【ss】不戦敗ゲーム


「なあ、どうなの?」


かれこれ数十分ほどだろうか。
私は目の前の不服そうな幼馴染みに、同じ質問を繰り返されている。


「どうって言われても分かんないよ」

「思い付かないならいいじゃん」

「そういう問題じゃないでしょ」

「そんな難しく考えんなって」


幼い頃から一緒に遊んできたし、大抵の思い出を共有してる異性では断トツの理解者だと思ってたのに。
こんなにも彼の思考が読めないのは初めてで、どうしたらいいのか全く頭が働かない。


「簡単に考える方が難しいでしょうが」

「そう?普通キライな所があるならパッと思い付くはずだろ?」

「だから…、特にキライな所なんてないけど…その……恋愛感情としての好きってのは感じたことがないっていうか…」

「そんなの今からでいいって」

「だからそんな簡単に…」

「簡単だよ」


私のモヤモヤした気持ちを吹き飛ばすくらいに、こうもハッキリとした口調で遮られると二の句がつげなくなる。


「…………」

「絶対好きにさせるから。
お前が俺無しじゃダメになるくらい甘やかしてやれるのなんて俺くらいだって分かってんだろ?」


こんな顔するんだ…って思ったら、
なんか突然ドキドキしてきて。

これはもう始まってるって事なんだろうか。


「分かってんだろ?」

「何を…?」

「お前子供の頃から俺に勝てた事なかったじゃん、鬼ごっこ」

「それが何なのよ…?」

「だからきっとまたお前は俺に捕まえられんの。
それはもう決定事項だから」


あぁ、そっか。


妙に納得してしまった。


やっぱりもう始まってたんだな。


そしてもう、
彼には結末まで見えてるんだなって。


あまりにも彼の思い通りなのは少し悔しいけど。
この胸がドキドキしてしまっている以上、もう手を伸ばせば届く距離にまで彼に追い付かれている事は明白だった。


*end*



(追われてるのに、心地良い。)
お読み頂きありがとうございました。

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如月

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如月

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