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favyのしげさんとは何だったのか

すごく久々の投稿です。
ご無沙汰しております。favyのしげさんです。

実は「favyのしげさん」としての投稿は今回が最後になります。

この度、約3年勤めた「株式会社favy」を卒業することになりました。新しい仕事については追ってSNS等で発信をしていくつもりですので、引き続きフォローをお願いいたします。

今回はこの3年のfavyでの経験などを振り返ってみたいと思います。
長文になりますがご容赦ください。


なぜfavyだったのか?

3年前の夏、41歳の私は楽天株式会社を退職し、転職活動をしていました。
業種での絞り込みはせず、広く「カスタマーサポートのマネージャー」という条件でいくつかの企業を受けた中で、一番惹かれたのがfavyでした。

favyの掲げるビジョンである「飲食店が簡単に潰れない世界を創る」に強く共感したのを覚えています。

3年で70%の飲食店が潰れると言われており、せっかく好きで始めたのに長く続けることが出来ない人がとても多いのが飲食業界の現状。それをテクノロジーの力でどうにか手助けしたい。
私には非常に魅力的なビジョンでした。

楽天株式会社(入社時は株式会社fablic)に入る前、私はとある小さなコール系BPOベンダーの管理者をしていました。

国内最大手の某調理師学校の生徒募集の業務を受託して運営しており、「本場フランスで修行し、将来は自分の店を持ちたい」といった夢を持つ高校生と多数会って来ました。

彼らの目は本当にキラキラしていたのを覚えています。

一方で現実はひどく残酷で、厳しい修行を乗り越え、若いうちは安い給料の中から頑張って貯金をし、数百万以上のお金をつぎ込んで開業したお店がいとも簡単につぶれてしまう。若い彼らはそこまで厳しい数字を知ってか知らずか、眩しい未来を夢見ている。

「飲食店が簡単に潰れない世界を創る」というフレーズを聞き、この時の想いが一瞬でよみがえり、入社を決意しました。


衝撃の自由さ

前職の有給消化期間があったため、最初の2週間程度は業務委託契約でスタートすることになったのですが、ここで想定外の事態が起こります。

えげつない高倍率ライブ(ELLEGARDENの10年ぶりの復活ツアー)のチケットに当選してしまったんです。
しかも日程は入社翌日。

入社手続きでオフィスに行ったとき、おそるおそる人事責任者に聞いてみました。おそるおそるです。

答えはあっけない程の快諾。
「別にまだ2日目だし、楽しんで来たほうがいいんじゃない?」
なんて理解のある会社なんだ…

おかげさまでしっかり満喫してきました。
好きな方はこちらこちらも是非ごらんください。


スピード感がすごかった

仕事面で一番のカルチャーショックはスピード感でした。

BPOベンダーの経験が長かった私は、「運用はできるだけ100%に近付けて、考えうるリスクへの対応策は全て講じてからスタートする」のが正だと教え込まれて来ました。

favyではそこの考え方が大きく違っていて、「80%から100%近くまで持っていくための2週間で起こるロスの方がもったいない」というような考え方でした。

例えば新たなSaasサービスの導入。
効率化のためにお金を払って導入したのなら、1日も早く運用をスタートしないともったいない。非効率な運用をしている期間が長くなる。

自分の仕事のスピードが早いかどうかは全く自信がありませんが、少なくとも当時と比べて「スピードの重要性」に対する意識はかなり変わったと思います。


膨大な量のインプット

「膨大」と言うと大げさかもしれませんが、初老を迎えた脳にはかなり刺激的なボリュームとスピードで知識が投入されました。

デジタルマーケティング、アドテク、SNS広告、CPA・CAC・CVR、THE MODEL、カスタマーサクセス、などなど。
どれもほぼ初めて触れる単語と概念ばかり。

本やWEB記事を読み漁り、セミナーに行きまくり、おかげで(入社時よりは)かなり知見を広げられたのではないかと思います。

BPOベンダーにいた頃は、セミナーに勉強しに行く機会というのはほとんどありませんでした。基本的は朝から晩までセンターに常駐し、オペレーターのマネジメントをしなければいけないからです。
とはいえ、安定稼働しているセンターの場合、1日中見ていないといけないということもなく、「いるのが当たり前だから」という理由だけで拘束されていた側面もあったんじゃないかと思います。

面白そうなセミナーにはどんどん参加し、今まで自分が知らなかった知識をインプットする。
その内容は備忘録的な意味も込めてnoteにまとめる。
noteを見返しながら、チーム運営にどう活かすかを考え、出来るだけ早く実行する。

もちろん失敗もありましたが、そんなサイクルで毎日が過ぎていくのがすごく楽しかったです。


横の繋がりがどんどん増えた

セミナーにお邪魔したり、時には登壇させていただいたりするうちに、CS業界の人達との繋がりがどんどん増えて行きました。

SaasのCS界隈ってすごいなと思ったのが、ノウハウのアウトプット量がめちゃくちゃ多いんですよね。
自社がどんなビジネスをやっていて、どんな体制で、どんな仕組みで、どんなKPIを追いながらクライアントを成功に近付けるためのアクションをしているのか。バンバン教えてくれるんです。
BPOベンダーでは考えられなかったカルチャーです。

そしてCS界隈の人たちって、基本的に「優しい人」が多いんですよね。他の職種に優しい人がいない、という意味ではないんですが、やっぱりみんな優しい。
だからこそCSという仕事をやっているのかもしれませんが。

「こんなときってどうしたらいいかな?」「みんなどうやってる?」「オススメのツールない?」みたいな質問も、すごく親身になって答えてくれるんですよね。
答えても給料発生するわけでもないし、自社の業績がアップするわけでもないのに。

飲みに行く機会も多かったです。
社内のメンバーよりも社外のCS界隈の人たちとの方が、飲みに行った回数は圧倒的に多かったと思います。
今も仲良くさせてもらってますし、今後も不定期に「CSおっさん会」は続けて行きたいです。


様々なポジション・業務の経験

入社してから本当に色々な経験をさせてもらえました。

コンタクトセンターチーム
最初はクライアントさん(飲食店)の紹介記事を書くサービスのサポートで、飲食店に電話インタビューし、その内容をまとめて編集部に共有する、という内容でした。
今までやっていた所謂「コールセンター」の業務とはかなり毛色が違うため、業務フローをどう整理してどう改善したらいいか悩んだのを覚えています。


インサイドセールス
私が入社した頃にインサイドセールスのチームが立ち上がったのですが、管理者の退職に伴い、私が兼務でISも見ることになりました。
BPO時代に商談セットの業務は多数経験していたので、セールストークの基礎的な知識はあったものの、「インサイドセールス」とは異なる部分も多々あるため、ここでもセミナーでのインプット&noteでのアウトプットをしまくりました。
後に本を出されるような方々(茂野さん今井さん)とお知り合いになれたのは、とても大きな財産です。


カスタマーサクセス
本格的にカスタマーサクセスのチームが稼働し始めたのは今年に入ってからでした。
favyサブスクの契約店舗に対してキックオフMTGを始めとしたオンボーディングを実施し、売れる会員券・リピートされる会員券の作成や、販促のご支援を行うというのが主な活動内容です。
様々なセミナー等でインプットしたものが、やっとここで発揮できたかなと思っています。

このチームが自分にとって最後のfavyでの所属部署になったわけですが、我ながら非常に良いチームになってきたと思います。
詳しい数字は書けませんが、本格的に活動を始めてから2ヶ月程度で、サブスクをスタートしてから会員券が初めて売れるまでの期間が大幅に短縮されたり、一時は絶望的な数字だったチャーンレートも現在はかなり素晴らしい数字になってきました。

自分たちの目指すゴールがどこにあって、そのために今この瞬間は何をすればよいのか?
それをみんながフラットに考えて意見やアイデアを出し合える、自立自走も助け合いもできるチームの土台は作れたんじゃないかと自負しています。


たまにライター
元々食べることも文を書くことも好きで、外食に行った時にちょいちょいFacebookにアップしてたんですね。
そしたら編集長から「よろしく」みたいなコメントがあり、何度か記事を書かせてもらうことができました。
大好きな松屋の記事でPV2万超えができたのはとてもいい思い出です。


ウェビナー実施担当
2020年5月頃から、リード獲得を主な目的としたウェビナーを月に数回のペースで実施してきました。
当初は社内の有志が集まり、部活感覚で「各自のスキルアップのため」みたいなスタンスでやっていたのですが、今やリード獲得には欠かせないものになるまで成長しました。
社外活動で知り合った方々にお声がけをして共催でセミナーを実施したのをきっかけに、「外部ゲストを招いてお話をしていただく」というスタイルも社内ではかなり定着してきたかなと思います。

一部のウェビナーについてはアーカイブ動画もアップしていますので、動く私が恋しくなったらぜひご覧ください。
見返してみると、ほとんどのウェビナーに私が出てたんですね…。


Saasサービスの選定・導入担当
この3年の間に色々なサービスの選定・導入を行いました。諸事情で現在は使っていないサービスもありますが、振り返ってみると結構多くのSaasサービスに触れることができたと思います。
業務の効率化に活かせたのはもちろんですが、他社の営業スタイルやCSの体制などを「カスタマー側」の立場で数多く体験できたのは非常に大きかったと思います。

中でもやはりDocuSign導入は自分にとってかなり大きな財産となりました。ユーザー会に何度も呼んでいただいたり、登壇させていただいたりなど、社外の方々とのつながりを持つきっかけにもなりましたし、DocuSign様やSalesforce様から「導入事例の紹介で商談に同席してほしい」とのオファーをいただくこともありました。最終的には「Referral Partner」として、顧客紹介をさせていただくまでになりました。
一つのサービスを深く使い倒し、それを発信していくことに価値がある、という事に気付けた、非常に貴重な体験でした。



サブスクリプションモデルの面白さ

現在のfavyのメイン商材となっている「サブスク」。
これは本当に面白いビジネスモデルだと思います。

やり方を間違えれば単なる割引サービスで終わってしまい、一過性の話題作りにしかならないかもしれません。
でも、しっかりとストーリーを作って収支を計算し、オペレーションにも組み込めば、立地やブランド力に左右されることなく安定した収益を得られる。

「勝手にお客様が増える魔法」ではなく「使いこなせばメリットのあるツール」であることを理解して向き合えば、収益の安定化・顧客の常連化のみならず【飲食DX】の基盤になりうるサービスであると考えています。

一人でも多くの飲食経営者の方が「美味いものを作ってれば勝手に客は集まる」という考えから脱却し、データドリブンな店舗運営にシフトしてくれたらいいなと考えています。
CSを中心に、favyのメンバーが近い将来にこれを実現してくれると信じています。


ダイナミックワークと複業

新型コロナウィルスの影響で、favyでも昨年4月頃からリモートワークが推奨されるようになり、神奈川の片田舎から大東京の西新宿まで往復3時間近くかけて通っていた私は、ほぼフルリモートで仕事をするようになりました。

年末頃には「あれ?これって神奈川じゃなくて札幌でも成立するんじゃね?」と考えるようになり、年明け早々に札幌でのフルリモートワークを会社に提案しました。
冒頭でお話ししたように、スピード感が早いのがfavyの大きな特徴。社内の人事制度等を整え、札幌に送り出してくれたのが2月の下旬でした。

私のわがままをものすごいスピードで制度化してくれた会社の皆さんには本当に感謝しています。

また、favyでは複業が認められているため、2020年10月に個人事業主としての登録をし、カスタマーサポート部署の構築などをお手伝いする事業も開始しました。
現在は2社のご支援を継続的にさせていただいており、いずれも一定の手応えを感じています。


なぜ卒業するのか?

これは忖度でもごますりでも何でもなく、「favyを辞めたかった」ということではありません。
favyに限らず「全従業員にとって不満が全くない職場」というのはおそらく世の中には存在しないと思っていますし、もちろんfavyに対しても不満がゼロだったというつもりもないです。

一言で言うと、月並みな表現ですが「もっと楽しそうな会社が見つかった」からです。

CS HACK主宰の藤本さんともよく話しているのですが、彼も私も「CS」が得意分野ではあるものの、我々の「CS」と最近世の中で言われている「CS」って別の単語だったりするんですよね。
我々は「Customer Support」出身で、現在注目されているのは「Customer Success」。
それが良いとか悪いとかではなく、自分の中ではやはり「Customer Support」の人間なんだという思いが結構強くありました。

「Customer Success」としての経験値が少ないのも理由ではありますが、複業を開始した際も、「自分が解決できる課題ってCustomer Supportに関するものなんじゃないか?」と考えて、meetyに登録をしたという背景もあります。

Customer Successの分野にはすごい人がたくさんいるし、情報も皆さん積極的にアウトプットしてくれています。そのおかげで、Customer Successの認知度はここ数年で圧倒的に上がり、各社その重要性を理解し、Customer Success部署を社内に置く会社も増えて来ました。

一方でCustomer Supportはどうか?
ツールベンダー側の技術的な進歩は著しい一方で、Customer Supportの業界自体は私がコールセンターベンダーでのキャリアをスタートさせた約20年前とあまり変わっていないのではないか?
本当は高度なスキルが求められる専門職であるにも関わらず、「喋ることが出来れば誰でもできる仕事」というイメージが強く、非効率な業務が非効率な体制で行われているセンターが数多くあります。

それを変えられる可能性を秘めたプロダクトを、すごくリスペクトしている人と一緒に取り扱う。

そんなお話をいただき、約1時間の会話で即決しました。

正直、ドMなんだと思います。

favyは事業も徐々にではありますが安定してきており、おそらく数年先には上場も果たす会社だと思います。やはりスタートアップに身を置く人間として、IPOを経験してみたいという思いはあります。

それを捨てて、まだ従業員数が片手で足りるぐらいの規模の会社に、詳しい条件も聞かないままに転職するなんて、正気の沙汰ではないかもしれないです。

ただ、やっぱり「自分が楽しいと思える環境」を常に求めちゃうんですよね。よりハードで、より先が見えない方が楽しい。社会人経験の終わらせ方を考え始める年齢になって来たからこそ、余計にそのワクワク感・ヒリヒリ感は強くなるんですよね。
やっぱドMです。

こういう決断をする時、私はいつも大好きなバンドの歌詞を思い浮かべるんです。

「ガキの頃の 俺がみても ガッカリしないように 生きているか?」


新しい会社での仕事については、SNS等で発信していくと思います。

あと、これは仕事としてではなく趣味というかライフワークのような形で、「一般社団法人国際ザンギ協会」という法人を設立しました。
こちらもぜひ応援よろしくお願いいたします。



最後に

今まで約3年間「favyのしげさん」と絡んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

ここでは書ききれないことや書けないこともたくさんありますが、関わってくださった全ての方々に感謝いたします。

色んなワガママを聞いてくれたfavyのみなさん、セールス・CS・飲食関連のことをたくさん教えてくださった各コミュニティの皆さん、Twitterでたくさん絡んでくださったフォロワーの皆さん、他にも色々な分野の方々と知り合うことができた、濃度の高い3年だったと思います。

会社は変わりますが、今後も「楽しそうにやってるオッサン」として活動していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。


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