MEXのETH調達レートが示唆するもの (後編)

1年以上の時を経て、後編はどこですか?との声を頂戴する事が多くなったので放置されていた下書きを引っ張り出してきて再び筆を進める事にする・・・(前編はこちら)と思いきや、しばらく前にツイッターで後編に相当する内容をT.Aさんが簡潔に書いていらっしゃったので、ご本人の許可を得てここにまとめさせていただいた。

ということで、ボラティリティ and/or 相関が高まるとショート側の貰いが大きくなりがちですよ、という事でした~。

より深掘りしたい人は「オプションプライシングの数理」の262ページあたりを読むと書いてあります。あと、通称ハル本の「quanto」のページにも同じこと書いてあります。

また、これを応用した取引戦略がこちら。書かれた内容そのままでは若干賞味期限切れかと思いきや、突然賞味可能な市況になったり、その後出てきた諸々のデリバティブ取引所( bybit や FTX、Deribit等 )を組み合わせたりして、面白いポジションが組めると思います。

以上っ!

--- コロナショックを受けて追記 ---

3/14日14時現在、ETH調達レートがロング側受け取りになっている。

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ボラティリティは負にはならず、ETH-BTCの相関もプラスを維持していると思われるため、上述のQuantoの話だけではMEXのETHのFRがロング側受け取りになる事は説明がつかない。

かたや、BTCはロング側受けとりのプレミアムが上限の37.5bpsに張り付きっぱなしであるが、背景には (finexのレートをみた所) 現物レンディングマーケットにおける品貸し料の高騰がある。現物の空売り+先物のロング、というカーブプレイができず先物の先安感が収益化できない為、このような現象が観察されているものと思われる。

ETHも「もしQuantoでない、ストレートなPerpetualであれば」大幅なロング側のプレミアム受け取りになっており、Quantoの効果によってそれが現在の水準まで戻されている、と考えるのが自然だろう。


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