2018年度埼玉県公立高校入試受検生動向

【概況】2018年春に高校入試を迎えた埼玉県の中学3年生は,前年に比べて卒業予定者が1137人の減少。公立高校志望者は前年に比べて2000人弱の減(4.1%減)となり,普通科受検者に限定すれば3.7%と東京都の減少率を上回っている。対して私国立高校志望者は3.8%増にとどまった(東京都は9.5%増)。ここでは学校選択問題を採用している20校について出願者を確認し,保護者ならびに受検生の動向を確認したい。

学校選択問題を採用している20校について,偏差値帯によってAとBに2分割し,理数科を別にCとして抽出している。

【Aグループについて】
①大宮(普通)・春日部:どちらも出願者は減ったが,定員が40名減っているので,倍率はどちらも前年より上昇している(大宮:1.41→1.52 春日部:1.29→1.37)。
②川越・川越女子:どちらも定員が40名増加したものの,出願者数は微増にとどまったため,倍率は川越が1.41→1.28,川越女子が1.51→1.38と減少している。この地域は近隣に私立進学校が多いことや電車1本で行ける私立附属校が複数あることから,他地域に比べて「公立離れ」の傾向が現れやすい(90年代にも同様の時期あり)
③大問題の3校について
(1)浦和一女:定員40名減に対して志願者は91名減少したため,倍率は1.39→1.25と急落。原因として挙げられるのは「合格実績」の1点か。国公立大の実績に変動がない以上,主要私立大の合格実績が伸び悩めば大宮へのシフトあるいは都内も含めた私立高校を積極的に選択する層が増えるのも当然。毎年100人前後いる浪人が今春は123人(3人に1人)と増えたが,昨今の「都内私立大学の急激な難化に伴い全体的に浪人が増えている状況」から見ても必ずしも有利に働くとは言い切れないだけに,保護者の厳しい評価は続くかも。

(2)蕨:ダントツの1人負け。定員が40名増えたにもかかわらず志願者は128名もの大幅減少で,倍率は1.67→1.10と急落。私立大学難化の影響をモロに受けて大学合格実績が低迷したことが原因と思われる(別表参照)。120名の志願者減は,単純に「従来であれば入学してくれた2クラス分の生徒がいない」ことを意味する非常事態。

とにもかくにも明治大の合格者数を減らし過ぎ。高止まりしている明治大の人気(特に女子)に逆行する実績推移は,これだけの受検生にソッポを向かれる原因としては充分。明治に限らずMARCH各校の実績が下がっているので,文系の生徒が多い(東京理科大の合格者数が理系重視度のバロメーター)以上,私立大の苦戦はこれからも続くと思われる。朗報は国公立大の実績が回復したこと。H30入試では現役で国公立に81名の合格者を出しており,数字だけなら浦和一女をも上回っている。埼玉大26名合格をアピールしながら同レベルの高校(公立・私立を問わず)との差別化を図れば,国公立志望の中3生の目に留まるだろう。

(3)不動岡:地味ながら志願者を10%近く減らしている。今春の大学合格実績は全体的に持ち直していて(別表参照),MARCHに限れば蕨に近づいているし,国公立大の実績も悪くない(埼玉大17名はともかく宇都宮大12名は評価が分かれるが)。

【Bグループについて】
全体で志願者が4.5%増えており,同偏差値帯の私立高校単願に生徒が流れていない状況が見てとれる。浦和西は定員40名削減があるので倍率は前年と同様に収まっている。このグループ各校には,保護者・受検生が期待をしている様子がわかる。熊谷・熊谷女子はどちらも前年志願者を減らしたが,今年は一昨年並みまで倍率が戻っている。

【Cグループについて】
理数科は軒並み志願者減。就職状況の好転によって「文系でもいいや」という層が増えていることが考えられること,昨年の数学が難しかったことで数学を武器とする生徒でも尻込みしたか。

【2019年度の予測】
首都圏私立大学文系の大幅難化にしたがい,MARCHレベルの合格実績を減らし続けているところは今年同様志願者数の減少に頭を抱える可能性が高い。埼玉の私立高校の中にはこの状況でも堅実に実績を向上させているところがあるので,ここでの競争に勝機を見出すかそれとも国公立大の実績を高めるか,進学指導の在り方を見直しアピールしない限り,公立高校どうしの生徒の取り合いだけでなく私立高校との取り合いにも負ける場合もありうる。
 また,さいたま地区,川越地区を中心に,大学入試新テストを避けようとする層の「私立附属校シフト」も今年同様続くことが予想される。結果として公立高校へ進学するとしても,受験勉強のベースを「難関私立高入試」対応とし,学校選択問題が易しく見えるくらいの仕上がりを考えて準備するに越したことはない。

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秋田 洋和

各種教育情報

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