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レポート「お寺SOCIAL DAY」その1 - お寺のためのクラウドファンディングセミナー

2019年7月23日(火) 東京・神谷町にある、梅上山光明寺にて「お寺SOCIAL DAY」というイベントを開催しました。

第1部は「お寺のためのクラウドファンディングセミナー」と題して、クラウドファンディングのプラットフォーマーとしては最大手の株式会社CAMPFIREの特別協力のもと行ないました。
未来の住職塾 塾長 松本紹圭のご挨拶に続いて、早速CAMPFIRE社 COO 大東洋克さんによる講義です。

クラウドファンディングの基礎講義

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大東さんの講義内容は、クラウドファンディングの種類や成り立ちなど基礎的な知識から、インターネットの歴史、そして現在のクラウドファンディングをとりまく環境まで。日本で始まって約20年。プラットフォームが増えるとともにプロジェクト数も増加。活用方法も多様化していることから、CAMPFIRE社をはじめとするプラットフォーム各社の重要性がわかってきます。

プロジェクト立ち上げ時の審査をしっかりおこなう事もプラットフォームとしての役割です。プロジェクトを初めて立ち上げる人にとっては、自分の計画が無謀なものでないか?的外れではないか?といった不安に対して、判断を行なってくれる安心の存在ともいえるでしょう。

そして、クラウドファンディングの達成金額よりも、どれだけの挑戦が生まれたか?という指標を重視されているというCAMPFIRE社。COOである大東さんの「失敗してもいいからチャレンジしてほしい」というメッセージが強く印象的に残りました。

寺院のクラウドファンディング実施事例

大前提となる基礎知識を身につけたあとは、私、遠藤卓也にバトンタッチをしていただき寺院によるクラウドファンディング事例を実際に見ていきます。

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ここで「なぜ今回クラウドファンディングのセミナーを企画したのか?」という理由にも触れました。

・お寺を支える檀信徒の数が減ってきている
・活動的なお寺では、檀信徒ではないがお寺に関わり「支えたい」と思ってくれる人が出てきている
・この思いや信頼を、お寺への経済的な支援につなげる仕組みはないか?
・既に世の中にある仕組みとして、クラウドファンディングにヒントがあるかもしれない

今回メインの事例としてご紹介した栃木県宇都宮市の浄土宗 光琳寺も、正に既存の檀信徒とは別の「ラジオ体操」で繋がる若い世代のコミュニティが主にクラウドファンディングで支援してくれていました。

日頃、ラジオ体操で光琳寺を訪れている人たちの「お寺の力になりたい」という気持ちが、プロジェクトの達成にポジティブに作用したようです。
檀信徒ではないがお寺と関わる人の、お寺への思いの受け皿としてクラウドファンディングが活用され、それによって関係性をさらに深める効果があることがわかる事例です。
クラウドファンディング実施以降に、檀信徒に見られた変化なども興味深いものでした。

晋山式はクラウドファンディングのプロジェクトとして成立するか?

そして、未来の住職塾NEXT 講師の木村共宏さんによる、「寺社のクラウドファンディング事例データ分析」の報告へと移ります。
ここでは例えば「どれくらいの目標金額のプロジェクトが達成されやすいのか?」など、かなり実践的な分析結果が伝えられました。三井物産勤務を経てコンサルティング業務や企業の顧問を務める木村さんならではの鋭い分析が光ります。

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木村さんの発表をうけて、再びCAMPFIRE大東さん、未来の住職塾塾長の松本紹圭が合流して3人でのパネルディスカッションに突入。「自坊の晋山式(住職の就任式)の資金集めクラウドファンディングは成立するのか?」という問いや、お布施のキャッシュレス化の話題まで。クラウドファンディングというテーマでも実に未来の住職塾らしい展開で盛り上がりました。

クラウドファンディング「成功」の秘けつとは?

今回のセミナーを振り返ってみて、大東さんが強調されていたのが、クラウドファンディングはお金の集め方・人とのつながりの作り方という「手段」であり、それ自体が目的にはなり得ないこと、そしてその手段を使って何を実現したいのかという事業計画が必要になることです。
実現しようとしている事業への共感・信頼・期待などがあってはじめて、クラウドファンディングは成功します。手段の前に、目的をはっきりさせることが大事であると。事業としてしっかり練りこまれているかどうかが問われます。

これは当たり前のようでいて抜け落ちやすい、実に大事な観点です。
9月に開講予定の「未来の住職塾NEXT R-1」にて、受講生たちが作る「事業計画書」。その中にも、クラウドファンディングを「手段」として必要とする計画が出てくるでしょう。その際、寺院をよく知る私たちがCAMPFIREさんのようなプラットフォームとの橋渡し役としてサポートを担う可能性を実感しました。

今回、特別協力として本セミナーに関わっていただいたCAMPFIREさん。そして、寺社のクラウドファンディングプロジェクトに関する調査データをご提供くださったホトカミさん。ありがとうございました!

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