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Fender LEAD SeriesのHitmaker Stratocaster化 #コスプレ


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HitmakerコスプレLEAD

 今回のコスプレですがFender社のNile Rodgersモデルである、Hitmaker Stratocasterをモチーフにいたしました。その名の通り数々のヒット曲においてNile Rodgersはこのギターをプレイしています。自身のグループであるChicはもとよりMadonna、David Bowie、Diana Ross、Duran Duran、B-52'sなど1970年代後半から1980年代にかけての多くのアーティストの楽曲でこのギターのサウンドを聴くことができます。


Hitmaker

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※ギター・マガジン2016年2月号P90

 Hitmakerは1960年製のボディーに1959年製のメイプル1ピースネックを取り付けたハードテイル仕様のStratocasterです。ボディーはリフィニッシュされており、白の上に黄色を塗り重ねているようです。ペグはSperzel社の(おそらく)Trim-Lok 6-in-line Locking Guitar Tuners Satin Chromeに交換されていて、3・4弦用にも波型のストリングガイドが追加されています。ノブは白のスピードタイプに交換されていて、ピックガードはブラス製にクロームメッキがされているとのことです。


 Fender社のHitmaker Stratocasterを紹介する動画です。カッティングの際の音の感じがわかりやすいですね。


 Nile RodgersのグループであるChicの最大のヒット曲「Le Freak」です。このイントロのカッティングの音が、このギターの音のイメージの元になっています。


 David Bowieの「Let's Dance」です。Nile RodgersのカッティングとStevie Ray Vaughanのソロが印象深い曲です。


概要

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Fender Custom Shop Hitmaker Stratocaster

 モチーフとなるFender Custom Shop製Hitmakerのスペックですが、ボディーは軽いアルダー材で、ネックはメイプル1ピース。ストリングガイドとペグはオリジナルHitmakerと同仕様。指板のRは9.5でミディアムジャンボフレットが打たれており、現代的な仕様といえます。
 ピックガードはブラス製でクロームメッキがされているとのことですが、レリック仕上げにしているせいか、外見的にはシルバーのアノダイズドピックガードのように見えなくもないです。ノブはオリジナルHitmakerと同仕様です。
 ピックアップにはFender Custom Shop製のCustom '69 Strat Pickups Setが採用されているようですが、オリジナルに搭載されているピックアップが不明のためなんとも言えません。オリジナルにも1960年代後半の仕様のものが搭載されているからなのか、はたまた音で選んだのか?
 ブリッジやサドルもオリジナルHitmakerと同仕様ですね。

 今回のコスプレでは上記のスペックを参考にしつつ、できるだけ近づけていくつもりです。


ネック(ヘッド・ペグ)

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ヘッド表面
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ヘッド裏面
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ヘッド側面

 ペグはモチーフ同様にSperzel社のTrim-Lok 6-in-line Locking Guitar Tuners Satin Chromeを搭載しました。ペグシャフト部の直径がオリジナルのF-keyと同じなので、ヘッド裏面にペグ固定用の小さい穴を開けるだけで換装は可能です。このペグは裏面の丸いツマミを回すことにより弦のロック・アンロックが簡単にできて、信頼性も高く使いやすいです。ただ、前述の通りHitmakerはトレモロレスであり、Nile Rodgersがロックペグを採用するに至った理由は不明です。
 ストリングガイドは、元々のLEAD Seriesにおいてモチーフ同様に2つのストリングガイドが搭載されているため特に改造はしておりません。上の画像のようにペグポストの高さは6⇒1弦方向に向かって短くなっており、トレモロユニット搭載のギターではそもそもストリングガイドを廃している場合も少なくありませんが、この点についても理由は不明です。

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オリジナルHitmakerヘッド

 弦交換の際、ペグに弦を巻く回数が少なくて済むという点についても、上の画像の通り特に6弦にはかなりの回数弦が巻かれていますし、とにかく何らかの拘りはありそうです。
 フレットについてはオリジナルのままです。


ボディー・ピックガード・ノブ

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ボディー

 ボディーはおそらくアッシュ材で、オリジナルのLEAD Seriesとしては軽量な方だと思いますが、アルダー材ほどではないような気がします。ボディーカラーはWhiteですが、ご覧の通りかなり黄変しています。
 ピックガードですがブラス製にクロームメッキというのはハードルが高く、メッキが傷んだ状態に見た目が近いと思われるシルバーのアノダイズド製を採用しました。作成は以前依頼したことのあるCheap Createさんにお願いしました。
 ノブにもモチーフ同様白のスピードタイプを採用しております。


ピックアップ・ブリッジ

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Custom '69 Strat Pickup表面

 ピックアップにはこれまたモチーフを踏襲し、Fender Custom Shop製のCustom '69 Strat Pickups Setを採用しました。


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Custom '69 Strat Pickup裏面

 このピックアップですが、Fender社によると「60年代後半のごく短期間に使用されたピックアップを再現。」しているそうです。


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直流抵抗値

 直流抵抗値は5.8kΩとのことですが実測値では5.15kΩでした。


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ブリッジ

 ブリッジについてはベースプレートはオリジナルで、サドルにプレスタイプを搭載しました。


終わりに

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全体像
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アノダイズドピックガード

  というわけで、今回は結構モチーフのスペックに忠実なコスプレができたように思います。上の画像では以前の作品であるローズウッドネックの Eddie Cletro1957 All Rosewood Neck Stratocasterコスプレと並べて撮影したわけですが、LEAD Seriesの場合同じWhiteでも黄変の度合いはかなり異なります。それに金と銀のアノダイズドピックガードを搭載するとかなり違った感じになってしまいました。
 音ですが、重さの似たメイプル1ピースネックでプレスサドル搭載のLEAD2と比較して生音の違いがあるように感じます。もちろん一概には申せませんが、ある種の「キレ」を保ちつつも音の重心は低めです。ただ、その違いが何に基づくのかは不明です。
 Custom '69 Strat Pickupsはオリジナルに搭載されているX-1とは随分感じが異なります。アンプを通したときにX-1より高域・低域ともレンジが広く、ピッキング時の強弱もつけやすく感じます。
 インタビュー記事によれば、Nile Rodgersはレコーディングの際かなり弱く弾いていて、そのほうが音が抜けるんだそうです。今回のコスプレによってノーマルよりも表現の幅が広がったように感じるのですが、表現する技術の有無はまた別の問題です。そしてやはり重要なのは外見!アノダイズドピックガードはカッコいいという信念に基づき、今後もモチーフ探しに奔走する所存です。

【了】

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