【ss】以心伝心


どうしてコイツなんだろう……


端から見れば普通に仲は悪いと思う。
性格は真逆だし、何よりコイツは鋭い。
普通なら騙されてくれる所をめざとく見つけては文句をつけにくる。

いわば天敵。

ほら今だって……

「なんでそうやってクール気取るかなぁ」

「何がだよ?」

「今の。誉められて絶対嬉しいくせに。
聞こえてない振りしてカッコ付けたでしょ」


………図星だからこそ腹立つ。


「カッコなんか付けてねーし。
…ったく、いちいち絡んでくんなよ」

「愛想の無い男はこれだから嫌だよねー。
ちょっとはニコニコすればいいのに」

そう言って他の奴の方へ向かって行ったアイツの背中が無性に俺を苛立たせた。


「なんだよ、……うぜー」

思わず声に出ていた俺の呟きに「お前らマジで仲悪いよな」と、友達が苦笑い混じりに答える程にこれが俺達の日常だ。


なのにアイツの行き先が気になって、
アイツの一言に傷付いて、
アイツと目が合うと心臓がうるさくなる。

なんでアイツの事なんか…って思うのがバカらしい程に、俺の感情は分かりやすく思考回路に訴えかけてくるんだ。


もしも俺が素直に好きだと告げたら、お前はどんな顔するのかな?
冗談下手だって笑うだろうか。
それともふざけるなって怒る?

そんな事を考えていたら思わず表情が緩んでいたらしく、珍しいモノでも見つけたみたいにアイツの顔が近付いた。


「なに一人でニヤついてんの?」


こうして誰よりも早く俺の変化に気付いて、一番に声を掛けにくる。
いつも悪態ばかりだから気付かなかったけど、もしかしてお前も…って、少しだけ期待してみようか。


「これからも俺の事ずっと見とけよな?」

「………は?」

「俺は見てるからさ。ずっとお前の事」


*end*


(好きの一言は勇気が足りなくて出てこなかったけど、きっとお前なら分かるだろ。
俺の事なら、なんだって。)
お読み頂きありがとうございました。

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