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厳しい親ほど恐れている~見守る覚悟~

前回からの続き…

大学1年の時にヒッチハイクで東京~名古屋まで行くと言い出した娘。
「子供の魂を尊重した子育てをする」と決めた私にとって最初の難関がやってきました。

娘がヒッチハイクをすると言い出したとき、お願いだから止めて欲しいと思いました。
頭ごなしに反対はしたくないものの、怖くて怖くてしかたありませんでした。
わたしの恐れは何なのか、掘り下げてみました。
そしたわかったことは、ヒッチハイクで犯罪に巻き込まれること、そしてその先にある「後悔」でした。
「娘を引き留めなかったことを後悔する」ことに耐えられないと思っていたのです。
ただ、自分が安心していたかった、のだとわかりました。
これは完全にエゴですね。
このエゴを克服する方法は、「後悔することを覚悟する」ことでした。
これは本当に厳しい。ちょっとオーバーに聞こえるかもしれませんが、身が震えるほどの恐怖です。
わぁわぁと反対して阻止する方がどんなに楽であるか。
この「覚悟」を決めたことで私の肝は据わりました。

結局娘は3人の方々の車に乗せてもらい、無事名古屋まで到着しました。
幸い事故もなく、良い方々に恵まれ、目的のイベントでは同じ志を持つ同世代の友人もでき、有意義な時間を過ごして帰ってきました。帰りはさすがにヒッチハイクではなく高速バスでしたが。

今回最初に車に乗せてくれた方はヒッチハイカーを乗車させるのは初めての経験だったそうです
ヒッチハイカーはよく用賀インター近くのマクドナルド辺りで始めるそうなのですが(娘もそうしたそうです)、いつもそこを通る度に、「今回は乗せてあげよう」と思っていたのだそうです。学生の頃、一人旅をした時にヒッチハイクをして乗せてもらった経験があり、自分もいつか同じことをしようと思っていたそうです。けれどもなかなか乗せる勇気が出ず、その思いを果たせずにいたそうです。
それで今回勇気を出して乗せることにしたのがたまたま娘だったというわけです。
普段は幼児教育に携わるお仕事をしているそうで、これからご自分でNPO法人を立ち上げる準備をしている最中とのことでした。
二人目の方は高校の教員をされていて、やはりヒッチハイクの経験があったそうです。
三人目の方はお仕事をリタイアされていて名古屋まで帰る途中の話し相手として乗せてくれたそうです。
親や親戚、学校の先生以外の大人と話すよい機会になりました。
特に最初の方の生き方は娘にとってとても新鮮だったようです。

私はなんだか恥ずかしくなりました。
ヒッチハイクで女性を乗せる人は悪いことを企んでいる人!と決めつけていた自分に気がついたからです。目から鱗が落ちるようでした。
若い人の冒険心を応援しようと温かい心で車を停めてくれる人に対して犯罪目的なんて決めつけていた自分が本当に恥ずかしくて、申し訳なくて・・・
乗せる方も乗せてもらう方もお互い知らぬ人どうし、双方共に警戒するのが当たり前なんですよね。

この経験からわたしの中の常識が如何に薄っぺらいものであったか、そしてわたしが経験してきた世界は如何に狭いものであったかということを思い知らされたような気がしました。
運もあるでしょう、たまたまってこともあるでしょう。
でもそこを乗り越えた先には広い世界があることを、そこを目指す子供たちの邪魔をしてはいけないと思うようになりました。
親は自分が安心していたいがために結果として、子供の好奇心や冒険心を無残にも打ち壊してしまう。
子供が生まれる前に決めてきた本来の目的を遂行できるように、広い世界に羽ばたいて行けるように、私はこれからも、子供を見守り続けようと思います。


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