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犬猿

映画の備忘録。ネタバレあるのでご注意ください。

初・テアトル新宿で鑑賞。地下にのびる階段に「犬猿」スチール写真がちっちゃくいくつも飾られている。いいですね…こういうの好きよ。予告を1度だけみて、うーんスルー案件かな~と思っていた。が、映画仲間がこぞって「兄弟姉妹いるなら見て損はない」と言い張るので興味がわいた。上映2週目でしたが7割くらい埋まってましたね。撮影で使われた衣装も設置。パンフが売り切れてた。人気あるな!

「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督が「兄弟」「姉妹」をテーマに、羨望、嫉妬、近親憎悪といった身近な存在に抱いた感情を、笑いとペーソスを織り交ぜながら描く。窪田がまじめな弟・金山和成、新井が刑務所から出所したばかりの傍若無人な兄・金山卓司に扮し、江上が仕事はできるがブスな姉・幾野由利亜、筧が容姿だけが取り柄の妹・幾野真子を演じている。ー映画.comより


感想:兄弟あるある 「電話しても弟がでない」


兄 金山卓司(新井浩文)
弟 金山和成(窪田正孝)
姉 幾野由利亜(江上敬子fromニッチェ)
妹 幾野真子(筧美和子)

もうこの配役だけですごい。顔の圧がすごい。兄弟組は存じ上げてますが、姉妹組は誰ですか…?ニッチェってお笑いのひとなの?それにしちゃ演技、上手かったぞ!!噴射シーンとか、豚ッ鼻メリーゴーランドとかで観客みんな笑いまくってた。すげー。


オープニングのクソみたいな邦画予告「泣いちゃいました」「今年ベストです!」「犬猿、サイコ~!」とかいうやつ。あ、もう映画始まってるのね。ここに売れない女優の卵、妹・真子が出てたのかとあとで気づいた。初っ端からの仕込みに笑う。


由利亜と真子

名前からして意地悪。ユリアとマコ。字面音感からして絶対妹がユリアじゃないかって思う。町工場の制服、きちんと首元までボタンを締める姉、締めない妹。お気に入りのピンクコートと大き目のバックを揶揄される姉(そのカバン、その服に合ってないよ。もうちょっと小さい方がいい)この辺りのせりふは、親戚の姉妹を思い出した…「オンナ」を強調しあうと罵りあいに発展するいい例。家事、祖父?の介護、父から引き継いだ家業を一手に引き受ける姉。お手伝い(昔でいう腰掛レベル)しかできない、華のある妹。姉が営業に気があるとふんで「みんなでご飯行きましょうよ~」ナイスパス!を出す妹、しかしお胸バーンな服をきてセルフィーするくらいの面の皮。いやー可愛い。頭空っぽなこは男女関係なく、大根役者みたいな話し方をするっていうけど、妹・真子はその典型的なやつだった。


兄弟姉妹の間に渦巻く愛憎を、笑いとシリアスを交えて映し出した本作。何気ないセリフのなかに、狡猾で醜い人間の本性が隠されている。窪田は「個人的には、(台本を)読んでいて『悪意があるな』と思ったんです。でも悪意があることがエンタテインメントとして面白かったりもする。そのなかに愛情を注いでくるから、『ずるい人だな』と思っていました(笑)」と告白。「吉田ワールドのなかで動かしてもらった感じ。画にはめ込んでもらったというか」と撮影を振り返る。 -映画.comより



卓司と和成

出所した兄・卓司が居座るまでの流れ、最高です。キャバクラのおねーさん、黒服おにーさんのたたずまい。弟・和成の家の猥雑さ。壁に掛けてあるスーツ。たぶん部屋で一番居心地のいいであろうソファにねっころがって煙草すっちゃう兄。靴下半分脱ぎ掛けてたり。灰皿ねーの、じゃあこれでいいやってグラス使うところ。禁煙してたのに「なんかどーでもよくなっちゃって」といいながら、でも換気扇の下で煙草すってる弟。描写がいちいち上手いんだよ!!はー、好き。ステーキハウス「なになに、おんないるの?」って寄ってくる危ういひとなつっこさ。え、おにいちゃん、おにいちゃん来なくていいよって言いながら腰が超引けてる弟。


実家の描写

背中丸めてごはん食べる弟、何もしなくても(何をしても)許されてる感のある妹、親父の借金ポーンと返したり、みんなで旅行しようぜってはしゃぐ家族と「繋がり」を求める兄、幾野一家の心臓を握ってる姉。個々人と家族との距離感が丁寧に書かれてる。ふたつの家族の対比が上手い。


この絵面が一番好きです。いつもなんか考えてる兄と姉、知らねーって顔の妹と弟。4人の関係性を最もよく表してる。


リアルな家族構成

私は妹がいます。学年は2つ下で身長は私より大きい。私が154㎝、彼女は170㎝近くある。ガタイもいい。なぜか妹には尊敬されており、ムカつく姉貴といわれつつ、愛されてる自覚もある。

長男長女の強みかもしれないが、妹に嫌われない自信てあるんだな。根拠のない絶対的自信。なんだろうね。もし私が悪事に手を染めてヘタこいても、彼女は映画のように黙ってかくまってくれるし、お金もくれるでしょう。

残念な話をひとつ。妹の太ももだったかな?黒いほくろがあるんです。小学生の頃、喧嘩で私が鉛筆を刺したあとが消えないまま。体格が違うから、取っ組み合いでは勝てなかった。いまだにチクっと言われる傷の話。

先日映画ファンの集いテーブルで話した時、「犬猿」について兄弟姉妹で語りたいか?という話になった。私はあえてふれないし、勧めもしない。もし妹が犬猿を見る機会があったなら「へー、どんな話?教えて?みてどう思ったの?」と誘導尋問をしたい派です。意地悪!


兄・卓司とシンクロしたところ

・実家にマッサージチェア(たぶん60万円とかする)を買ったのに父ちゃんも母ちゃんも使わない。兄、ブチ切れる。別シーンで弟が座って「ヴァァァァァァア」ってやってる

・電話しても弟が出ない。コール音が響くなか、携帯みながら飯食ってる弟の姿を、家の窓から盗み見てるとこ

・「ガキのころ、お前守ってやったよなぁ?」ってすごむところ

・映画後半、病院に搬送される途中、重傷の兄が弟に「おまえさぁ、子どもの頃、俺のこと好きだったんだよ」という場面、わかるわーーー!と思った


姉・由利亜とシンクロしたとこ

・いちいち妹にダメだしするところ。そんなこともできないの?って態度(ほんとごめん)

・デート中の噴射

・親戚との食事でひとりせこせこ働くところ(でもおしゃれはしてる)

・謎のてぬぐいをゴミ箱ポイして、あとで拾って号泣するとこ

姉・由利亜を演じた江上敬子fromニッチェにはぜひ日本アカデミー賞をあげてください。こんな体当たり演技、久しぶりにみたわ。おまえは蒼井優か!



おまけ

新井浩史の病室でのひと言、あれが聞きたかったんだろうな、姉は。「チャーハンうまかった」か、「ありがとな」か覚えてませんが。何気ない気遣いへの、気遣い。兄はノーチェンジのタクジなんだから、おまえらがくっつけよと思った。エンディングまで最高かよ。2018年も邦画は豊作です。


参照

「コンプレックスに悩まされて生きてきた」ニッチェ・江上が主演した映画『犬猿』の姉妹・恋愛あるあるとは?

映画.com 犬猿

以上です!


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