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迷インコ

迷いインコを預かる。

インコのオスメスは鼻の部分の色で見分けられる。オスなら青くなる。しかしこの見分け方は大人になってからなので幼少期はみな同じように薄い。

迷インコは鼻の部分が白っぽいけどメスというよりまだ幼いだけのような気がする。少し体が華奢に感じる。

とっても人馴れしている手乗りインコ。手のひらに餌載せてみせると喜んでつついてくる。

羽にはクリッピングの形跡あり。羽の一部を切って飛べなくすることで管理をしやすくする方法。飛翔時の事故防止の役割を期待する。

ケージ内外でしばらく観察するが、基本歩き移動。羽を使おうとしないので多分ペットショップからクリッピングがされている個体なのだろうと推測。その代わりアクロバティックにグルグルととまり木を軸にして鉄棒のようにして回る。遊んでほしいアピールのようだ。

しかし、クリッピング方法がよろしくない気がする。クリッピングは初列風切羽という部分をカットする。鳥の飛翔能力に特に関連する羽。この部分、畳んだときにすっと外にきれいに並んで見える羽なのでカットすると羽を広げなくても一発で羽がないことが判る。初列風切羽があるのとないのでは、見た目の印象がガラリと変わってしまう。翼が短い鳥という見た目を気にして、見える羽を残した上で、次列風切羽のほうをカットしてクリッピングとする風潮があるようだ。

初列風切羽の役割は、体を宙に浮かせる揚力を発生させると同時に、前に進むための推進力のほうにも関係する。一般的にここを切っておけば飛べなくなるとされるのは初列風切羽。次列風切羽は前方からくる風をはらんで浮上する力を得る働きがある。羽の構造で推進力も得られる。ベルヌーイの定理とかは知らない。

ともかく、鳥の飛翔能力について、人の感覚としては少しでも羽がなければ飛べないだろうという思い込みがあるようだ。羽を切る枚数を少なくする、切る長さを短くする。そうやって飛ばしてインコを逃した人を3人ほど知っている。

管理したいのか、したくないのか。中途半端に処理したところで中途半端な結果しかうまないこともあるということを考える場面はいくらでもある。と仕事のことを思い出したが長くなるのでかくのはやめる。

とは言うものの実際にクリッピングして飛翔能力がどう変わるのかというのはやってみたことがないのだ。そのうちクリッピングやってみるか。初列のみ、次列のみ、両方カット、片方の翼だけのクリッピング。

写真のように羽がカットされたこの迷インコに関しては、部屋で放鳥すれば10メートル以上の飛行は余裕でできる。コントロールする羽が少ないのと、飛ぶ生活をしてこなかったために下手くそではあるが。そのことが一度飛び出してしまったあとに戻りたくても戻れないという状況になった可能性も考えられる。

いまはクリッピングをしていない先住インコを追いかけ回してコントロールがうまくなったのであちこちぶつかることも少なくなった。1週間程度でこれなので、羽が生えてきたわけではなくて練習の成果だと思われる。広くない部屋の中ならクリッピングしていない個体と同じぐらい下手くそなりに飛んでしまう。本当にこの程度の飛翔能力に調整したかったのだろうか?お店飼育でも自宅飼育でもメリットがあまり思いつかない。見た目を損ないたくないという意思は読み取れる。

しかし、保護されたのはクリッピング個体で捕まえやすかったからとも考えられる。人を怖がらないベタな個体だったというのが大きそうだけど。

この状態で外で一日過ごすというのは厳しそうに感じる。しかし、何度も飛べばある程度移動できてしまうのか?どこから逃げたかという推測は難しい。

ホームセンターに売っているセキセイインコの値段は2000円前後。逃してしまったとしても残念だったねで済ましてしまう可能性は高い。

動物は落とし物扱いなので警察の方に連絡すればもしかしたら保護されている可能性もあるので一度問い合わせしてみてもいい。この子はちゃんと警察に届けられている。問い合わせかぁと思うのであれば、ネットでの検索システムを導入しているところもあるのでそれで見てみてもいいかも。ときどき見みると動物載ってる。

なんだかこの迷インコはとてもベタベタに慣れていたので、よく構われていたんじゃないかなと思った。大事にされていたのなら飼い主さんのところへ戻ってほしい気もするのだが。

実のところ、先住インコはオス。ゲロゲロと求愛のための餌の吐き戻しを大量にケージの隅につくる。報われない。お嫁さんでもいればねぇと思っていたところの迷インコだったので、お見合いさせてみた。警戒しながらも距離は近づきプレゼントのゲロゲロも受け取ってもらえているようだ。吐き戻しの山ができなくなった。迷インコは好きだからゲロを受け取っているというより、親に甘えるように餌頂戴と受け取っているようにも見えなくもない。

インコ同士で仲がいいのは見ていて楽しいのだが、人にベタなれ手乗りインコとは行かなくなることもある。人しかいない環境では人をパートナーとするインコ類。仲間がいるとそっちで仲良しになってしまう。飼い主さん名乗り出るなら早いほうが良いのだけど。

あと、このままカップルができるとしてだ。迷インコが成長したら実はオスだったとかの可能性がまだ捨てきれない。ラブラブオスメスカップルか、ラブラブオスオスカップルか。仲良くやっていればどっちでもいいか。

 
 
 
 

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