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レポート『未来の仏教ラボ 事例研究会 レンタル墓』 - これからのお墓

こんにちは!未来の仏教ラボの遠藤です。
2019年2月5日、未来の仏教ラボはじめての勉強会を開催しました。テーマは「これからのお墓」についてです。

埼玉県東松山市にある浄土真宗本願寺派 西照寺では「レンタル墓」という新しい形のお墓を提案しており、今回の勉強会では西照寺 副住職の網代豊和さんに「レンタル墓」の事例発表をしていただきました。
「お墓をレンタルする」という響きに、皆さんはどういう感想を持たれるでしょうか?「レンタル」という言葉と「お墓」という言葉のギャップに、もしかしたらネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、説明を聞けばナルホド。現代社会の生活様式にあわせた「新しい選択肢」なのです。

勉強会当日の様子を少しレポートさせていただきます。

とある東京の核家族のお墓事情

最初にイントロダクションとして、私の身の上話を少しさせていただきました。
東京の核家族である遠藤家は特にきまった菩提寺がありませんでした。しかし十数年前に母が、菩提寺の無い叔母たちと一緒に都内の寺院に墓地を求めた為「遠藤家」だけではなく、叔母や従兄弟も関係する幅広い枠組みのお墓があります。
また、同区内の妻の実家は近隣の寺院に先祖代々のお墓がありますが、家族構成上私達夫婦が守っていくことになります。

つまり私たち夫婦の肩には2つのお墓がかかっている状況となります。

私としては2つのお墓を大切にしたいと考えていますが、現時点では一人娘しか居ないため「娘の代にはどうなるのか?」は想像がつきません。
娘も結婚するかもしれませんし、あとは私達夫婦はどこに入るのか等、考え出すとちょっと胃が痛くなります、、、。

現在、世の中にはこんな話があふれており「墓じまい」というキーワードがさかんに報じられているのかと思います。

また一方で、私はこの日の会場にもさせていただいていた、東京・神谷町にある光明寺さんには公私共に大変お世話になっており、結婚式も挙げました。自分の人生における関わりからすると、光明寺さんが最も親しみ深いのです。

私たち夫婦が何のしがらみもなく、納骨場所を選べるならば、光明寺さんが一番しっくりきます、、、例えばここにレンタルできるお墓があったら、もしや???

そんな前置きから、この勉強会をはじめました。

お寺ならではの新しいお墓の形「レンタル墓」

まずはメインとなる「レンタル墓」の事例発表です。
未来の住職塾 一期生でもある網代豊和さんは、学生時代から抱き続けていた「これからのお寺についての危機感」へのヒントを求めて、未来の住職塾で学び、その学びを自坊へ持ち帰りました。
寺族とともに、生活者目線からのお墓問題について議論したのです。普段、お寺で接する方々の「お墓に対する悩み」を、机上に出していくと4つの主要点が導き出されました。

・お墓の値段(高額)
・納得したお墓を決める為の時間(焦る気持ち)
・お墓の継承問題(後がない)
・移動型社会に対し、固定型のお墓のあり方に対する問題(即決できない)

これらの課題を解決できないか、寺族と協議した結果、うまれたアイデアが『レンタル墓』となります。

【レンタル墓の特徴】
・寺院が建墓したお墓を10年間レンタルできる
・契約終了後のあり方は自由(遺骨返却または、西照寺内の別のお墓への移動等)
・契約期間中の遺骨返却も可能

例えば、パートナーを亡くした方が自分が元気なうちは個別のお墓にお参りしたいという場合や、転勤族のためお墓の場所を固定できない場合など、現代の家族のあり方やライフスタイルに対応できる仕組みになっています。
墓石そのものはお寺の所有となり、利用者はそれをレンタルすることで、大きな費用をかけずに個別のお墓への納骨が可能です。

お寺だからこそ可能な、まさに「これからのお墓のあり方」のひとつといえましょう。

多様化、二極化、ペットロス...お墓をとりまくキーワード

続いて、参加者の方々(東は宮城、西は兵庫まで)より、各寺院の墓地の現況についてご発表いただきました。地域によって状況は様々ですが、大まかに下記の傾向が見えてきました。

・お墓の種類が多様化(樹木葬、永代供養墓、期限付、納骨堂等など)
・お金をかけて大きなお墓を建てる人、または費用をかけない人の二極化
・ペットのお墓を求める声が多くなってきている
・地方都市においては人口流出が目に見えている
・少し先を想像すると無縁になりそうなお墓ばかり

以上のことから、下記のような議論がなされました。

【お墓のあり方】
・流行り廃りがあるので、大きな設備投資がむずかしい
・事前のマーケティングで需要を見極めることが大事
【お寺として】
・お墓で困っている人の声を聞き、受け入れられるように仕組みや設備を整える
・これまで付き合いのなかった人が増え、檀家の世代交代もある中で、10年20年先にお墓や仏事をどう繋いでいくかが重要

レンタル墓の可能性

レンタル墓の仕組みを知り、参加者全員でディスカッションを行なった後、参加者からは「レンタルという言葉に ”軽さ” を感じていたが、墓地の前で手をあわせる日本人の価値観を大事にするアイデアだとわかった」という意見がありました。
日本の墓地の制度が、人とお墓をつなぎとめている要因ですが、現代のライフスタイルとの乖離も認められます。もう少し楽になれる多様性があってもいい。そう感じられたそう。

また、在家出身でお寺に嫁いだ女性の参加者は、里帰りをしてあらためて実家の先祖代々のお墓を見て、顔も見たこともない江戸時代の人が「居た」事実があったのだと、しみじみ感じたことがあったそう。石に刻まれた戒名から職業など想像しながら「石」だからこそ、風雨に耐えてこられたのだと。
お墓が多様化する昨今において、石にこだわりたい気持ちに対してレンタル墓はひとつの打開策になるかもしれないという声がありました。

最後に、今回の「事例研究会」を呼びかけた網代さんから、お墓のことに限らず寺院同士が手を取り合って協力できる境地を目指したいとのお話し。信念を持った寺院同士が、情報共有をおこない、ある面では協働していけるきっかけのひとつとして「レンタル墓」を捉えてもらえたら、と結ばれました。

未来の仏教ラボのプラットフォーム役割に期待する声のひとつとして「寺院同士の協働」というキーワードがよく聞こえてきます。こういった寺院同士の勉強会や集いの場を通じて、良い形を探求していきたいですね。

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未来の住職塾

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