まってまだ2か月ですが、久しぶりにあった人、遠くに行ってしまった人が多い2か月でした。今まで関わった人たちがどうか幸せであるように祈りを込めて。
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