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【SEA】Eugenio復活の巻!!!

三度の飯よりBaseball Savant、皆さんこんにちはHBえんぴつです。

2022年、Marinersは2年連続90勝をあげ、北米スポーツ記録の21年連続プレーオフ進出なしという不名誉な記録についに終止符を打つことになったわけですが、2021年も同様に90勝し惜しくもプレーオフを逃したわけですが、逃した要因の一つに打線があげられます。簡単な例を一つ上げるとするなら21年の得失点差はなんと-51です。そのため21年オフは打線強化が最優先事項でした。そのおかげもありPadresからトレードでこの年にASに選ばれたAdam Fraizerを獲得することに成功したわけですが、FA市場は高騰しそのままLockoutに突入となりました。そしてLockoutが明けてからも市場の高騰は続いたのも影響してか現地時間の3月14日、Redsとの大型トレードが成立しました。

このトレードでMarinersはWinkerとSuarezを獲得しました。しかし、この当時の目玉はSuarezではなくともにやってきたWinkerでした。Winkerは21年シーズンに打率0.302 出塁率0.394 長打率0.556 OPS0.949 と素晴らしい成績を残しASに選出されていました。また、この時点で保有権が2年残っており今後二年間、左の強打者が残るというMarinersにとって旨味しかないトレードとなっています。

ではSuarezはどうだったかというとSalary Dumpの要素が強いです。Suarezは2017年オフにRedsと7年66Mの契約を結んでいました。18年はHR37本でAS出場、19年はHR49本で53本のAlonsoに次いで2位の結果を残しています。しかし、コロナの影響かはわかりませんがその後は成績は下降、21年シーズンはHRは31本でしたが、打率0.198 OPS0.713と振るわず、Redsが再建に入るのと同時にWinkerとともにSeattleにやってきました。

では22年シーズンを通して彼らはどうなったのか、FangraphsのWARでは以下のようになりました。

        2021年        2022年
Winker      2.9                                     0.4                -2.5
Suarez                   -0.1                                     4.1               +4.2

このように開幕前とは立場が逆転したような形になり、Winkerは22年オフにBrewersへトレードとなりました。しかしもともとのポテンシャルはあるといってもこのSuarezの復活にはいささか疑問点が残ります。
その一つとして挙げられるのがPark Factorからみる本拠地の問題です。Reds本拠地のGrate American Ball Parkは打者有利の球場でありMariners本拠地のT-mobile Parkは投手有利の球場として有名です。事実、Baseballsavantによると、2021年のReds本拠地であるGreat American Ball ParkのPark Factorは110で30球場中2位、対してMariners本拠地のT-mobile ParkのPFは91で最下位を記録しています。2022年でもGrate American Ball Parkは109T-mobile Parkは91と順位は前年と変わっていません。なので打者天国の本拠地で不振だったのにも関わらず、投手有利の球場に来たとたん復活するというにわかには信じがたい出来事が起こっています。実際にこれだけが原因ではありませんがWinkerはシーズンを通して不調でした。
それに加えて、T-mobile Parkは右打者地獄としても有名で過去10年(2013-2022)で年間30本以上のHRを放った右打ちの選手は22年のSuarez以外ではCruz, Hanigerただ2人だけです。

ではなぜSuarezは復活できたのか、そこには2つの復活要因があげられます。

復活のカギとなった2つの要因

1,Sinkerへのアプローチ劇的改善

まず挙げられるのがSinkerへのアプローチが劇的に改善したことです。改善したという表現を使っていますが、実はもともとSuarezはSinkerを得意球としていました。
37本、49本を記録した18年、19年のSinkerのRun Value1713であり、二年連続で大きくプラスを記録しています。BaseballSavantによると、この時の打率、長打率、Hard Hit%は以下の通りです。  
         打率        長打率       HH%
2018年        0.376        0.615                  42.2
2019年                     0.328                   0.712       40.0

このようにいかに得意にしていたことがわかりますが、20年、21年はアプローチが途端に悪くなり20年は-421年は驚異の-17を記録しています。

                               打率                  長打率               HH%
2020年                0.179                    0.333                  40.0
2021年                   0.129                    0.228                   33.0


この数字を見てもらえればよりSuarezがSinkerを苦手になったかの実感がわくでしょう。
全体の球種別成績も振り返ろうと思います19年は4-seamerのアプローチ(Run value->19)も向上しこれがキャリアハイの成績を残せた要因だと考えますが、それ以外の球種(Slider,Curveball,Changeup,Cutter,Splitter)のRun Valueの最高値はCutterの2でそれ以外は0、もしくはマイナスの値を出しています。それが21年になるとどうなったか。

Baseballsavantより引用

このようにそれ以外の球種のアプローチはそのままで4-seamer、Sinkerのアプローチが大幅に低下したのが低調なシーズンになった要因にひとつです。

では2022年はどうなったのか。まずは全体のRun Valueを確認していきます。

Baseballsavantより引用

このように全体的に改善していますが、特にSinkerのRun Valueが劇的に改善しています。
Sinkerに焦点を当てるとどれだけ2019年と同じくらいに改善しています。
         打率      長打率    HH%
2019年                     0.328                    0.712     40.0
2021年                     0.129                    0.228                33.0
2022年        0.313                    0.545                38.0

長打率は19年に追い付いていませんが、打率、HH%は19年に近づいており、Sinkerの22年のRun Valueである10メジャーリーグ全体10位の成績を残しています。これはNL打点王のPete Alonso, NL打率2位のFreddie Freemanよりも高い数値となっています。これに加えて4-seamerのアプローチが改善すれば23年は18年、19年並みの成績を残せるかもしれません。

2,NL中地区からの脱出

二つ目に挙げるのがNL中地区からAL西地区に移籍したことです。
前述したとおり、SuarezはNL中地区のCincinnati Redsに所属していました。なので同じ中地区で地区優勝を狙う四球団であるCHC、MIL、PIT、STLとそれ以外のチームと比べてより多くの試合数戦うことになります。2019年にSuarezはそれぞれ20、19、19、18試合に出場しており、全体の出場試合数のうち47.7%を占めています。ではなぜこれらが重要かというとSuarezはこの地区との対戦を得意としていたからです。

Baseball Referenceより引用

この図はSuarezの2019年の全体の成績とNL中地区4球団各チームとの対戦成績を比較したものです。青は自身の成績よりも数字が下、赤は上で色付けしていますが御覧の通り、ほとんどが赤で特にCHC、MIL、STLの三球団をカモにしていたということがわかります。
それに加えて、この年は本拠地の地の利を存分に生かしていた年でもあり、
76試合で打率 0.294 出塁率 0.374 長打率 0.596 OPS 0.970という自身の成績と比べてもすべてで数字が上でした。

それが2021年はどうなったかは以下の通りです。

Baseball Referenceより引用

確かに赤が多いですが、そもそもの成績が悪い上に、CHC戦での成績もあまり自身の成績と変わりなく、tOPS+(基準は100,高いほうがいい)は106で、2019年時の161から大きく下落しています。

ではAL西地区に移籍して成績はどうなったかというと実は青のほうが多いのが現状です。

Baseball Referenceより引用

それでもAL西地区に移籍してきてよかったと思う点、それは敵地での成績です。

先ほど紹介したtOPS+で各地区の敵地成績を見ると以下のようになります。

PIT戦どうなったんや

このように2022年はHOUとの対戦以外では敵地での成績は良好です。また、Mariners本拠地であるT-mobile parkでは打率 0.233 出塁率 0.335 長打率 0.448 OPS 0.783とシーズン成績とさほど変わらない活躍を見せています。

最後に


他にも様々な理由はありますが、私が注目したのはこの二点です。22年は復活の年となったSuarezですがキャリア初のWalk-OFF HRも記録(しかも二本)しており彼にとっても特別な一年になったことでしょう。
23年はHOU戦での成績をもうちょっとあげてほしいなというのがファン目線からの感想です。
以上です。最後に意外な足技をみせるSuarezをご覧ください。ありがとうございました。

Citations
Jesse Winker, Eugenio Suárez traded to Mariners (mlb.com)
Jesse Winker 2021 Batting Splits | Baseball-Reference.com
Eugenio Suárez 2021 Batting Splits | Baseball-Reference.com
Eugenio Suárez - Stats - Batting | FanGraphs Baseball
Jesse Winker - Stats - Batting | FanGraphs Baseball
Statcast Park Factors | baseballsavant.com (mlb.com)
Eugenio Suárez Statcast, Visuals & Advanced Metrics | MLB.com | baseballsavant.com
Eugenio Suárez Stats, Height, Weight, Position, Rookie Status & More | Baseball-Reference.com
Eugenio Suárez 2021 Batting Splits | Baseball-Reference.com
Eugenio Suárez 2022 Batting Splits | Baseball-Reference.com


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