パパ88日目 赤ちゃん連れにやさしいお出かけスポットに出会う

パパ88日目。お出かけ先での赤ちゃんケア設備が充実していて感動した話。

まずは自分を叱りたい。こうして育児をする立場になるまで、赤ちゃんを連れてお出かけする方々の気持ちに心から寄り添って想像できたことなど、一度もなかった。すれ違うベビーカー。トイレのおむつ替えシート。授乳エリア。気に留めたことなどなかった。

そして分かった。赤ちゃんを連れてお出かけしやすい場所とそうでない場所、それらの間には短髪と長髪の間に匹敵する程の大きな隔たりが存在し、互いに切り離された存在であること。多くの人々は、選ぶことができる環境にあるのならば、多少の犠牲を払ってでもお出かけしやすい場所を選ぶことだろう。お出かけしやすい場所ではないにも関わらずお出かけしなければならないような状況に立ち向かうママパパがいるとすれば、その姿は業を背負って西の国へ赴くアシタカと重なって見えることだろう。

ところが困ったことに、決してお出かけしやすい場所ばかりではないというのが、この社会の欠陥である。子育て世代を全力で応援しているとは言い難い世の中である。ひと世代前とは異なり、赤ちゃんを連れてお出かけすることを余儀なくされるママパパは多い(はずだ)。少子高齢化の末期症状に憂う日本が、最優先で子育て世代シフトの社会づくりをしなくてどうする。後手に回ったなんて言い訳は通用しない。プラスの要素はあるが、加速させなければ手遅れになる。すでに2022年の出生数はとんでもない数値を記録している。

そんな中、本日私は子育てママパパがお出かけしやすい、非常に設備の整った商業施設に遭遇した。この地方都市の一角で、これだけユーザー目線の設備を整えた場所があるなんて。新米パパになって以来なので、そうした部分に目を向け始めてからの期間もたかが知れてはいるが、それでもある程度の比較はできる。

具体的には、今回の商業施設には「ママ用のエリア」と「パパ用のエリア」が隣接しながらもセパレートで設置されている箇所がありました。これは今回、私にとって初めて実物をお目にかかった素敵な瞬間でした。とにかく、授乳するママの使い勝手、使い心地をよくしなければいけない。授乳スペースの設備的欠陥により誘発される、事件性のある事態と捉えてもよいのではないかと思われるようなケースも耳にする。とにかく、男女を分けなければならない。そして、それを実現している施設が、あまりにも少ない。我々の居住する地方都市には存在しないのではないかと思いかけていたところでした(というのは少し言い過ぎかもしれないけれどそれくらいの気持ち)。

さらに、全フロア、全お手洗いに、男性用も含めておむつ替えシートが設置されていました。貸し出し用ベビーカーはサイズ等が計3種類。フードコートにはプレイグラウンドや、子ども用の椅子と机。これって都会ではスタンダードなのか?やれている施設があるということは、やろうと思えばやれるということ。おまけですが、昼食をとった飲食店ではベビーカーの預かりなど大変親切にご対応をいただきました(これも、当たり前ということではないですよね?)。

こんなに素晴らしいお出かけスポットを見つけてしまうと、他の商業施設を思い浮かべた時の落差が激しくて困ります。もう、あそこには行く気がしないぜ…と思わずにはいられない(多分行くけれど)。

やはり目を外へ開くのは重要。海外と比べても仕方がない、などという言葉も耳にするけれど、私の考えは真逆で、心をオープンにして、外に目を開き、よく観察し、そして自分の立ち位置について吟味することが何よりも大切である。そうした行為なしに、この相対的な人間社会において最適解に近づいてゆくことはできない。持続可能な社会の構築が一つの答えとして共通理解を得られている現在の国家社会あるいは政治的イデオロギーにおいて、子育てのしやすい社会を整えることは優先されなければならない。ではどんな社会が子育てのしやすい社会なのか。参考になる事例は外にたくさん転がっている。日本から見た外国でも、地方都市から見た都会でも、あるいは他の商業施設との比較でもいい。

そんな外へ開かれた目をもつ市民が一人でも多く必要なのだ。そのミッションを遂行できるのは、教育でしかあり得ないだろう。学校教育に限った話ではない。だが同時に学校教育は、その先頭を走る資格があるだろうし、責務があるとも言えるはず。

育児休業を取得して、見えてきたものがあった。1年間取得した甲斐があった。新米パパとして、あるいは後進パパの先輩として、引き続き学び、発信したいと思う。

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