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なぜ自家採種って大切なの?

農業に関わり始めてまだ2年、農業の世界は知らないことだらけで、奥の深さを実感しているFARMYの平田です。

まだ2年ですが自然農に関わり、
「作物の種は人類の宝物で私たちが守っていかないといけないもの」
「種は生命そのもの 種がなくなっては私たち人類は生きていけない」
ということを教えていただき、そして実感しているわけですが、

本日の記事は、
自然栽培ではとても大事にされている自家採種
その重要性を考えます。

自家採種をしよう

そもそも自家採種って何?

自家採種とは
農家が自ら生産した作物から種子を採取することをいいます。

作物は、一つの種から生まれます。

お米も大豆も小豆も、一粒の種から苗の芽が出てきます。
キャベツ、にんじん、かぼちゃ、春菊、玉ねぎ、白菜・・・・
全ての野菜は、一粒の種からできます。

全ての生命の源が小さな種に詰まっているんですね。

今年私たちが栽培したお米、「イセヒカリ」は去年つくったお米を籾で残しておき、今年の種籾として使いました。


このイセヒカリはいろいろなご縁のつながりで昨年たまたま苗を譲っていただくことができ、去年収穫したイセヒカリはほとんど食べずに籾のまま残し、今シーズン栽培したイセヒカリは全て自家採種した籾から栽培しました。

他にも、今年私たちはたくさんの大豆を作りましたが、その中の青大豆(青ばた)は、去年地元のお豆腐屋さんから紹介してもらい、種を譲ってもらいました。後でこの青大豆(青バタ)が実は40年間自家採種をしてつないできた大豆ということを知りびっくり^ ^

▼千年豆腐さんHP

他の白豆、茶豆、黒豆などはFARMYが提携しているシェア農家の岩田さんが毎年作っては種を残してつないできている大豆です。

この自家採種の大切さを私たちに教えて下さった方がいます。
その方は、和歌山県で自然栽培を20年以上やられている【橋本自然農苑】の橋本さんです。

▼橋本自然農苑さんHP

その橋本さんには何度か長野に来て頂き、私たちも何度か橋本さんの畑を見学に行かせて頂き、自然農のことをたくさん教えて頂きました。

そんな中、私たちが初めて自然農に取り組む時に譲って頂いた種がたくさんあります、
新黒田5寸人参
カボチャ
博多カブ
長崎赤カブ
バターナッツカボチャ
春菊
しろ菜
ズッキーニ

などなど。

私たちは、採れた作物は全部食べずに、来年の分を残して種をつないでいます。

私たちが2年前、和歌山 橋本自然農苑の橋本さんに出会った時、大切なことを教えていただきました。

橋本さんが仰っていたこと。

そこで採れたタネをそこに蒔く
それを繰り返すことで
タネは土を覚え、土はタネを覚え、風土に順応し
そこだけにしかない最上級の作物が育つようになります
種は農家の宝物・・・つまり、人類の宝物である
種は生命の根源・・・つまり、生命そのもの
これがなくなっては私たちは生きていけない

と仰っていました。

そんな話を聞いた時に、私は自然農に取り組む意義がとてもあるのだと感じ、農業をやってみたいと思ったわけです。

在来種・固定種・F1種・・・何が問題?

種には、以下の3種類
在来種・固定種・F1種があります。

①在来種
日本各地の地域に古くから存在する作物の種

②固定種
在来種のいいものを選んで、良いところをかけ合わせて品種を作り出したもの
何代も、種を取り、育てていく、といった自然な育種をしていくうちに、自然とその野菜の個性が定着し、固定していったものをいいます。

③F1種(交配種)
農家にとっては、効率よく収量が増え、病気に強く、味も良い作物ができ市場性がとても良い作物ができるが、逆に種を種は採れるが、バラツキがある作物ができてくるので、農家さんとしては市場性が悪い作物になってしまうので毎年種を買って安定的な作物を使うことをしています。

収益を安定化させたい農家さんにとってはとても使いやすい種なんですよね。

自然農をやっている方は、在来種か固定種による栽培を行い、自家採種して種をその地域に定着するよう年々バージョンアップさせていますが、自然農をやっていない(慣行農をやっている)世の中の99%の農家さんはF1種の種(苗)を種会社から買って栽培しています。

そりゃ効率よく収量が増え、病気に強く、味も良い作物ができ、収益が安定するのであればそっちを選びますよね。

しかし、色々な問題点も指摘されています。

F1種の問題点

①農家は自分で種を取ることができない
(種は採れるが、市場性が悪い作物になるので実際は使えない)

②種の多様性が失われる
(地域の在来種・固定種が失われていく)

③F1種は化学肥料を農薬がセット(土が劣化していく)
→F1種のほとんどが海外で作られていて、育つ地域が違うので化学肥料がないと作物は育たないい。
 つまり、化学肥料を使うので土が劣化していってしまう。

④雄性不稔のF1種の増加
→雄性不稔とは、オシベのない奇形の野菜から種を取る技術で、人間に当てはめると男性不妊症のこと。
スーパーで売られている野菜のほとんどがこの雄性不稔から作られた野菜となっているそうで、これは消費者も作っている生産者も知られていないことのようです。

こんな問題点が挙げられていますが、
すでに20世紀だけで在来種の94%がなくなってしまったそうです。

日本の種の自給率は14%で、食料自給率(カロリーベース)は38%と言われています。

F1種が普及するのに伴い、この50~60年の間にタネの国内自給率99%だったものが、10%以下になってしまったそうです。。。

このままでいいのか???

もし種の会社が種を外に出すのを制限し始めたら?
F1種を買って作物を作っていた農家さんは種が手に入らなくなくなりますよね。

ずっと化学肥料を使った栽培方法しか知らない農家さんはどうなるでしょう?
スーパーの野菜は高騰して、野菜がなかなか手に入らない事態も起きかねないですよね。

ただでさえ昨今は化学肥料・農薬の値段が高騰しているので、普通に考えてもスーパーの野菜はどんどん高くなっていくように感じます。

つまり、農家さんはF1種を買わないと作物を作れない状態で経営をしているリスクがそこにはあるということだし、
スーパーからしか野菜を買っていない、もしくは買うルートを持っていない、自家採種で栽培している農家さんと繋がっていない消費者は、野菜が手に入らないリスクも出てきますよね。

こんなことを聞いて色々考えているとと、F1種は使わずに在来種、固定種の種から自家採種をして、子どもたちのために、未来のために種を残していかないとって思いますよね。

種は人類の宝物

こんな言葉を橋本さんが仰っていました。

【種子が消えれば食べ物も消える。そして君も】
ベント・スコウマン(スェーデンの研究者)

まさにそうですよね。

種は人類の宝物であって守っていかないといけないものだし、
種は生命そのもので、種がなくなっては私たちは生きていけないということに気付かないといけません。

なんでも簡単に手に入る時代になってしまったから、そのような意識が薄れてしまっていますが、時代が変わろうとしている今だからこそ大切なことは何か?
何を優先に取り組んでいくべきか?
いろいろ見えてきますよね。

そこで採れたタネをそこに蒔く
それを繰り返すことで
タネは土を覚え、土はタネを覚え、風土に順応し
そこだけにしかない最上級の作物が育つようになります

種は農家の宝物・・・つまり、人類の宝物である
種は生命の根源・・・つまり、生命そのもの
これがなくなっては私たちは生きていけない

FARMYでは種を繋げていく活動でもありますので、来年も再来年も種をつないで美味しい野菜とお米をつくりたいと思います^ ^

FARMYは農業を通して、食や健康、教育、暮らしなどの学びや体験を通して、親子で楽しめるイベントを毎月開催しております。

是非遊びにいらしてくださいね。


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