Feanor

25年以上Feanorで通してる人です。

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十年と少し、前のこと。

「同じ空の下にいる、って言うじゃない? 古びた実家のベランダで、淡い夕焼けを眺め風に吹かれながら、 何故か不意に、君がとても幸せになったように感じた。 そして、翌春の卒業者名簿に、姓が変わった君を見つけて。 俺って、案外捨てたもんじゃないな、って思ったよ」 未だこの人生で一度しか使ったことのない、新御徒町駅。 我が目を疑う、君がいる。 いや、相違ない。五十米先から一瞬でこの眼に飛び込んで来たんだから。 扉が閉まり、はしりだす大江戸線。ほんの僅かな逡巡は、破棄。

十年と少し、前のこと。