2018年度東京都立高校入試受検生動向(推薦入試)

【概況】2018年春に高校入試を迎えた東京都の中学3年生は,中学卒業予定者が前年比1.4%減。それに対して都立高校普通科推薦入試を受検した者には前年比6.6%減と顕著な傾向が見られる。これは,都立高校普通科一般入試を受検した者の前年比3.3%減に比べても2倍の高水準となっており,「都立高校推薦入試」と距離を置く中学生の傾向が見てとれる。また,各高校の志願者数に目を向けると,さらに明らかな傾向が見られた。(詳細は後述)

【進学指導重点校】都立西を志願した女子の23.0%減が目立つ。一般入試でも13.5%減とこのくくりの中では際立って高い数値となっており,女子の「西高離れ」がハッキリと見えている。一般入試では男女ともに志願者が増えている立川は,推薦では男女ともに大きく志願者を減らしている。「絶対に行きたい!」と第一志望に挙げてくれる「ファン」が減っている状況に目を向けるか,それとも一般入試の志願者数増に目を向けて改善を後回しにするのか,その成り行きに注目したい。全体としては志願者が前年比3.0%増でまとまっており,保護者・生徒の信頼や期待の高さがうかがえる。

【進学指導特別重点校】志願者の減り方はほぼ一般入試と同じ様相を示しており(全体で2.4%減),従来であれば「安全志向で手堅く合格を勝ち取る」ためにこれらの学校を選んでいた層が高めにシフトして転じた可能性が考えられる。また,全体的に女子に敬遠された傾向があり,同じ推薦を使うにしても同レベルの「(大学合格実績はともかく)面倒見の厚い私立」「私立附属校」に流れていると思われる。前述の立川と同様に一般入試に比べて推薦入試での志願者減少割合が高いのが新宿で,保護者受検生の評価が定まっていない様子が見てとれる。

【進学指導推進校】全体で志願者が5.9%減と普通科全体の減り方に近づいており,この集団以降の都立高校は軒並み推薦入試において同様の減少率であろう。一般入試と同様に豊多摩の減少率に目が行くが,日野台女子の44.4%減も目立ち(一般入試は13.5%減),おそらく私立の単願に流れていると思われる。今年の大学合格実績を見る限り,進学指導・カリキュラムの見直しは必須で,動きが遅くなればなるだけ近隣の私立高校に生徒を奪われることになるだろう。同様の傾向はこのレベルの都立高校においてはどこでも起こりうる可能性がある。私立高校がまずターゲットにしてくるのがこのレベルの都立高校になるからだ。

【2019年度の傾向】都立上位校の推薦入試を考える層は,基本的に学習習慣もついていて将来の進路についても調べ,早めに対応を始めている可能性が高い。首都圏私立大学文系の大幅難化が昨年以上に話題にあがればあがるほど,今春の大学合格実績で苦戦した高校(主に進学指導特別重点校,進学指導推進校)は厳しい目で評価されることになる。理念はもちろんのこと,大学受験までのロードマップをきちんと示し(従来通りのものではダメで,大学入試新テストも含めた改善策まで提示すること)理解を得られないと,近隣の私立進学校あるいは私立附属校にこれまで以上に生徒を奪われる可能性が高い。言い方を変えれば,都立私立を問わず偏差値60から65未満の生徒を着実に鍛え,厳しい大学入試に対応できる底力をつけた高校は一気に評価をあげるチャンスとなる。「高校側の変化のスピードが,保護者の考える変化に全くついていけていない」ことが,いくつかの高校においては「志願者減」という形でハッキリと見える化できたのが今春の入試であり,この傾向はあと数年(就職状況の好転が終わり,私立文系の就職が厳しくなって理系シフトに変わるまで)続くことが予想される。

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秋田 洋和

各種教育情報

入試種別を問わず,教育周辺の最新情報をまとめます。主に自分自身が保護者会で利用する情報の保管に利用します。
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