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極東書店ニュースNo.723 日本人著者・日本関連テーマ 注目タイトル

極東書店ニュースONLINE、2024年5月1日に新着書誌情報を追加いたしました(No.723)。その中から日本人著者・日本関連テーマの注目タイトルをご紹介いたします。

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石川匡著 ジェンダーの地理学-帝国日本と植民地期台湾における家族と法

Ishikawa, Tadashi, Geographies of Gender: Family and Law in Imperial Japan and Colonial Taiwan. 2024 (Cambridge U. Pr.) <723-435>

1895年からの日本の台湾植民地化を機に、日本帝国におけるジェンダーの認識と実践をたどった1冊。

1910年代、大日本帝国と植民地当局は、特に家族の伝統、ひいてはジェンダー関係に影響を与える方法で社会改革を試み、帝国内外の比較政治への道を開きました。

著者は、さまざまな外交問題、植民地・反植民地的言説、裁判例を掘り下げ、結婚贈与、娘の養子縁組、婚前の性的関係などが、エリートや一般男女の間で規範と理想の間の緊張の場となっていたことを明らかにしており、1910年代から1937年の日中戦争勃発まで、日本帝国がいかにジェンダー化された空間となったかを探求し、メトロポールとコロニーの関係の不安定さを浮き彫りにするような形で、ジェンダー規範が不安定になると同時に強化されたと論じています。



小川晃弘他編 アジアを横断する市民社会の多様性


Ogawa, Akihiro / Spires, Anthony (eds.), Varieties of Civil Society Across Asia. (Routledge Contemporary Asia Series) 2024 (Routledge, UK) <723-624>

アジアというダイナミックで相互接続された形成を再定義するために、アジアの国や地域における独特な特徴を持つ市民社会を探求する

本書は、伝統的に欧米の非政府組織が採用する手法を模倣したり借用したりすることが観察されてきたアジア各地の慈善団体や財団などの市民社会組織が、いかにして国家との独特な関係を築き、斬新な市民的手法を発明してきたかを記録しています。さらに、そのような組織が、ガバナンスのための特徴的な枠組みや、新たな社会的実践と反映のための空間をどのように作り出してきたかを浮き彫りにしています。



D.ロング、今村圭介著 太平洋地域における日本語

Long, Daniel / Imamura, Keisuke, The Japanese Language in the Pacific Region. (Routledge Studies in East Asian Linguistics)2024(Routledge, UK)<723-1446>

本書は、アジア太平洋地域の島々が日本帝国に占領された20世紀初頭から21世紀に至るまで、14の異なる言語で使用されている5,150の日本語由来の借用語を検証しています。

21世紀の現在においても、太平洋諸島の言語の語彙の基本的な部分を形成しているこれらの借用語の意味的、音韻的、文法的変化を掘り下げ、著者らは、現地語の一部を日本語の仮名遣いで表記することや、アンガウル島のピジノイド現象についても考察しています。

植民地時代から戦後、そして今世紀に至るまで、この地域で日本語がどのように使われてきたかについて、ユニークな理解を得ることができるでしょう。


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