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初期衝動が爆発したロックの救世主 「Black Country, New Road」 【ANTENA #3】

ジャンル的にはポストロックなんだろうが、音だけ聴くとなかなか掴みづらい上にバンドの全容も見えず「どんなバンドなんだろ?」と思ってた。
だからBGMのように聴いてしまうといろんな音が混じって全体を捉えづらく、ポップでもないので聴き流してしまう恐れがあるのだが、
それは本当にもったいないバンドだ。

ブラックカントリーニューロードは、全員がケンブリッジ周辺の出身で、現在はロンドンを拠点に活動する7人組のバンド。
ギター、サックス、キーボード、ドラム、ベース、ヴァイオリンで構成されており、ポストロックをベースに、オルタナ・ハードコア・アートロック・ジャズなどの片鱗も魅せてくれる。

デビューアルバムのプロデューサーは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどを手がけるアンディ・サヴァース。
ジャケット写真はメンバーが写っているのかと思いきやフリー素材が使用されており、これは特定の文脈から解放されたバンドを表しているそうだ。
そういったところもインディ精神溢れていて面白い。

彼らのデビュー作である『For the first time』を聴いていると、
クラシックのように「今、何を弾いているな」といった一つ一つの音や楽器に注目して聴き込んでしまっていることがある。
近年はロックが元気がなくて、自分もちょっとロックから離れてしまっていたのだけど、久しぶりに「あ、バンドの音が鳴ってる」と認識したのがこのアルバムだったりする(バンド聴いてても右から左に受け流していたりする)。

またフリージャズや、プログレにあるような見てるこっちもヒリヒリするような緊張感のある空気は、
ライブで見ると凄まじそうだなという期待しかないのだが、音源でも爆発の波がひと段落すると「ふー」と緊張が解かれたような筋肉が緩んだような気持ちよさを味わせてくれたりもする。
そういった「セッション感」を嗅ぎ取ることができるのも、このバンドの良さなのかもしれない。音源でもライブ感があるっていうか。

既にデビュー前からライブはソールドアウト続出だったり、大型新人としてかなり注目されているようなので既に多くの方が知っているかもしれないが、
ロックファンにはおいては決して見逃したりしないよう、このまま音源を再生することをお願い申し上げたい。



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