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今こそ、自動管制について語ろう。

こんにちは!ファーロスターnote編集部です。
2024年は能登半島地震や羽田空港における航空事故と心を痛める事案での幕開けとなりました。

お亡くなりになられた方々に対して深く哀悼の意を表します。

また、被災された方々やご遺族の方々が大変な状況におかれていますこと、心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い健康と心の回復と共に安全で安心できる生活に戻られますことをお祈り申し上げます。

本件は弊社代表にとっても悲痛なで出来事でしたので、安易な考えではなく、真摯に向き合い次世代モビリティが「ぶつかれない世界」の実現についてお話します。

能登半島地震の発生について

聞き手 1月1日に発生した能登半島地震ではかなりの被害が出ています。この災害をどのように受け止められましたか。
星代表 石川県では震度7を記録する大きな地震でした。死者は200人を超え、行方が分からない方もまだいらっしゃいます。また、住宅の被害も3,800棟を数えるなど大規模な被害が発生した災害です。
私は自衛官時代に小松基地第6航空団に所属していたこともあり、我がことのように心が痛んでいます。
明日から共通テストが始まるなど、受験のシーズンに入ります。受験生の不安は計り知れないですね。
一日でも早くこれまでの生活に戻れることを祈るばかりです。

聞き手 ファーロスターには災害が発生した時にその災害情報を共有したり、危険を知らせることができる災害情報共有アプリ「FaroStarVision」がありますが、今回はどのように活用されましたか。
星代表 実は、この期間(12月25日~1月末)はFaroStarVisionのサーバーをFaroStarLABに移転する作業を実施していましたのでシステムは停止した状態でした。
アプリが使えない状況であったのは痛恨の極みです…。

聞き手 このような状況になることを想定していましたか。
星代表 正直に申しまして、想定していませんでした。代替手段を確保すべきだったと反省するばかりです…。

聞き手 いつ発生するかわからないのが災害だと思います。今後の対応についてお聞かせください。
星代表 システムに冗長性を持たせ、常に可動できるように構築していきます。本年はFaroStarLABの構築が完了する計画です。完成すると電源は太陽光発電と蓄電池の活用により24時間365日停電のない状態となります。
また、通信は通常のインターネット回線に加えてStarlink回線がありますので、回線が途絶えることも防げるようになります。
これによりシステムのダウンタイムを最小化する計画です。

聞き手 FaroStarLABの完成はいつ頃の計画ですか。
星代表 今夏に完成する計画です。少し計画を前倒しにできればと考えています。

羽田空港における航空事故について

聞き手 率直にこの事故をどのように受け止められましたか。
星代表 非常に心を痛めています。言葉がありません。

聞き手 何が原因だと思いましたか。
星代表 答えるのが非常に難しいです。日航機、海上保安庁機そして管制の3者間に何かしらのヒューマンエラーが発生したと考えるのが自然でしょう。
何が起きたのか…。そこが判明するまでは何とも言い難いことです。

聞き手 ヒューマンエラーは防げるものですか。
星代表 人のエラーは様々な要因により発生します。人の行動特性に起因するもので、ヒューマンファクターとも呼ばれています。

人間の行動特性の代表的な4つ特性を紹介します。
1. 錯覚:目前の状況を見誤ること。
2. 不注意:意識の欠如によるミス。
3. 近道行為:工程の一部を省略する行動。
4. 省略行為:手順の一部を省略し目的を達成しようとする行動。

これらの行動はみなさんも心当たりがあると思います。他にも様々な特性があり、これらがヒューマンエラーを引き起こす可能性があります。
これらの特性を理解し、ヒューマンエラーを防止することになります。
航空業界ではヒューマンエラーを防止する研究が進められており、その一つの方策としてCRM(Crew Resource Management)訓練がエアライン各社で実施されています。

聞き手 誰が原因だったか気になりませんか。
星代表 犯人捜しをするつもりはありません。「誰が原因だったか」ということより「何が原因になったのか」について知りたいと思います。
その原因が明らかになり、航空の安全性を向上させるために、組織として、人として、システムとして同じことが起きないような仕組みにすることが大切だと考えます。
航空業界における事故調査は、事故の要因を特定し再発防止策を立案するために必要なプロセスです。この調査には時間がかかると思います。
しっかりとした対策につながることを切に望みます。

自動管制について

聞き手 ファーロスターは次世代モビリティが「ぶつかれない世界」を実現するために都市交通自動管制システム「UMTCs」を開発されていますが、その目的は。
星代表 我が国においては少子化が進み、労働力の減少が始まっています。人がやるべきところと、システム化すべきところを分け自動化を進めることが必要だと考えたからです。
また、前述したように人はミスを犯す特性があります。システムの自動化によってそのミスを最小化することがその目指すところです。

聞き手 システムもミスを犯すことがあると思いますが。
星代表 その通りです。システムを構築するとき、想定外のことが起きた時などミスが発生する可能性があります。
最初から完璧にできるとは思っていません。もちろん、設計ではミスを最小化するための努力は最大限実施します。実装する前にはシミュレーション解析による検証を行います。その後、ドローンやロボットなどを用いて実機による検証を実施し時間をかけて安全性を確認する計画です。
それでもミスは発生するものという認識の基で開発を行います。
10年、100年経ってもミスが起きる可能性はあるでしょう。それでもその要因が分かればすぐに対応し、安全性の向上を続けることが大切だと考えます。

聞き手 航空業界で自動管制が導入されていませんが。どのようにお考えですか。
星代表 これまで管制の自動化について議論されてきましたが、実装に至っていません。
私見になりますが、次の3点が大きな理由と考えます。
1. 人間の判断力:航空管制は非常に複雑で、予測不能な状況が頻繁に発生します。これらの状況では、人間の管制官の経験と判断力が重要となります。
2. 技術的な課題:航空管制を自動化するための技術はまだ発展途上であり、特に大量の航空機を管理する必要がある場合、現在の技術では対応が難しでしょう。
3. 安全性の確保:航空業界では安全性が最優先されます。新しいシステムが導入されるためには、その安全性が徹底的に検証される必要があります。

しかし、技術の進捗により、将来的には管制の一部が自動化されることになると予期します。
一例として、アラスカ航空は2021年5月25日(火)、人工知能(AI)と機械学習を用い、運航管理業務を最適化する仕組みを導入したと発表しました。航空業界では初の取り組みだと思いますので、注目しています。

聞き手 このような状況でファーロスターは次世代モビリティの自動管制の実装を目指していますが、勝算はありますか。
星代表 現在の航空機を対象とすると、これまでの仕組みを自動化するという作業には途方もない時間がかかると思います。しかし、ファーロスターはこれから世に出てくる次世代モビリティを対象にしていますので初期の制度設計や仕組み作りから構築が可能と考えています。力技も必要になるかもしれませんが。

聞き手 次世代モビリティは将来、自律運航が主になると思います。その際、パイロットがいないモビリティの自動管制をどうお考えですか。
星代表 パイロットがいないモビリティの方が自動管制との相性はいいと考えます。人が介在するとヒューマンエラーの発生をゼロにすることが困難になると考えるからです。システムが進化することでエラーの発生を抑えることができれば更に安全性を向上できると思います。

聞き手 ファーロスターでは表面効果翼船WISEの開発を進められており、陸上の物資輸送の代替手段として構想されています。人の輸送は検討されていないのですか。
星代表 ファーロスターのWISEは物資輸送からスタートし、安全性を向上させるために十分な運航(飛行)時間をかける計画です。安全性を徹底的に検証し、人を乗せる安全性を確保できたと判断できれば、人の輸送を始めたいと考えています。

聞き手 WISEも自動管制の適用の対象ですか。
星代表 はい、自動管制をWISEに適用します。WISEは他の船舶との速度差が大きいので船体の衝突回避能力に加えて自動管制することで安全性を更に向上できると考えています。

聞き手 その先の自動管制はどのように進みますか。
星代表 次世代モビリティの自動管制が実装され十分に技術が検証されれば、現行の航空機にも適用が進むと考えます。また、航空機や船だけでなく、自動運転車や宇宙空間にも活用の場が広がると考えています。

最後に

聞き手 最後に一言
星代表 2024年の幕開けは全く予測できませんでした。これからも、いつ、何が起きるのか分かりません。全てに備えるということは一朝一夕にできないと思いますが、FaroStarLABの構築を進めることで出来る限りのことは実施したいと思います。
また、今回の航空事故で海上保安庁の機体に搭乗し殉職された加藤重亮(しげあき)さんは、私が航空自衛隊の時の直属の部下でした。とても残念で胸が張り裂ける思いです…。
強い意志を持ち、とても優しく、そして忠実な方でした。今回の航空事故を胸に、次世代モビリティがぶつかれない世界を実現しなければと心に誓いました。

最後に、任務中に殉職された田原信幸さん、石田貴紀さん、帯刀航さん、宇野誠人さん、整備員であり私の部下でもあった加藤重亮さん、そして救出できなかった命に心から哀悼の意を表します。

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