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レポート『未来の住職塾 感謝の集い』 - そして "NEXT" へ

去る 3月7日(木) に『未来の住職塾 感謝の集い』が開催されました。

これまでの7年間の歩みを支えてくれた皆さまと、
この春卒業を迎えられた97名の卒業生・修了生のために、
感謝の気持ちを込めて開催されたのが『未来の住職塾 感謝の集い』です。

この会には、全国各地から100名を超える 未来の住職塾 卒業生が集まりました。
これはとても嬉しいことでした。本当にありがとうございました。
当日の参加が叶わなかった方のために、簡単ではありますが、会の様子をレポートいたします。

「最終講義」から、「最初の講義」へ

会場は、中目黒にある日蓮宗 正覚寺さんの広間を貸していただきました。100名を超えるお坊さん・寺族の方々が椅子を並べる様は圧巻です。

トップバッターは未来の住職塾 松本紹圭塾長による『塾長最終講義』というやや大げさなタイトルを掲げて始まりましたが、すぐにスライドが切り替わって新しいロゴが表示されます。

『未来の住職塾 NEXT 塾長初講義』

この春、未来の住職塾はリニューアルして 『未来の住職塾 NEXT』へと進化します。
この発表をもって今回は「最終講義」ではなく、「最初の講義」として聴いていただくことになりました。

未来の住職塾NEXTについて

『未来の住職塾 NEXT』の大きな変化としては、「卒業のない塾」になるということです。これまでの『未来の住職塾』は一年間をかけて全6回の講義を受講し、卒業していくというスタイルでした。しかし、卒業生からは「まだ学び続けたい」「学びの仲間たちと集まる機会が減って不安」といった声が寄せられていました。
そこで、これからは塾生達が継続的に学び成長できる場と仕組みを提供していく予定です。
主要テーマは、7年間続けてきた『未来の住職塾』プログラムを刷新する「お寺のマネジメント」に加え、新たに「僧侶のリーダーシップ」を学ぶプログラムも開発する予定です。

まだ準備段階ですが、発表できるタイミングになったら、未来の住職塾のWebサイトFacebookページや、Twitter、本noteなどでも告知していきます。ご興味のある方は各媒体を是非フォローしてみてください。

「日本のお寺は二階建て」論 最新版

さて、『NEXT』最初の講義を飾るテーマは「日本のお寺は二階建て」論 です。
日本の仏教をとりまく「お寺離れ」と「仏教ブーム」という相反する2つの要素が同時並行的に存在することの疑問から、現代の人々が仏教・お寺に期待していることは何か?等について迫っていきます。
※ 詳しくは、彼岸寺連載『ひじりでいこう』をご参照ください

そして今回は「お寺の二階建て」構造図が、Ver 2.0へとアップデートされた最新版が紹介されました。これは、2018年度の卒業生が発表した「行動計画」の中に含まれている「お寺の取り組み」を全て抽出して分類。それを構造図としてあらわしたものとなります。
各寺院の取り組みが、お寺全体の中でどういう意味をもってくるのか?どういう位置づけになるのか?について整理して把握するには役立ちます。
未来の住職塾NEXTの「お寺のマネジメント」プログラムにおいても活用される予定です。

テンプルモーニングによる「習慣」の提供

講義の後半は「テンプルモーニングとは何なのか」と題して、未来の仏教ラボでもその動きを伝えている『テンプルモーニング』についての講義。
これまで塾長が『テンプルモーニング』を開催して気付いた「お寺としてのメリット」、参加者の声なども交えながら『テンプルモーニング』の始め方まで解説する内容でした。

印象的だったのは、『テンプルモーニング』を通じて塾長が模索してきたことは、色々な人に「お寺にくること」を習慣化してもらうためにはどうすればいいか?ということであった、との言葉です。
言わば、お坊さんは「良き習慣づくり」をサポートするパートナーなのかもしれません。

午前の部は休憩なしで2時間というすごい情報量でしたが、きっと参加者たちは、自坊を二階建て構造図にあてはめてみたり、お寺から何か「習慣」を提供できないか?などを考えながら、中目黒の街へとランチに繰り出されたことでしょう。

僧侶のリーダーシップ「ウポーサタ」ワーク

午後の部は、総勢100名がグループに分かれてのワークで始まりました。「ウポーサタ」という言葉が初めての方も多いかもしれませんが、午前の講義の中で「ウポーサタ」=「布薩(ふさつ)」の重要性について説明がありました。

布薩とは … 新月と満月の日に、修行者が一堂に集まって、戒の条文を読み上げて、お互い、自分たちがそれに抵触していないか、犯していないかどうか、確認をし、懺悔(さんげ)をする儀式

「あらゆる宗教者は矛盾を抱えざるを得ない存在である」という前提のもと、矛盾に蓋をせず、振り返り、向き合うことによって、宗教者としてのリーダーシップを高めていくという意図から、「僧侶同士で布薩ワークをやってみよう」という発想に至りました。

「超宗派」であることが学びの大事な要素である『未来の住職塾』ですが、今回は敢えて同系統の宗派同士でグループを作り「僧侶の大反省会」を行ないました。これはかなり興味深いものでした。
布薩は、未来の住職塾NEXTの「僧侶のリーダーシップ」プログラムに大きく関わる要素となる予定です。

ヤフー株式会社 川邊健太郎CEOによる特別講演

そして今回は『感謝の集い』ということで、最後のプログラムはまさに贈り物のようなスペシャルゲスト、ヤフー株式会社 川邊健太郎CEOによる特別講演でした。
「この講演が聴きたくて参加した」という方も多かったと思います。

"インターネット一筋25年" の川邊CEO。「色々な所で講演をするが、ここまで髪型が統一的で、職業も偏った場ははじめて」との出だし。さすが、一瞬にして空気が和んで場が温かくなります。

ご自身との宗教の関わりから、ここに集う僧侶の皆さんへの期待まで、時にユーモアを交えつつも、大企業の代表者ならではの視座から、大変勉強になる講演をしていただきました。
参加者も大変刺激を受けたようで、質疑応答も大盛り上がり。一時間たっぷりと素晴らしい時間を過ごさせて頂きました。
お忙しい中、ご登壇いただき誠にありがとうございました。

以上が駆け足ではありますが、『未来の住職塾 感謝のつどい』のレポートとなります。

終了後に参加僧侶のひとりから、川邊CEOの「僧侶への期待」に刺激を受けて、未来の仏教ラボで検討していたプロジェクトを進めたいという連絡をいただきました。他にも、この日に持ち帰った様々な種が芽吹き始めている様子が各寺院のSNS等からうかがえます。もちろん、目に見えない変化もたくさんあることでしょう。

この日のような一日を皆で過ごすことの影響力は計り知れないものであると実感します。『未来の住職塾NEXT』においても、年に1度は「お祭り」のような集いの場を設けていきたいと思います。

そして、NEXTへ

これから始まる『未来の住職塾NEXT』では、全国の僧侶とそのご家族を対象に様々な学びの場を開いていきます。これまでご縁のなかった方にも、新たにご参加いただけるように創意工夫をしていきます。ご期待下さい!!

[written by]

遠藤卓也(一般社団法人未来の住職塾)

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