☆☆ アップルパイひとつ買えないのか、買わないのか、、、 難問になる。   

デパ地下を歩いた
洋菓子売場を通った
ショーケースのなかには
赤、黄、緑のフルーツが器用に盛り付けられた
掌中サイズのケーキが並んでいる
美味しそうだった
立ち止まって、見ていくと
子供のときから、ずっと、大好きなアップルパイも
下の段に、控えめにあった

どれか一個食べるとすれば
何がいいだろうか ?
最良の一個を選ぶとすれば
どれにする ?
どんな味なんだろう ?
予想がつくような、つかないような

この世間で大分年月を過ごしたせいか
何でも、慎重に、よく考えて
損をしないように
騙されないように
後悔しないように 
と考える癖が付いてしまった

たかがケーキ一個
財布のなかにキャッシュはある
カードだってはいってる
買えないわけはない

それでも
めんどくさく考えてしまう
悩んでしまう
心を疲れさせてしまう
時々、自分が嫌になるくらいだ
全く、しょうもない性分を身につけてしまった

結局、どれを選ぶのか ?
フルーツロワイヤル、ガトーマスクメロン、アップルパイ、、、
そもそも、ケーキを買いたいのか、買いたくないのか ?
そのうち、ケーキよりも
最近お気に入りの缶ビール2本のほうがいいのではないか、と、、、 

あの、子供の時が思い出される   
夢の中で、キンダーガーデンの天使の先生が
園児たちを並ばせて、リンゴかミカン、どちらかひとつ選ばせて
配っていた
わたしの順番がきて、美しい天使は
顔を覗きこむようにして、優しい声で言った
「あなたは、リンゴ、ミカン、どれにする、、、」
わたしは、答えた。
「リンゴとミカン、両方、、、」
天使のかおは、困惑していた
忘れられない

どれも切り捨てない
どちらのよさも認める
ほかのよさもわかる

今でも、よく迷う
しゅんじゅんする
右往左往すらする
石橋をたたいても、ほかの可能性をさがす

いつも、もとへ戻ってしまう
ひとつなんて、選べない
全てが欲しい
そして、疲れてしまう

でも、アップルパイは、食べている

  


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