『廃墟にて』クトゥルフ神話TRPG オリジナルシナリオ

シナリオタイトル:『廃墟にて』

シナリオ概要
現代。ほぼクローズドシナリオ。
所要時間は3〜4時間ほど。ロスト有(低)。
基本は6版のルールブックに添ってます。
ゲーム進行上の不明点はそちらで確認ください。
一部個人的な解釈や、オリジナル要素があります。
比較的初心者向けだと思っています。

誤字や脱字、気になる点がありましたら連絡ください。

登場NPC
・青麦春(あおむぎ しゅん)
青髪。
探索者たちとは共通の知り合いでお調子者。
いつまで経っても子供っぽい印象がなくならない。
が、そこがみんなを引っ張る活力なのだろう。
探索者たちを廃墟探索に誘う。

・八星黄衣(やつほし きえ)
金髪。
行方不明になり、捜索されているようだ。
青麦春とは幼なじみ。

・灰夜鳴子(はいよる なるこ)
銀髪。
とても美人の探偵。
景尾須探偵事務所所長。

推奨技能
・目星
・図書館
・戦闘技能

★導入
探索者たちは青麦春とともに、行きつけの定食屋でご飯を食べている。
そこで、廃墟探索の提案があった。

■定食屋の情報(全員が知っている情報)
木製の椅子や机が並んでいる。
そのところどころには年季を感じさせる傷や、壊れた部分を補修した跡などがある。
また、隅にはテレビが置かれており、ニュースが流れている。
店長は探索者も顔見知りで、怒ると怖い。

▲△▲△▲ここから先はKP情報△▲△▲△


■青麦の提案
「正面の入口は瓦礫で埋まって入れないんだけど、裏口を見つけたんだ!"明日"みんなで行こうよ!」
ここに関しては探索者が嫌がった場合、報酬で釣りましょう。最終手段としては、みんな青麦には恩があるなどの設定の追加でしょうか。

■廃墟に関する噂(全員が知っている情報)
海の近くにある研究所。
もう随分長いこと使われていない。
撤去するための工事が何度も計画されたが、
不幸な事故が重なりすべて取りやめになった。
今では誰も触れようとせずに、放置されてしまっている。
□強制聞き耳ロール
青麦の提案に賛成した頃に聞き耳の判定。
成功した場合、女性が行方不明になったニュースが流れていることがわかり、青麦春がそれを真剣な眼差しで見ていることがわかる。
テレビに映し出されているのは、【八星黄衣】と言う金髪の女性だ。

★解散
食事を終えた後、青麦は手を大きく振り
「それじゃあまた明日なー!」と走って帰っていく。
残された探索者たちもそれぞれの家へと帰ろうとしていると、探偵を名乗る女性がやってくる。

■灰夜鳴子
「やぁ、君たち。いきなりで申し訳ないが、この女性について何か知らないかい?」
いきなり話し始めるとともに、一枚の写真を見せてくる。
そこに写っていたのは、金色の髪をした綺麗な女性。※八星黄衣
(ニュースを見た探索者は気付くかもしれない)
一通り会話が終わると去っていく
※尾行すると探偵事務所に着く。
(追跡の判定に3回成功する必要がある)
ちなみに着いても何か情報があるわけではない。
※心理学はうまく読み取れない。
□質問
Q.何故人を探しているのか
A.依頼を受けたからだよ
Q.どんな依頼なのか
A.それは言えないね
Q.あなたを信用していいのか?
A.それはご自由に
Q.APPは?
A.18

★廃墟へ
翌日、無事廃墟へと到着した探索者たち。
しかし、「もう着いてるぞ!」と急かすようなメッセージを送っていた青麦の姿が見えない。
※帰ろうとすると突然の雷雨に襲われる。
このまま外に出続けるのは大変危険だ。
また、ここからは電子機器が圏外となる。
■廃墟
海が近いからか、比較的草木は少ない。
知っての通り、入口は瓦礫で潰れており、
申し訳程度に張られた立ち入り禁止のテープが、そのわずかな役目すら果たせず地面に垂れていた。
青麦から聞いていた裏口へは、少し離れた樹々の生い茂る森を通ることでたどり着く。
確かに人工的な建築物だが、斜度のある位置に建っており、本当にここが廃墟と繋がっているのだろうかと疑問に思うかもしれない。
□裏口前で目星
青麦の携帯を見つける
コンピューターor幸運に成功すると、
パスワードを解除することができる。
ホーム画面は青麦春と八星黄衣が2人で写っている写真であり、写真フォルダの中にも2人が仲良さそうに写っている写真が数多くある。

★雷雨
ある程度の探索、或いは帰ろうとした場合
あたりが急に暗くなり、雷を伴った雨が降り始める。
あまりにも激しい雨によって、探索者たちは中へ入ることを強いられるだろう。
■最初の部屋
明かりがなく薄暗い部屋。
部屋というよりかはもはや空間としか言いようがない。
奥には少しだけ手前に開いた頑丈そうな扉がある。
また、中央には銀色の髪の女性が倒れている。
これは昨夜出会った灰夜鳴子で間違いない。
※しばらくこの部屋に止まっていると、外の雨が浸水してくる。
□近くで観察or目星等
血の気がない、生きている気配を感じない
SAN値チェック 0/1d3
□医学
外傷は見られないが、
もう生きていないことがわかる
SAN値チェック 1/1d6
□部屋や奥の扉への聞き耳や目星
特にわかることはない

★通路
最初の部屋を越えて進むと大きな通路に出る。
左右に二つずつと、正面に一つの合計5つ扉が見える。
また、梯子で上に登れそうなところがあるが、瓦礫で潰れてしまっている。
窓はないが、明かりがついている。
誰かが利用しているのだろうか?
■左手前の部屋
□聞き耳
扉越しに耳をすますと、何かの呻き声のようなものが聞こえる。
□部屋への目星
中は静かで、想像していたような生き物は何もいない。
部屋の手前には大きな水槽がいくつもあるが、そのどれもが破損し、背景と化している。
部屋の奥の方は少し窪んでおり、壁から滲み出たのか水の溜まった箇所がある。
また、壁の一箇所だけが他の場所よりも汚れている。
□水溜まりの調査
血を流す銀色の小魚が、力なく浮かんでいる
※これは「レイン・クロイン」である
※もし悪戯に命を奪おうとしたのなら、本来の姿になり襲いかかってくるだろう。
それは魚というよりはまるで竜のような大きな躰をしていた。その尊大さを示す口や髭が、探索者の命を奪うためだけに駆使されようとしている。
SAN値チェック 1d3/1d10
戦闘:手負いのレイン・クロインの幼体
爪 50% 1d6+4
噛みつき 50% 2d6+2 拘束
HP30 装甲1 dex12
□レイン・クロインの治療
応急手当てセットなどを使用し、治療した場合、壁の小さな穴を通って魚は海へと帰っていく。
□壁
その部分を押し込むと、床の一部が動きハッチが出現する。
ハッチを開けると水面に映る自分の顔を見ることになるだろう。
海に続いていそうなのがわかる。

■左奥の部屋
□聞き耳
特に何も聞こえない。
□部屋への目星
瓦礫で埋もれた部屋
ベッドや、本棚の残骸と瓦礫が散らばっており、ところどころ赤茶色く汚れている。
盛り上がっている部分が一つだけある。
□盛り上がりの調査
掘り起こすと死体となり、更には朽ちかけているものの山が現れる。
SAN値チェック1/1d6+1
更にその下から金庫を見つける 
□金庫
4桁の番号が必要「3535」
中には書類とダイナマイトが入っている。
※ダイナマイト
ダメージ
近距離:4d10
中距離:2d10
遠距離:1d10
書類には以下のことが記載されている
『非常口の扉について』
扉は頑丈で、ダイナマイトですら壊せないだろう。しかし、周りの壁はそうでもないようだ。
その対策として地下に建設することを決めた。
『緊急脱出経路について』
左手前の部屋は海に通じている。
一部の壁を強く押し込むことでハッチが現れる仕組みになっている。
とはいえ、ただ泳ぐには外の空気までが遠すぎる。緊急の際は潜水用の道具を持つこと。
『地球外生命体について』
最初は驚きこそしたが、相手の要求さえ飲めばこちらの欲しいものを全て用意してくれる。
これほど都合のいい存在はいないだろう。
見た目の異形さだけはいまだに慣れないが

■右手前の部屋
□聞き耳
特に何も聞こえない
□部屋への目星
図書館のように本棚が並べられていた
─計画ような痕跡がある
本棚は軒並み倒れ、本が乱雑に投げ出されている
□本棚の調査
破損が目立つ本や棚が多いが、壁際にある小さな棚などはあまり損傷がない。
運が良ければ辞書等が見つかるかもしれない。
小さな棚は個人用スペースのようで、日記が二つと、破れたメモが一つ見つかる。
□日記1 
※日本語で書かれている
「奇妙な生き物との研究が始まった。
最初は驚いたが、こいつらの高度な科学力を
利用すれば我々の研究はきっと身を結ぶ。」
「奴らはどこからか現れ、どこかへと消える。
もしかしたらこの研究所のどこかに新しい部屋や隠し通路を…というのは行き過ぎた妄想だろうか。
得体の知れない生き物なんだ、透明になることぐらいできるのかもしれない。」
「最近、研究所に来なくなる研究員が増えた気がする。それに、様子がおかしくなった者も…。このことについては少し調べたほうがいいかもしれない」
「やつ、、、めだ、、お、、ちは、、、、だ。
そ、、もな、、こ、ち、、。いあいあ****
*残りのページは汚れていて読めない
□日記2
※英語で書かれている(英)
知識の半分に成功することで一部が読める(知)
『×××××』
英(『レイン・クロインについての研究』)
知(『×××××についての研究』)
「×××××××」
英(「偶然、伝承の生物とされるレイン・クロインを捕獲することに成功した。話通り銀色の小魚に化けることができるらしい。しかし、まだ幼体なのか、鯨を一度に7匹も食べるというほど大きくはないようだ。もしかしたら今頃親が探し回っているのかも知れないが、そんなことは知ったことではない」)
知(「×××伝承の生物×××××捕獲××××成功。
銀色の×××××親×××××××××××××」)
□破れたメモ
破れてしまっているため、全容はわからないが
『PS:3535』と書かれている

■右奥の部屋
□聞き耳
特に何も聞こえない
□部屋への目星
部屋というよりかは倉庫のようだ。
壁沿いには銀色の円筒が無数に並べられている。
また、ダイナマイトや応急手当て光線銃のようなものが置かれていたり、目的を持って探すのであれば潜水用の道具があるかもしれない。
□銀色の円筒
蓋がついた綺麗な筒。
蓋を開けると、中は水で満たされており、
それはそれは綺麗な人間の脳が入っている。
SAN値チェック1/1d6

■正面の部屋
□聞き耳
特に何も聞こえない
□部屋への目星
沢山のデスクとパソコン、その他の電子機器が並べられている。
奥にはこの部屋に似合わない、明らかに異質な祭壇のようなものがある。
□電子機器
電源が入ってはいるが、厳重なロックがかかっており中身は確認できない。
□祭壇
祭壇の手前には青麦春が倒れている。
意識を失っているが、生きてはいるようだ。
※声かけなどで起こすことができる
そこまで近付くと、祭壇や壁がくっきりと見えるだろう。
祭壇のある壁には大きな絵が描かれている
以下はその描写
巨大な雲状の塊の絵が描かれている。その塊は泡立ち、ただれており、ヒモのような黒い触手とか、粘液をだらだら垂らしている口とか、先端が黒い蹄になっている、ねじれた短い足などが生えている。
SAN値チェック 1d3/1d10
よく見ると、ラテン語でシュブニグラスと書かれている。
また、祭壇の近くを調べるとスイッチのようなものを見つけることができる。
□祭壇のスイッチ
押すと新しい通路が開かれる。
一本道をそのまま進んでいくと、幾何学的な模様の不思議な扉が見えてくる。

■隠し部屋
□聞き耳
扉周りには電子音のようなノイズがあり、うまく聞き取ることができない。
□部屋の描写
開けた先には、明らかに現代の技術ではなさそうな機械類の数々が光を放っている。
部屋の中央には台座のようなものがあり、それを囲うように三匹の生き物がいる。
台座の上には金色の髪をした女性が倒れているのがわかる。
□生き物の描写
体長は5フィートほどで、一見すると薄赤色の甲殻類のような生き物。
3対の先に鉤爪のついた手足があり、頭は渦巻いたような模様と多数の触角がある
SAN値チェック 1/1d6

■戦闘
3匹は台座の上にいる女性を取り囲んで、なにかをしているようだ。
こちらには気付いているようだが、何かをしてくる気配はない。
女性を助けようとすると、戦闘が始まる。
※青麦春を連れてきていた場合、すぐさま「黄衣!」と叫びながら飛びかかる。
ミ=ゴの1体に拳(1d3)を与えるが、鉤爪で払われ気を失う。
・ミ=ゴ×3
HP10     DEX14
鉤爪(70%) 1d8(近くにいる場合のみ使用)
電気銃 (50%) 1d10(+1d3ラウンドの硬直)

■戦闘後
無事に勝利した場合、赤く光る警告とともに崩壊が始まろうとする。
早く脱出しないと、このままでは生き埋めになってしまうだろう。
●裏口からの脱出
水が溜まっているのだろうか、扉が開かない
●壁の破壊
※ダイナマイトの使用
海水が流れ込んでくる。水流には抗えない。
●ハッチからの脱出
水泳の判定に3連続成功することで脱出成功
失敗した場合は幸運で判定を行う
※潜水用の道具があれば水泳の技能値を+50する
※レイン・クロインを助けていた場合は
技能に失敗したとしても自動的に脱出成功。
●その他の脱出
もしも素晴らしい提案があればそれを優先していただいて大丈夫です。

★エンディング
ED1:還らぬ者たち
条件:ミ=ゴとの戦闘に敗北する以外で死亡
行方不明として数名がニュースになっている

ED2:生贄となりて
条件:ミ=ゴとの戦闘に敗北
暗い、暗い。何も見えない。わからない。
探索者だったものたちは暗闇の中で、その意識を閉じることができないまま永遠とも思える時を過ごすことになるだろう。
銀色の筒を眺める生命体たちのことなど知りもしないまま。
ロストエンド

ED2:廃墟からの脱出
条件:ハッチからの脱出を選択
探索者たちは必死に泳いだ。
外の光が見えたところで、その意識は限界を迎える。
気がつくと知らない天井があった。
どうやら浜辺に打ち上げられていたところを発見され、病院へと運ばれたようだった。
探索者それぞれの容態は次のようになっている
◆水泳に3回とも成功
→特にペナルティなし
◆水泳に失敗、幸運に成功
→海への恐怖心が芽生えてしまう
◆水泳、幸運の両方に失敗
→海への恐怖心に加え、後遺症が残りDEXが半分になる
癒えない傷を負った探索者たちがいたかもしれないが、生きてはいる。
記憶をはっきりとは思い出せないが、自分たちは絆の力で困難に打ち勝ったのだと自信を持つことができるだろう。

ED3:海竜の加護
条件:傷付いたレイン・クロインを救出し、ハッチから脱出。
探索者たちは必死に泳いだが、今日は海の中も酷く荒れていた。どんなに足掻いても先が見えずに体力の限界を迎えようとしていたとき、探索者たちは後ろからやってきた水流に飲まれ、外へと飛ばされる。
レイン・クロインを助けた探索者は、薄れゆく意識の中海の中に映る巨大な竜のような姿を見るかもしれない。
気がつくと知らない天井があった。
どうやら浜辺に打ち上げられていたところを発見され、病院へと運ばれたようだった。
癒えない傷を負った探索者たちがいたかもしれないが、生きてはいる。
記憶をはっきりとは思い出せないが、自分たちは絆の力で困難に打ち勝ったのだと自信を持つことができるだろう。
また、レイン・クロインを助けた探索者の腕にはアーティファクト「海竜の腕輪」がついている。

★エピローグ
ランダムな探索者は夜道を歩いていた。
何度も思い出していたあの日の出来事だって、少しずつ風化しようとしていたある日のこと。
長い銀色の髪を靡かせる女性が歩いていた。
それは間違いない、あの日確かに死んでいたはずの灰夜鳴子だった。

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