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死ぬまでにしたい10のこと

原題は"My Life without me"

DVDで購入、3~4回ほどみかえしている映画。2003年制作、監督は イザベル・コイシェ。バルセロナ出身、カタルーニャ人。

23歳で余名2ヶ月と宣告されたアン。幼い娘2人と失業中の夫と共に暮らすアンは、ある日腹痛のために病院に運ばれ、検査を受け癌であることが分かる。その事実を誰にも告げないことを決めたアンは、「死ぬまでにしたい10のこと」をノートに書き出し、一つずつ実行してゆく。


死ぬまでにしたい10のこと
Things to do before I die 


 1.娘たちに毎日愛していると言う
・Tell my daughters I love them several times a day

 2.娘たちの気に入る新しいママを見つける
・Find Don a new wife who the girls like.

 3.娘たちが18歳になるまで毎年贈る誕生日のメッセージを録音する
・Record birthday messages for the girls for every year until they're 18.

 4.家族とビーチに行く
・Go to Whalebay Beach together and have a big picnic.

 5.好きなだけお酒と煙草を楽しむ
・Smoke and drink as much as I want.

 6.思っていることを話す
・Say what I'm thinking.

 7.夫以外の男の人と付き合ってみる
・Make love with other men to see what it is like.

 8.誰かが私と恋に落ちるよう誘惑する
・Make someone fall in love with me.

 9.頬の感触と好きな曲だけしか覚えていない刑務所のパパに会いに行く
・Go and see Dad in jail.

 10.爪とヘアスタイルを変える
・Get some false nails( and do something with my hair


夜ふけのダイナー、コインランドリー。ふとした場所に出会いはおちている。恋人のリーの存在に、やけにリアリティがあるなと思った。夜中のコインランドリーで寝込んでしまうアンに上着をかけて、じっとみつめる場面。ふたりがひかれあった事情や、なれ合いは深く描かれないけれどあの場面、あの視線にすべてが込められているように思えて。リーのことは浮気相手とか不倫相手とか呼びたくない。かれは「夫以外の男のひと」なのだ。

23歳と若く、それなりの人生経験をしていないようにみえても、アンはとても強い。痛みも悲しみも絶望も誰ともシェアしないまま、ゆっくりと季節を過ごし、みじかい生涯をおえる。

成長する娘たちへ節目のメッセージを録音し、初めて付き合った夫へのバックアップに新しい母親候補(しかも隣人!)をみつけてくる。ダイエットに悩む夜勤の友人へのフォローもかかさない。主治医をのぞいて、病気のことは誰にも隠したまま。

カナダはバンクーバーが舞台で、オープニングからどしゃぶりの雨。画面も天気もどことなく曇り模様で、アンの行く末があまりハッピーじゃないことがじんわりと伝わってくる。

主人公のサラ・ポーリーのなんとなく何かが足りていない感じ(頭とかじゃなくて)が全身からにじみ出ていて、とてもすき。リーと桟橋で別れるのも残酷にみえるけど、一番きれいに見送れそうな場所だからなんだろう。

マーク・ラファロは妻と別居中とか(スポットライト)長年付き合ってた恋人と別れてそのままか、その間に主人公の女性と出会うけどそれも一瞬の花火で終わる、みたいな映画によく出ている印象が強い。陰りのある役が似合うんだよな。

ひとにおすすめしにくい、好きな映画のひとつです。


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