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スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京とイタリアンベーカリー「プリンチ®︎」

May23, 2019

3月に取材させていただいた話題のスターバックス、注目すべきはコーヒーだけではないのです。たとえばパンがとてもおいしいこととか。NKC Radar vol.83に掲載していただいた記事を、多くの方に読んでいただけますように、許可を得て転載いたします。
(写真と文 清水美穂子 写真は一部Starbucks Coffee Japan, Ltd)

STARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYO

スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京

2019年2月28日、東京・目黒川沿いに4階建ての「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」がオープンした。1996年にアメリカから上陸したスターバックスブランドの新たな展開で、日本初の焙煎機能を持った店舗だ。この場所で日本とアジア諸国のスターバックスコーヒーのための焙煎が行われる。それだけではない。生の豆から一杯のコーヒーに至るまでの過程を見学しながら、コーヒー、ティー、食事、そしてカクテルなどが楽しめる、いわばスターバックスのテーマパークになっている。朝から晩まで時間帯に応じて楽しめる、カフェ、ベーカリー、レストラン、バーの機能を備えた焙煎所見学エンターテインメントなのだ。

スターバックスコーヒーのテーマパーク

スターバックスのロースタリーは世界に6ヶ所。東京はシアトル、上海、ミラノ、ニューヨークに次いで5番目となる。この後年内にシカゴでのオープンが予定されている。東京のロースタリーは延べ床面積2,966平米、ここで1日に数種類のコーヒー豆、量にして約1,800kgが焙煎され、中央にそびえる高さ17メートルのキャスク(貯蔵庫)の中で、ガス抜きのために7日間寝かされる。キャスクは貯蔵庫であるとともに焙煎設備も内蔵されている。キャスクは槌目仕上げの121枚の銅板で覆われている。表面に吊り下がる桜の花飾りは職人が一枚一枚手作業で仕上げたもので、その数2,100枚。これは建物の外を流れる目黒川沿いの桜並木からインスパイアされたデザインだ。

外装は日本の建築家、隈研吾氏のデザイン。建物内部は吹き抜けになっていて、開放感がある。一階中央の巨大なキャスクの前のエリアでは、産地から届いた麻袋から生の豆が取り出されるところが見られる。これは一旦、グリーンビーン(生豆用の)サイロに送られ、1階と3階の焙煎機で焙煎される。興味深いのは、館内に張り巡らされた透明なパイプだ。見上げると、豆が運ばれる様子が目に見える。一階にはさまざまなコーヒーを楽しめるメインバーがあり、バリスタに相談しながら、豆や抽出方法を選び、好みのコーヒーと出合うことができるようになっている。

イタリアンベーカリー プリンチ®

スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京のフード全般を受け持つのが、日本に初上陸したイタリアンベーカリー「プリンチ®︎」(https://www.princi.co.jp/)である。

1980年代にミラノにベーカリーを創業したロッコ・プリンチ氏はロンドン、シアトル、シカゴ、ニューヨークでも独立店舗を展開している。2018年までスターバックスの会長を務めたハワード・シュルツ氏とは友人で、品質とサービスにかける想いに多くの共通点を持っていたので、スターバックスリザーブ®ロースタリーとのコラボレーションがシアトル、続いて上海、ミラノ、ニューヨーク、そして東京で実現した。今回は日本での初出店となり、今後の展開も期待される。

プリンチ®の特徴は、「イタリアの食文化をパンを通して日本に伝えたい」というロッコ・プリンチの思いのこもったイタリアンベーカリーであること、一日を通してパンに限らずイタリアの食文化に触れられるということだ。パン、食事、デザートのメニューは約80種類。

ベーカリーのヘッドシェフは松田武司さん。「ヴィロン」出身で、パンの世界大会に日本代表選手としての出場経験(2017年フランスで開催された「モンディアル・デュ・パン」世界2位、2016年イタリアで開催された「シジェップインターナショナルベーカリーカップ」世界第3位)もある。

フォカッチャピッツァとコルネッティ

ベーカリーの厨房は1階にあり、パンを焼いたり、切りたてのサラミでサンドイッチをつくる様子などがガラス越しに見える。「プリンチ ローフ」(1000円。ハーフサイズ500円から)などの大型のパンは、ここ1階に並ぶ。プリンチ ローフは迫力のある大きさに対して、中はエアリーで軽い食感。サワードーのほのかな酸味が食欲をそそる。パンやスイーツは各フロアのショーケースにも、それぞれの飲み物に合った、時間帯ごとのメニューが並ぶ。

プリンチ®のロースタリーの看板メニューの一つは「フォカッチャピッツァ」(980円〜)。「パン屋のピッツァ」とも呼ばれ、大きく平焼きしたフォカッチャに、厳選された食材をのせたものを長方形に切り分けてサーブする。コクのある「モッツァレラ ディ ブッファラ(水牛のモッツァレラチーズ)」はチーズをフレッシュなままトッピングする。濃厚な自家製トマトソースの酸味とよく合い、常温でもおいしく食べられるのが特徴だ。 

もう一つは発酵バターの「コルネッティ」(270円)。 しっかりパンの歯ごたえもありながら、サクサクと軽い。コルネッティはイタリア語で「小さい角」を意味する、イタリア式クロワッサンで、中身にクリームやジャムを入れたバリエーションがある。クラシコ(プレーン)270円(ミニ190円)、ノッチョーラ(ヘーゼルナッツチョコ)、ランポーネ(ラズベリー)、クレマ(カスタードクリーム)、ミルティッロ(ブルーベリー)各340円(ミニ220円)。

スイーツ系では「ブリオッシュ クレマ」も人気がある。これはたまご色のブリオッシュ生地にたっぷりのカスタードが詰まった、ふんわりとしたクリームパンだ。

昼時にはピッツァのほか、切りたてのサラミミラノ、モルタデラ、プロシュートコット(加熱したプロシュート)などのサンドイッチも数多く並ぶ。たっぷりサイズのプリンチ®ブレンドと合わせて食したい。

デザートにはティラミス、クロスタータ フラーゴラ(イチゴのタルト)、プリンチーナ(オリジナルチョコタルト)など魅惑的なイタリア菓子がある。

ティーとカクテルも。各フロアで驚きのあるカスタマー体験

2階はスターバックスブランドのティーの世界が体験できる「ティバーナ™」、3階はカクテルバーラウンジ「アリビアーモ™」。コーヒーにちなんだものから、ベーシックなカクテル、ノンアルコールの飲み物までを、洒落た雰囲気の中で味わえる。天候の良い時は窓の外に広々としたテラス席もあり、こうした空間の心地よさはさすがスターバックス、といったところ。

夕刻、ここで楽しみたいのはアペリティーボ(食前酒)のプレートメニュー。プロシュートクルード(加熱しないプロシュート)やパルミジャーノレッジャーノなどをワインやビールとともに味わえる。この時、プリンチ®ならではのパン「シァッチャティーネ」を割って添えてくれる。ジャガイモと小麦粉の薄焼きのパンで、その名の意味は「押しつぶしたパン」。まろやかなマルドンの塩が散らしてあり、パリパリとした感じはグリッシーニのような味わいだ。

もう一つ、日本では耳慣れない名称のイタリアのパンに「スフィラティーニ」がある。これは「棒状のパン」の意。オリーブとレーズンの2種類あり、どちらもゴロゴロとたくさん入っている具材が特徴。こちらもアペリティーボに最適だ。

4階には「AMUインスピレーションラウンジ」がある。AMUは「編む」の意味で、新たなコーヒーの魅力発見の場としてだけではなく、ソーシャルインパクト(社会に前向きな変化を与える)活動の発信基地としての役割も担う。例えば、経験や知名度などが異なっても、同じ想いや目指すものを持つ人々が集い、意見や知識を交わすことで、新たな提案やモノの見方を見出し、それを社会へ発信していく、というようなことだ。ここではそうした各種イベント、ミーティングやセミナー、ワークショップなども開催予定だ。

さまざまに楽しめるスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京には日に約5千人が訪れている。

※商品価格はすべて本体(税抜)価格です。

STARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYO

スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京

所在地 東京都目黒区青葉台2−19−23

電話 03-6417-0202

営業時間 7:00〜23:00 不定休

中目黒駅・池尻大橋駅 徒歩14分

https://www.starbucks.co.jp/roastery/

(NKC Radar vol.83より転載)

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